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自己破産と憲法25条 弁護士の自殺対策の歴史 [民事・消費者]

自己破産は2つの裁判から構成されます。

一つ目の裁判は、その人の財産状態の認定です。
支払うべきお金が多く、
その人の収入で支払いができず、
財産を処分しても支払いができない、
即ち債務超過の状態であると裁判所が認定して、
破産手続き開始決定をするのが一つ目の裁判です。

二つ目の裁判は、
支払う責任を免除する決定なので、
免責決定といいます。
免責決定が出れば、
破産者は支払う責任がなくなるので、
給料債権の差し押さえなどがなくなります。
請求もなされなくなります。

なぜ自分が負った借金なのに払わなくてよくなるか、
免責という制度があるかというと、
ひとつの理由が憲法25条というわけです。

裁判所の表現を使うと、
支払いの責任が際限なくあるとすると、
債務者は過酷な状況に追い込まれ、
奈落の底に陥ることになるから、
生存権の観点から、支払いの責任を免除する必要がある
というものです。

受験時代にお世話になった弁護士の先生で、
木村晋介先生がいらっしゃり、
消費者問題に熱心に取り組んでいらっしゃいました。
受験生向けの研究会で、
消費者事件、債務の問題の解決は、
その人たちの命を救う問題でもあるとおっしゃっていたことが
印象的でした。

本来法人破産を念頭においていた破産制度を
自己破産手続きを活用し、
消費者問題の解決に転用していったという活動も、
このような、生身の人たちの救済という
目の前の苦しみの解決のためにひねり出したものと
思われます。

確かに、自殺の原因をミクロ的に見ると、
自殺をする直前に、何らかの精神疾患に罹患しているという
ケースが多いのでしょうが、
大きく見ると、このような経済的問題が原因であったりするわけです。
弁護士は、大きく捉えた場合、
消費者問題をはじめとして、
ずいぶん前から、自殺問題に取り組んでいたわけです。
それを意識して行っていた弁護士も、木村先生のように、
多数いらっしゃいました。

私が、弁護士の自殺対策ということで、
話をしていても、
突然、何も無いところからはじめているわけではなく、
このように、先人の活動の上に立脚して、
いろいろな弁護士の活動を、
自殺というキーワードで
整理しているという側面も強いのです。


それにしても、このようなブログを続けていること自体、
思えば木村先生の影響がおおきいのかもしれません。
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