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ハルシオンと刑事責任能力の文献発見。 せん妄と人格違和的行動 認知症を学ぶ1の3 [刑事事件]

幻冬舎新書「認知症にさせられる!」は、
認知症と区別されるべき「せん妄」について、
かなり詳しく説明がなされています。

特に薬の副作用で、
認知症類似症状が出るということが
熱心に記載されて、
抗ヒスタミン剤や新型抗うつ剤の具体例が
わかりやすく記載されています。

薬の副作用と考えられる犯罪について
具体例が述べられていて、
ハルシオンについても、
私の経験した事件で、
どんぴしゃ使える記述もありました。

どうやら、薬の成分が、
一定以上血液中に存在することと、
何かの条件が結合した場合、
せん妄状態が生じる危険がある。

判断力、記憶力が落ちていらいらしたり興奮しやすくなり、
せん妄状態になり、衝動的、暴力的行動が出てくる。

ハルシオンは、即効性もあるが、
依存性もでやすく、
だんだん量も増えていく危険性もある。

だんだん効果が実感できなくなり、
2回分以上を一度に服用し、
さらにアルコールと一緒に服用して、
私の担当した事件も起きました。

複数の睡眠薬を飲んでいて犯罪を犯し、
拘置所で、すべての薬をやめたら、
飲んでいた時より眠れるようになった
という話もあるそうです。

筆者は、せん妄と刑事責任能力について、
犯罪がその人の人格から実行されたものでなく、
薬による効果として、
衝動性、敵対性等の症状が出る等、
常日頃の人格と別の行動原理が出るような
「人格違和的」と言える場合は、
責任能力を否定する方向に考えるべきだとの
明快な見解を述べられていて、
大変参考になります。

放火や殺人という重大犯罪も、
薬の副作用によって生じうるという知見が述べられています。

問題は、この人格違和的というのを
どのように判断するかということでしょうか。

薬の副作用であることが明確であればわかりやすい。
直前に変な薬の飲み方をしたとか、
薬を飲んでから変な行動ばかりしているとか、
目つきがおかしくなった、よだれなど気にしなくなったとか
ということの目撃者がいるとか。
行動自体があまりにも異常で、
結果として犯罪になったにすぎないことが了解できる場合とか
こちらのアプローチ、客観的な事情を集めることが
基本となるのでしょう。

常日頃、このような人格ではないということは、
もしかしたら難しいかもしれません。
家庭の中の犯罪ということになれば、
意外に動機は転がっているもので、
これこれを恨みに思っての犯行と言われてしまうものが、
全く無いと言い切れるか
自信のある方は多くないのではないでしょうか。

今後もせん妄について、勉強をしていきたいという気持ちになりました。

機会があれば勉強したいことはアルコールとせん妄です。
どうも睡眠薬とよく似たようなメカニズムのようです。
なんかの拍子で、血中濃度が高くなり起こるようです。
飲みすぎという単純な話ではなさそうなのです。

あとはストレスやパニック等によるせん妄というのも、
どうやらありそうなのです。

ただ、せん妄という言葉でひとくくりにして良いか、
せん妄類似の精神状態かもしれません。

それにしても、色々文献というものはあるものですね。
研究する立場の方々は、大変なことも多いでしょうが、
勉強をさせていただく立場の者にとっては、楽しくてしかたありません。
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