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弁護士から見た名医の条件 何か理由があるのではの視点 弁護士の条件でもあること [事務所生活]

自殺対策の研究をしていると、
お医者さんの文章を読む機会がやはり増えます。
目からウロコということが多く、感動する機会があり、
それだけでも自殺対策にとりくむ
私の人生上の利益があるというものです。

良くいうのは、リストカットの話ですが、
死にたくなるくらい生きずらいその人の状況を
何とか生き延びるためにリストカットを行うということ

いじめや虐待、犯罪被害で、
毎日、毎瞬間がいたたまれない状況のひとが、
自分を傷つけてみたら、
精神的には楽になることがあるそうです。
マラソンなど肉体的限界の時に
脳から麻薬のようなものが出て、
苦しみを感じにくくするということはどこかで聞いたことがあると思いますが、
リストカットでもそのような脳の麻薬が出るそうです。
調べた人がいるんですね。

何か理由があるのではないかの視点ですね。
そういう人、命をもてあそぶ人という決めつけをしていたのでは、
リストカットの背景、当事者の苦しみまでたどりつけなかったでしょう。

だいたい自殺そのものがそうです。
自殺を不名誉と考えるのは、
自殺は、気持ちが弱いとか、卑怯だとか、
良くわかりませんが決めつけがあったのだと思います。

これは精神科医だけでありません。
私が体験した骨折の治療でもそうでした。
転倒して、訴訟記録を手で持っていたため受け身が取れず、
右ひじを骨折したことがあります。
この日から、1カ月近く、レントゲンで骨折影は出ませんでした。

それでも、手を下に伸ばすと、
気を失うくらい気持ちが悪く、痛みが激しくなることから、
何か理由がある、骨折していると思われると診断していただき、
固定していただきました。
出張中の事故でしたので、地元の病院も紹介していただき、
そちらの先生も、同じ姿勢で治療にあたっていただいたら、
1か月近くたって、レントゲンに骨折の影が出てきたのでした。

レントゲンに映らないから骨折していない、
痛がるのは、私がそういう人だからと決めつけられていたら、
私の腕は使い物にならなくなっていたかもしれません。

そういう人だ、痛がって見せる人だ、
命をもてあそぶ人だ、卑怯な人だという決めつけ、
嫌悪、軽蔑から何も生まれず、
その人の異常行動には、何か理由があるのではないかと
考えることができる人が、弁護士から見た場合はですが、
名医といえるのではないでしょうか。

なぜ、弁護士から見た場合というかというと、
弁護士の条件も同じだからです。

弁護士は刑事事件の弁護人になるので弁護士といいます。
(民事事件は代理人といいます。)
犯罪という問題行動を犯した人の弁護をするわけです。
この時、その人はこういう人だと決めつけてしまったら、
およそ弁護はできないわけです。
何か理由があるということから、本人と話したり、
保護者などと話したり、証拠にあたったりして、
二度と犯罪を繰り返さない方法を考えるわけです(私の場合かもしれませんが)

自己破産申し立てもするわけです。
その人がルーズだとか、浪費家だとか決めつけてしまったら、
その人が二度と多重債務に陥らないようにする方法を
こんなこと考えない弁護士も増えてきているようですが。
何か理由があるという視点でみなければ、
対策は立てられません。

実は離婚事件もそうなのです。
何か理由があるのです。
もともと、縁あって出会い、
そして結婚して、子供までいる夫婦が離婚するのです。
その本当の理由を考えることは、
結局離婚するにせよ、しないにせよ、
二人にとって意味があることです。
シビアな裁判になれば、
相手の理由について考えない方が負けになりやすいです。

少なくとも、相手はそういう人だと決めつければ、
夫婦関係は悪くなるでしょう。
(決めつけなければやってられないということもあるだろうか
まっ、それはともかく。)

こうしてみると、平成10年問題
(自殺、失業、自己破産、離婚、犯罪等が、
平成に入ってから増えだし、平成10年ころ激烈な増加を見せ、
平成13,14年ころをピークとして、依然高止まりをしている状況)
は、みんな何か理由があると考えられる問題であり、
そのようなことを考えながら弁護士活動をしている弁護士なら、
自殺、失業、自己破産、離婚、犯罪等が
相互に原因と結果の関係になっていることが
経験的に分かっていることがよくお分かりになると思います。

自殺対策は、特に原因論は、
他の問題行動と切り離して論じられないことを
経験的に確信していると思われます。

何か理由がある。
これは、科学の視点であり、イコールヒューマニズムの視点であると
これからも繰り返し訴えてゆきたいと思っています。



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