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交通事故の過失割合 激しい対立の場合の理由別解決方法 100:0と0:100補遺 [交通事故]

以前書いたように、交通事故の示談斡旋委員をしていると、
一つの交通事故なのに、
一方の当事者が主張する過失割合と、
他方の当事者の過失割合が逆転することもしばしばあります。

http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2010-05-28

要するにお互いに相手方が悪いのだと。

このように見解が分かれる理由を大別すると、
2種類に分けられるようです。

事実関係の認識が食い違う場合、事故形態が違う。
もう一つは、道路交通法の無理解です。

事故形態の認識の違いというのは、
衝突場所が、交差点の中か外かとか、
一方の車が動いていたか停止していたかとか、
そういうことが多いようです。

こうなってしまったら、裁判で、
どちらが正しいのか決着をつけなければなりません。
話し合いでの解決は無理だということになります。
本当は。

ただ、本当に客観的資料から、はっきりしないのであれば、
裁判所でも、どちらの言い分が証拠から本当らしいかを
判断されるだけで、
真実が魔法のように明らかになるわけではありません。
その旨を説明し、場合によっては痛み分けの解決がされる
50:50ということも珍しくありません。
裁判の費用と時間と精神的負担を良く説明するということになります。

さらに、客観的資料から、一方当事者の認識が
どうも間違っているのではないかと思われることがあります。
その場合は、はっきり、
あなたの説明だとこの点と矛盾する、
こういう事故形態だと直前こうだったとしか考えられないが、
どうしてあなたはこういう行動をしなかったのかということを
指摘するわけです。

但し、そういう場合でも、大抵は、本人が
わざと嘘をついているのではなく、
そういう記憶になっていることが多いので、
相手が記憶に基づいて述べているということを
十分に意識してお話しすることが肝要です。

そうすると、
本人が気づかなくても、同行する保険会社の人が気づいて、
本人を説得することが出てきます。
というか、
保険会社の人は初めからわかっていて、
交通事故紛争処理センターの弁護士の説得を通じて、
説得しようと思っていたのでしょう。
色々な事情で、そういうことはありえますので、
私個人としては、お役にたてれば何よりと考えています。

次の交通法規の無理解は結構多い。
本人は、いつも通り運転してい事故にあったのだから、
相手が悪いという感覚に、自然になります。
しかし、そのいつも通りが、道路交通法違反
ないし、不適当な運転であるわけです。

ここでのポイントは、
交通事故が起きなければ許される法違反というのもありえる
ということかもしれません。
法律と、実際の道路慣行が微妙に違っている場合です。
慣行と言っても、許されているわけではないのですが、

例えば、交差点での右折で、右折した後の車線が2車線ある場合、
内側の車線が込んでいるので、
機転を利かせて、外側の車線に入るという場合、
道路交通法では、交差点内の追い抜きになり禁止されています。

損害賠償の観点からは、道路交通法に違反する行為は、
過失割合を多く引き上げます。
損害賠償の話になった場合は、
本来の法律に照らして過失割合を決めるということを
説明すると、案外うまくゆきます。

道路交通法は、隅々まで、定められており、
理由がわかると、なるほどその方が安全だということで、
本来自動車を運転する人は、
すべてを頭に入れて運転しなければならないのですが、
そうはなっていません。
ポイントを絞って、徹底する期間をつくり、キャンペーンが行われると
だいぶ違うのではないかと思っています。
交差点安全点検週間とか。
路外施設から道路に入る場合の点検週間とか。

安全教本が、持っていく人が少ないということを理由に
仕分けされてしまいそうですが、
表面的需要の観点から予算を決めるのではなく、
本来必要なものに予算を使うべきです。
この時のシーンをたまたまテレビで見たのですが、
鬼の首をとったようなあの人の様子は、
いただけませんでした。
免許更新の時の安全教本は、
持っていってもらうための予算を追加しても、
持っていって読んでもらうべきです。

まあ、そうして、道路交通法の理解をしてもらって、
すぐに腹に落ちないわけですが、
知識として持ってもらうことにより、
同じ事故を繰り返さないという利益を理解してもらい、
すぐに納得できないけれど、
納得して示談をすることが、
今後の安全の為にも、お得だということで、
示談が成立することも、多いです。

そして、過失割合と言っても、厳密に決められるものは何も無く、
70:30と80:20での差にこだわることに、
それほど意味が無いことを理解してもらうことになります。

それぞれの金額で、示談額をシュミレーションすることが有用な場合もあります。
金額としては、あまり意味が無い場合もあります。

それより、概ね相手が悪いと認めたのだから、
10%以上の、大きな決断を相手はしたのですよということで、
大勢が決まれば、説得してゆくことになります。

(これはあくまでも、示談斡旋の場合の例です。)
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