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犯罪を思いとどまれない第3のパターン ストレス型犯罪? 万引き考2 [刑事事件]

犯罪を実行する場合のパターンというのがあって、
実行するというか、
どうして思いとどまれなかったかというパターンなのですが、
法律を守ろうとしなくなる要因とでもいいましょうか、
専門的に言えば規範意識が鈍麻する理由です。

要するに、犯罪のほとんどは、
普通の人によって行われています。
了解可能な人たちです。
犯罪を犯したその時だけをみると、
理解できないということになりますが、
もう少し時期をさかのぼったりすると
ああ、ここから間違いが始まる要因があったのかと
理解できる場合がほとんどです。

法律なんてどうでもいいやと
徐々にそのような生活態度が進行して行く
私は、「犯罪環境」といっていますが、そのような状況の継続が、
大部分、犯罪を思いとどまらなくなる要因となることが多いです。

暴力団にはいっているのも犯罪環境でしょう。
生育環境が犯罪環境だったりすることもありました。
離婚して落ち込んでいるときに、職場で盗みの濡れ衣を受け、
退職に追い込まれて、一人暮らしでひきこもりになったり、
暴力金融から逃れて、一人暮らしを始め、まともな就職もできず、
盗みをして生活していたり、
何か原因があり、規範意識が薄れていったというタイプが
従来型犯罪ということになると思います。
(第1のパターン、狭義の犯罪環境)。

アルコール等の薬物の影響や、
精神疾患等で、
規範意識を持てなくなる状態がある。
これが、今年の春に力を入れた第2のパターンです。

どうも、第3のパターンが増えているのではないかと思われるのです。
日常型犯罪ということになりそうです。
要するに、
ストレスを感じやすくなる要因があり、
ストレスを感じてしまうと、一種のパニックになってしまい、
規範意識を持とうとする気持ちが無くなる
身近な犯罪を犯してしまうという第3のパターンがあるようです。

これといった犯罪環境にあるわけではなく、
アルコールなど物質的な影響も無く、
疾病というほどの精神障害も無い、
なぜ、犯罪を思いとどまれなかったのか、
理解困難な犯罪類型がありました。

典型は、以前も書いた万引きです。

万引きには誤解があって、
子供の万引きのように、スリルを求めたり、
深く考えずに行うパターンも確かにあるのですが、

大人が行うときには、
決してスリルを求めたり、その商品がどうしても欲しい
というわけではなく、
本人もどうして万引きをしてしまったかよくわからないということが
確かにあるのです。
子供でもそういう場合はあると思います。

捕まって、自分でもアッと思うわけです。
時間を巻き戻したくなるわけです。

この万引きを、家族が
だめじゃないかとか、だらしないとか
そういうことで、終わりにしてはだめです。

本人も自分を止められない状態があったわけですから、
その原因を明らかにしないと、
大きな確率で繰り返してしまいます。

そうして、自分でもわけがわからず、
自分はだめな人間ではないか、だらしない人間ではないかと、
無意味に感じていって、劣等感に苦しんでおられる方は
大勢いらっしゃると思います。

あまりそのようなことを言う弁護士はいませんが、私は、
弁護士の弁護とは、
このような犯罪を思いとどまれなかった原因を探索し、
二度と同じ過ちを犯さないようにすることを
お手伝いすることがその中心だと思っています。

裁判の結果よりも、その人が立ち直ることが第1であり、
その道筋が確立すれば、
裁判にも、最も効果的に働くという考えです。

何か理由があるというのが、科学の根本であり、
正しい、効果的な結論に導くと思っています。

さて、その日常的な犯罪ですが、
どうも、ストレスを感じやすくなっている
精神的状態があるようです。

小さい時に母親と離別してという
愛着(アタッチメント)の問題から、
年齢的な問題、
更年期という時期も、弁護士から見ても
本当に大事にしなければならない時期のようです。
本人と家族の理解が大切です。

これらの本人側の要因と、
他人から配慮の無い行動がとられやすくなっている
という要因が重なって、
ある種のパニックが起こりやすくなることがあるようです。

そのような状態になっていない人からすると、
それほどのストレッサーではないと思われることでも、
そのような状態になっている人からすると、
著しいストレスに感じてしまい、

犯罪を思いとどまることができないというより、
犯罪だから思いとどまらなくてはいけいないという発想自体が
持てない状態に一時的になる瞬間が出てしまうようです。

だから責任能力がなくなるのかというと、
少し考え込まなければならない問題だと思いますし、
少なくとも裁判官が責任能力なしとは言わないという見通しとなります。

この種の犯罪で一番傷ついているのは本人です。
原因がわからないまま自分を責め続けています。

一番の特効薬は家族の支えですが、
治療ないし精神科医の指示によるカウンセリングが
効果的である場合も多くあります。

お話を聞くと、カウンセリングを受けられると、
それだけで、癒されることが多いようです。
カウンセリングは心のマッサージかと
感心します。

過ちには、必ず原因があります。
原因を放置すると、過ちは繰り返されます。

原因を解決するために、専門家がいるわけです。



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