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精神疾患のため、刑事裁判ができない場合  [刑事事件]

昨日の続きですが、
心神喪失(自分のやっていることがどうなるかわからない状態)
で、無罪になったり、不起訴になった場合などは、
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
略すると医療観察法で、

重大な他害事件に限りますが、
裁判官と精神保健審判員の2名で、
鑑定入院や、通院命令、入院命令を出す手続きになります。
これには弁護士が付添人という形で立ち会います。

ところで、
重大な他害事件とは、殺人や放火、強盗、強姦等で、
単純な窃盗は含まれません。

これほど重大ではないにしろ
他人を害する場合または自分を傷害する危険のある
精神疾患に罹患されている場合、
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
略して精神保健福祉法では、
知事や政令指定都市の長などが、
指定された精神科医2名の意見の一致を条件に
入院命令を出す措置入院という手続きが取られます。

この措置入院という手続きは従来からあったのですが、
これは社会復帰を促進することが目的なので、
他害等の症状が無くなった場合、
退院の手続きをとらなければならないということがあり、
症状が出たり消えたりという場合は、
対応できなかったということがありました。

そして、池田小学校事件があった(平成13年)ことから、
医療観察法が平成15年に制定された
という流れになります。

まあ、そうすると、窃盗の場合は、
重大な他害事件リストには入っていないので、
医療観察法の適用はありません。
精神保健福祉法の措置入院が
検討されることになります。

ただ、
薬物による一過的な症状による
制御不能状態の場合、
心神喪失が認められたら不起訴になるか無罪になりますが、
薬の影響ということで、
精神障害ではないとすると、
措置入院の要件にも該当しないことになりそうです。

その人の逸脱行為が、
アルコールとともにハルシオンの過剰摂取をした
その時だけに起きているのであれば、
最も大事なことは、服薬指導ということになります。
根本的には、ハルシオンや類似薬品を
医師が処方しないこと、
根本たる睡眠障害について、
精神科医の診療をしっかり受けること
ということになるわけです。

ただ、検察官は、公益の観点で考えなければならず、
今、釈放してしまって、
類似事件を起こさないだろうか
ということを考えざるを得ません。

まあ、弁護士は、被疑者の自由を優先に
考えなければなりません。
公益の観点を考えるとしても、
公益の観点からも大丈夫という文脈や、
公益の観点のリスクはこれだけあるが、
釈放しなければならない必要性がこれだけあるので、
釈放を優先するべきだという
問題の所在に対応する理由づけということになり、
なければなくてもいいということになります。

起訴不起訴に関しては、
判断に苦慮されるのは検察官ということになります。
弁護人は、
苦慮しないで被疑者の自由を拘束する方向に
検察官が判断しないように弁護活動を行う
という言い方もできるかもしれません。
苦慮していただくということが仕事なのでしょうか。

また、公益上の不安を解消するために、
ハルシオンの副作用の危険性や
アルコールの併用の危険性、
睡眠障害の精神科医による必要性を
被疑者に理解してもらう活動をする
ということも建設的な仕事ということに
なりそうです。


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