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競売開始決定後の個人再生、住宅資金特別条項 [民事・消費者]

個人再生手続ができて、しばらくたちます。
当初、めんどくさい手続きだなあと感じていましたが、
破産手続きも、法律が変わらないのに
裁判所の運用が面倒くさくなり、
個人再生も何件か経験したので、
それほど面倒という気持ちは無くなりました。
裁判所も結構親身にフォローしてくれるし。

個人再生の特徴は、
破産免責のように、すべての支払いを免除してもらうのではなく、
80%くらいを免除してもらい、
残りを3年くらいかけて支払うというものです。

住宅ローンは、原則すべて支払うことができるので、
破産のように住宅を手放すということからは免れるのです。

弁護士の債務整理と違うのは、
裁判所が間に入って、
3年かけて20%払わせるので、
80%は勘弁してくれと、
まあ、強制的に免除させることです。

個人再生手続きに入ると、
既に開始された競売手続きを停止することが
できるわけです。
このため、どうしても住宅を失いたくない人が、
競売手続きを中止するために、
個人再生を申し立てるということがあります。

住宅ローン以外の債務の支払いが
強制的に減額されるので、
その分住宅ローンの支払いに回るので、
支払いもしやすくなります。

支払いが圧縮されて、
これまで通りの支払いが可能となれば、
個人再生はうまく行くでしょう。

しかし、こう絵に描いたようにうまくいかないことも多いわけです。

競売開始決定は、
大体は、住宅ローンの支払いができなくなって、
6ヶ月くらいが経過して、
銀行や公庫から、
信用保証会社や債権回収会社に債権が移り、
その会社がある程度準備期間を設けて準備し、
其れからようやく始まるわけです。

月10万円の住宅ローンなら、
100万円くらいは遅れが出ていて、
これに、遅延損害金(計算が面倒)
競売費用50万円くらいが上積みされ、
それも、3年や5年で支払わなければ
ならなくなることが多いです。

個人再生で支払う20%の月々の支払いのほかに、
住宅ローンがあるわけですが、
この住宅ローンの金額が増えるわけです。

さらに、この住宅ローンの支払い方法で、
債権回収会社や信用保証会社と
同意することができればよいですが、
住宅支援機構の住宅ローンの場合、
競売開始手続きまでいった場合は、
なかなか債権回収会社等は、
支払い方法について同意してもらえないことが多いのです。
(私は相当やり合い、住宅支援機構の目的や
憲法25条まで持ち出して、
議論を吹っ掛けて、ようやく同意してもらいました。)

同意してもらえない場合に備えて、
(また、従来通りの支払い額では無理な場合に備えて)
法律は、強制的に住宅資金特別条項を
つくってしまう方法も用意しているのですが、
債務者の年齢の条件

(支払い終了時の年齢
それまで、25年ローンでよかったのに、
強制的にやるためには15年ローンにしなければならなくなり、
毎月の支払額が逆にとんでもなく増えてしまう。)

等厳しい条件があるうえ、
あまり穏当ではないので、裁判所も
合意型にしてほしい要望があり、
使えない条文になることが多いです。

なかなか難しい場合があります。

この支払い計画案でもめているときには、
すでに競売手続きは停止していますが、
計画案が裁判所に認可されないと、
再生手続き自体が終了してしまうので、
結局競売が再開されてしまいます。

それでは、どのように、計画案を認めてもらうか、
私のように債権者に無理を通す野蛮な弁護士でなければ、
債務者の方が無理をするということになります。
家族一丸となって、支払いにあたる。
一家の稼ぎ頭の給料のほとんどを支払いに充て、
家族の給料で生活する。
こんな、ぎりぎりの、数字だけはあっているみたいな
計画案を出すことが多いようです。

遅くともこの時点で、
弁護士は、問題提起するべきです。
そんなに住宅は大事なのかと、
法律相談で、住宅ローンの亡霊に
とりつかれたような人たちをよく見ます。
そんな住宅ローンを支払うために生まれてきたわけではないでしょう。

子供たちのために住宅を手放したくないという人が多いのですが、
クリスマスや誕生日もやらないで、
住宅ローンを支払い続けることが、
本当に子供たちのためになるか考えてもらうべきです。

無理な計画は、裁判所は認めません。
80%をカットしてもらう手前、
20%は確実に払えるといわなければなりません。

それでも通す場合は、
裁判所に対しても弁護士は議論を吹っ掛けるわけです。
それが依頼者のためになるなら、喜んで喧嘩しますが、
依頼者のためにならないのではないかという
無理な計画もずいぶんあるようです。

競売が止まらなければどうするか、
個人再生手続きがちゅうだんしたならどうするか、
そのことを現実的に、
話し合うことを、できるだけ早く問題提起しなければなりません。
本来ならば、個人再生手続き申し立て前に、
厳しい見通しも、問題提起しなければなりません。

個人再生手続きをしても、
競売が止まらない場合がありますと
きちんと説明するべきことが
第1の弁護士の役割となりますので、
ご理解のほどを。
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