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労災弁護士から見た教師という職業の危険性 うつの原因の分析 [労災事件]

教師という職業は、極めて過酷な職業であります。
労働災害、特にうつ病に罹患しやすい特徴を持っているようです。
と言っても、医学的な根拠を言おうというわけでなく、
過労自殺の職場をいくつか体験した感想です。

先ず、長時間労働で、休憩がありません。
朝、8時過ぎには職員会議があり、
8時半には、1時間目が開始されます。
小学校であれ、中学校であれ、
授業が終わるまで、まとまった休憩時間はありません。
昼食休憩は給食指導なので、
労働基準法でいうところの休憩には該当しないでしょう。

その後、委員会活動があり、職員会議があり、
部活動の顧問活動があるわけです。

部活動終了時間が7時だとすると、
この時点で11時間連続労働になってしまいます。

そして、帰られる先生もいれば、
クラス担任の仕事、学級連絡プリントの作成や
集金したお金の集計や記録付けをやったりする先生も
いらっしゃるようです。
8時から20時までの仕事なら12時間労働になります。

月曜日から金曜日まで、毎日4時間の残業をすると、
週20時間の残業をすることになり、
4週で80時間の残業になります。
日曜日や土曜日、部活の対外試合があれば、
そのまま休日労働ですから、
1回4時間かかったとして、2回で8時間、
月4回で16時間の残業が加算されます。

月80時間の残業が半年続けば、
脳卒中,心筋梗塞が起こった場合、
厚生労働省の基準でいえば、
原則労働災害です。

これを1年中続けられるわけです。

さらに、子供が警察につかまって呼び出されたり、
受験指導があったり、
通信簿の作成があれば、
さらに労働時間は増えます。

1日中トイレに行く暇もないとか
自分の子供はレトルトとスーパーの惣菜で育てたとか、
結婚20年で、妻と旅行に行ったのは
新婚旅行を除けば、ディズニーランドに一回行っただけ
という話を聞きました。

それから、それからようやく、
授業の用意をするそうです。
学習指導要領は、結構変更になるので、
毎年同じ授業をするわけにはいきません。
クラスの生徒の構成によっても
本来教え方が変わるそうです。

丁寧な準備をする先生は、
指導案を作成しますが、
それは、大雑把な映画のシナリオのようなもので、
ジョークのポイントまでメモしてあるそうです。

これは、帰宅されてから作成するようです。
お子さんのいる先生は、
子供を寝かしつけて仮眠をとって準備するそうです。

過労死しない方がおかしいです。
まさか、いまだに、夏休みや冬休みは、
先生も学校に来ないなんて考えている人はいないと思います。
私は、冬休みや夏休みは、
是非家族と過ごされ、自宅研修で
疲労回復とともに見聞を広めていただきたいと思っています。

もう一つの危険性のポイントは、
質が異なる仕事を、いくつも抱えていることです。
教科を教える仕事、
子供の生活指導、
集金や出席簿等の事務、
家庭との連絡プリント作成の文書作成と事務、
部活動の指導、対外試合の渉外活動、
PTAとの対応。
子供のテストの評価、
いじめや問題行動への対応。

これら通常の職種のほかに、
体育連盟の仕事、
学年主任や教科主任という
学校全体の仕事、生徒会指導
議会からの紹介への対応、
地域ボランティアへの参加
等々をやっていると、
書いているだけで気が滅入ります。

児童生徒とのかかわりでのストレス、
PTAとのかかわりでのストレス、
同僚や上司とのかかわりでのストレス、
教科研究上のストレス、
学校運営上のストレス、
時部取扱上のストレス、
先生という一つの職業に、
質の違うストレスが複合しているのです。

長時間労働と複合ストレスは極めて危険です。

なすべき労働に応じた人員配置が為されていません。

こんなに忙しければ、
いじめの兆候に気がつかなかったり、
気がついても、無かったことにしてくれという心理
が生まれる環境的要因はあると言わざるを得ません。

本当に本来の授業の準備は可能でしょうか。

教育とは児童生徒の人格の向上を目的として行われますが、
子供の人格まで配慮できるのでしょうか。

もちろん先生は、自分はやっているとおっしゃるでしょう。
しかし、先生方の個人的な頑張りで支えられている
というのが、感想でした。

先生方は、教育をする環境をつくるということを
職業として行う責務があります。
このような環境に、学校現場が無ければ、
組織的に、環境改善を進めなければなりません。
しかし、そうしないで、個人的に頑張ってしまうのです。

このような、仕事に追われていて、
人格の向上という本来の目的に迎えるか
私なら大変心配です。

私の小学校の時の先生は、
常にネクタイをして背広を着ていらっしゃる先生が
多くいらっしゃいました。
背広がチョークにまみれても背広をお召しになっていました。
お話を伺うと、
自分は教え子を尊敬している、
尊敬している教え子に礼儀を尽くさなければならない
教える方と教えられる方と相互に尊敬の関係が無ければ
教育は成り立たないとおっしゃっていました。

今ほど、学校の先生がお役所的な仕事を与えられず、
会議会議で自分の考えを構築できない状態でなく、
教科指導に専念できたころのお話です。

学校の問題は、
教師の労働条件の問題だけでなく、
そこ預ける子供の問題でもあります。

教師の労働環境については、
このような観点からk
国民が議論する問題であると考えます。

教師がうつ病になることは、日本だけではなく、
世界的にも同様の傾向となっているようです。

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コメント 1

教師

まさにその通りです。

現場は疲弊しています。

学校で教員が、背負うもの
多すぎます。
by 教師 (2013-11-12 14:30) 

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