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使用者側にとってきついところのある労働審判制度 中小企業の実態を知らせる工夫。 [中小企業]

日弁連の中小企業対策に積極的にかかわるようになり、
使用者側での労働問題の事件も多くなりました。
これまでも、中小企業からのご依頼は多かったのですが、
どちらかといえば、債権回収とか、元請けに対する請求、
経営者や従業員の個人的問題と絡んでのこととか、
行政との関係が多かったように思います。

労働審判制度が、労働事件の敷居を低くしたことは間違いないようです。
労働者が裁判所を関与させて権利救済を申し立てる敷居というより、
労働事件の法律相談を受ける弁護士が依頼を受ける敷居が
低くなった感もあるとみています。

私は、一般の弁護士の中では、
労働審判を担当することが比較的多いようです。
労働者側、使用者側、偏りなく担当しているということにいたっては、
私ぐらいではないかと思われます。

特定の労働組合との関係が無いので、
労働者側からの事件は、弁護士会や、法テラス、
他の弁護士から頼まれてということが多いです。

むしろ、使用者側での依頼事件が、
友人、知人、前の依頼者の紹介という、
普通のルートということが多いのは、
やはり地元民ということだからでしょうか。

使用者側で労働審判を受けるということは、
結構大変です。

先ず時間が無い上に、時間を拘束される。
第1回期日というのは、
労働事件の特殊性から、
申し立て後比較的早い時期に指定されます。
そして、短期集中で終わらせるために、
変更が効きません。

申し立てる側は、十分準備をして、
納得した準備ができてから申し立てることができますが、
使用者側は、時間内に準備をしてのぞむことになります。

これから労働法を調べてということでは、
話にならないわけです。

申し立て側の代理人が、割といろいろな弁護士がつくけれど、
使用者側の代理人が、もともと使用者側専門の先生の外は
あまり受け手がいなくて、
私に話が回ってくるということは、
そういう理由もあるように思います。

3回で終わらすために、1回の期日は2,3時間かかるということが多く、
その時間を、数週間先に指定されるのです。
そこで、時間の都合がつけば、
ご縁だと思って引き受けるしかありません。

普通の裁判だと、第1回期日は、欠席が許されます。
労働審判の場合、これが効きません。
ここは、何とかして欲しいところです。

また、すべて時間が会うということもすくなく、
掛け持ちということもありました。

準備時間が足りなくて困るのは、
普通解雇を争われた場合です。

懲戒解雇であれば、
懲戒時に解雇理由が明確ですが、
(明確でなければならないというか・・・)

普通解雇(解雇予告手当ないし1か月前の解雇)の場合は、
いろいろな理由があっての解雇ということになりますので、
これまでの積み重ね、普段の態度が、
つもりにつもっての解雇ということですから、
それを裁判所に伝えるためには、
やはり、それなりの準備が必要なわけです。

しかし、時間が無く、どうしても、中間発表みたいな形で、
書面を作らなければならず、
舌足らずになることもでてきます。

主だった理由、解雇に至る出来事を紹介することで精いっぱい
ということにならざるを得ません。

この辺は、審判官、審判員にも理解して欲しい所です。

会社の方も、いちいち労働者の問題点を
書き残しているわけではないですから。

だから、どうしても、
労働者側に余計肩入れされているような印象は否めません。

代理人も、普通の答弁書、準備書面のようなものより、
噛んで含めるような、労使の一般常識に照らすとこうなるという
表現の書き物を作らないとだめかもしれません。

そういう意味では、使用者側代理人の心構えとして、
労働審判員は、
労働組合のあるような大企業の労使関係はわかっていても、
中小企業の労使の実態はわからないということを前提に、
代理人活動をしなければならないのかもしれません。

そして、こういう場合、第1回目の代理人の責務は、
ひたすら頑張ることということになるようです。
2回目の準備のための方向性を探りつつ、
労使の常識を説明し続けるということになりそうです。

弁護士も、労働法だけでなく、労働実態や、経営実態に、
ある程度習熟している必要があります。

例えば、食品の営業とか、卸とか、運送業とか、
飲食店、工場等々。
それぞれの業態の特徴があるわけです。

会社の仕事にまつわる事件を多く担当していることは、
貴重な財産ということになります。

アルバイトの経験も貴重な財産となっています。





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