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物件事故でも実況見分調書を。写真活用の簡易図面は?警察庁にお願いします。 [交通事故]

交通事故紛争処理センターの任期は、1期2年で、
2期を担当し交代する弁護士が多いので4年が通常です。
毎回1人、もう1期担当する弁護士がいて、
その弁護士は、6年の任期となります。
例えば私。
最後の2年は、物件事故(物損事故)
というのを一人で担当することになります。
センターでは物損事故といい、
怪我等の人身被害が無い事故ということになります。
中には、怪我はあとで示談するので、
物損、自動車の修理代金等だけ示談したい
ということもあります。

警察の区分では、
人身事故が生じていない事故を物件事故といい、
交通事故証明書で区別されています。

物件事故の多くは、
どちらが、事故を起こした原因、責任があるか
ということが真っ向から食い違うことがほとんどです。
過失割合というやつです。

申立人は、100対0を主張し、
相手方は、0対100を主張するということも、
珍しくはありません。
最初驚きましたが、なれました。

別に嘘をついているのではなく、
事故というのは、普通にいつも通り運転していて、
事故という衝撃的なことが起きるものですから、
相手が悪いという先入観がだれにでも起こりやすい
このため、相手方の行動こそ不合理だと
主張する結果、0と100の争いになるわけです。

しかし、その普通にいつも通りの運転こそ
道路交通法違反であることもすくなくありません。
そういう場合もあります。

ただ、気の毒なのは
こちら側は停まっている。
相手が止まっているこちら側に
ぶつかってきたんだという時、
怖い思いをして、よけようがなくて
それでも責任を持たなければならないのか
という事態があることです。

このような場合、相手方は、
その人も動いていたと主張しているわけです。
おそらく、相手方は動いていたと認識しているのでしょう。

停車していた場所にもよりますが、
停車していたというのであれば、
過失割合が低くなることは当然です。

争点は被害車両が動いていたか停まっていたか。
これは、事故地点がはっきりすることで、
どちらかに決まることも結構多いです。
せめて、停止線の前か後ろか、
車線の右か左か
そんなことだけでも決め手になりうるのです。

人身事故は、運転過失致死傷罪という犯罪になりますので、
警察の捜査の対象ということになります。
事故を再現するような正確な実況見分調書が作成されます。
図面で事故の場所が特定されるし、
事故前の様子も当事者の話として記録されています。

ところが物件事故は、そのような犯罪にならないので、
このような、正確な記録が無く、
警察官のメモみたいなものしかないことも多く、
それすらもなく、事故の住所地と日付など
だけが特定されているということもあるようです。

そうすると、真実は丸っきり藪の中になり、
じゃあ50対50なんてことになりかねません。
直観的に、これは気の毒だなあという事例も
無くは無いのです。

せめて、事故地点の図面だけでもあると
一方の言い訳が成り立たなくなることが
結構多いのです。

どんな事故でも実況見分調書を作らなければならないのでは、
確かに警察も大変です。
いちいち線を引っ張って道路図面を
作成されているようなのです。

しかし、これだけ、写真技術が進み、
インターネットで、道路状況の写真がみられる時代
ということもあるのだから、
簡単に道路の写真を用意できないのでしょうか。
住所だけコンピューターに打ち込めば、
その付近の写真がプリントアウトでき、
衝突地点に、自動車の形をしたハンコを押す
という処理はできないでしょうか。

道路データを入力する作業が
簡単にできるのであれば
不可能ではないと思うのです。

事故時の正確な記憶で、
証言という言葉を仲介せず、
グラフィックインターフェイスで
実況見分ができれば
正確に、迅速に処理できるようになると
素人的には思うのです。

事故が正確に記録されることで、
また、ビジュアルで再現されることで、
当事者も、むちゃな主張ができなくなるので、
事故原因の正確な特定ができるようになり、
原因究明に役立つと思います。
事故防止につながるわけで、
これは警察の役割です。

物件事故といっても、自動車という、
何トンもある鉄の塊がぶつかり合うのですから、
いつ人身事故になってもおかしくない
ということでもあります。
深刻な傷害が後に発覚しても、
実況見分調書は、
遅くなるほど制度が怪しくなってしまいます。

警察車両にパソコン端末とプリンタを載せて、
住所を打ち込めば、
実況見分調書の、もと写真がプリントアウトされる
当事者が指示したところにハンコを押す。
写真なので、そのまま縮尺で、距離を記載できる。
これは便利ですよ。

警察庁で検討していただけないでしょうかねえ。

データ入力が大変なら、警察車両に
するするするとアンテナのように伸びてゆく棒をとりつけ、
数メートルの高い場所から写真をとる。
これをプリントアウトするという方法も
あるのではないでしょうか。


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コメント 4

newirikanuf

民事は全然詳しくないので
面白く読ませてもらいました♪

で実況見分や写真は
予算的な問題で多分無理です

国費がふんだんに使える警備や公安は金余りですが
交通部門は全然ダメです

人も金も公安と刑事に取られて交通と地域には残りかすしか回ってきませんから・・・


by newirikanuf (2010-07-23 00:36) 

newirikanuf

追記

平成5年~平成15年くらいまでは
事故処理車に交通事故簡易見聞システム(富士写真光機)という
カメラのデータをパソコンに落として
機械で作図する装置を搭載していたのですが

平成16年から予算が付かなくなって
機械も引き上げられてしまいました

あれは便利だったのですが
時代に逆行しています
官僚組織の弊害で内部の声は全然反映されません
外部からつつかれないとダメですね
by newirikanuf (2010-07-23 00:42) 

can_mori

現在は道路平面・断面・縦横断図は、
殆どCADデータとして所轄の官庁に保存されています。

 車両の図面データも、インターネット上にも流れています。
メーカーに協力依頼すれば、外観データは入手できそうですが。
紙データで処理している事が、省力化の障害になっているのでは
無いでしょうか。
by can_mori (2015-03-11 15:21) 

ドイホー

コメントいただいていたのに気が付きませんでした。ありがとうございます。っ現在は、交通事故紛争処理センターも退いて、もっぱら被害者側の代理人として活動しています。残念ながら、思いは強くなっています。実況見分の立ち合いに加害者側だけが出席し、被害者側の見分立ち合いがないということもあります。事故から3日後に、事故の場所も不明になってから、が加害者側の聴取だけで行われるということもありました。刑事事件としての処理であれば、それでも仕方ないかもしれないのですが、それが民事に証拠として提出されるととんでもない結果になります。事故予防の観点から、警察の調査の意味づけ、評価付けがなされることが必要なのかもしれません。
by ドイホー (2015-03-12 22:15) 

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