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自衛隊の過労死訴訟(一応の完結編) 逆転勝訴の理由 絆について [労災事件]


まだ、上告される可能性があるので、
判決が確定するまで、一応の完結編です。

どうして1審判決で敗訴して、控訴審で逆転したか
その理由を登場人物を見ながら考えてみました。
MVPは誰だったのかと言いますか・・・

先ず、亡くなられた自衛官の奥さんが、
裁判を決意しなければ、この日は無かったわけです。
第1審敗訴であきらめてしまっても、
今日の日は無かったのです。

業務隊長、方面総監、防衛大臣、そして仙台地方裁判所、
負け続けた精神的負担はいかばかりのものでありましょうか。
本当によく頑張られたと思います。

次に亡くなられた自衛官の弟さん。
この方も元自衛官です。
この方が奥さんを励ましてというか煽ってというか、
がんばられました。

弟さんがいなければ、
亡くなられた方の仕事の実態も分からなかったし、
業務隊長や方面総監の決定書のいい部分も無かったと思います。

高等裁判所の判決も、弟さんの尽力したところが、
如実に反映されている部分も随所に見られます。

それから、昨日は許せない主張をしたといいましたが、
防衛省、国も、
資料は割とフェアーに提出されていて、
自分たちに不利になるかもしれない証拠も、
割と隠すところなく提出されていました。

そう言えば、
あの仙台地方裁判所だって、
結論や結論に至る道筋は納得できませんが、
300時間を超える公務時間があったことや、
その大半は業務をしていたという認定をしていて、
途中までは、がんばった判決となっているのです。

この部分が、もしなかったら、
逆転勝訴も難しかったかもしれません。

色々な人たちが、色々なメッセージを残している
と感じられて仕方ないのです。
それを活かしきれなかったのは私の責任でしょう。

このことは敗訴直後に分析されていて、
「弁護士をやめたくなる時」の記事の中に
記録されていました。
昨日読み直してみて、確認しました。

そこで、弁護団を拡充したわけです。
仙台の過労死ネットワークにお願いを出したら、
あっという間に10名近くの弁護士が
名乗りを上げてくれました。

過労死110番の全国版にも文書を出したら、
大阪の波多野先生が、実働でと名乗りを上げていただきました。
大阪ということで、実働と思ったのですが、
本当に実働していただきました。

医学文献など大量の資料を提供していただき、
詳細な判例分析、事案分析をしていただきました。
マネージメントのこと等、大変勉強させていただきました。

何よりも、労働科学研究所を紹介していただき、
そこで労働実態の分析をしていただき、
鑑定書を提出していただきました。
これも高裁判決に反映されています。

彼には、まだランチの牛タン定職を御馳走しただけなのです。
最後の方は、彼に報酬を支払うために勝ちたい
という気持ちが大きな比重を占めていたようにも思います。

仙台のお医者さんも、
大きな病院の院長先生に
意見書を書いていただきました。
満足にお礼もできていない状態なので、
早く判決が確定し、お礼に伺いたいと思っています。

本来過労死裁判は、弁護士一人でやるということはないのですが、
昨日書いたように日の丸を背負って国と闘うという、
微妙な事件なので、当初一人でやらざるを得ない状況にありました。

支援についても、事柄上
保守系の方たちにお願いしておりました。
微妙なお立場を強いていたかもしれませんが、
お引き受けいただいた度量のある方々は、
みなさん御出世され、ご活躍されています。
逆に忙しくなられて、お願いしにくくはなりました。

また、原審では代理人は一人でしたが、
全国過労死弁護団の先生方に相談し、
随時アドバイスをいただいていました。
みなさん親身になって、相談に応じていただいておりました。
一人でやっているという感覚はありませんでした。

原告を支えたご家族、
パソコンの使用時間を調べていただいた御親戚、
支えと絆は、まだまだ広がっていたのでしょう。

本当は、高裁判決ですが、まだまだ随所に
溜飲を下げる事実認定がなされていて、
語り尽くせませんが、
上告もありうることなので、
ひとまず様子を見ることにします。

でも、上告するならしてみろいって感じで、
そうなったら、各地の隊友会をまわろうかと
考えているところであります。


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ta_wa3

亡くなられた自衛官の方とご家族の皆様にはお気の毒な限りですが、
今回の件をとりまく皆様方にとっては
どんなにか胸のつかえがおりた事だったかと、お察しします。

一連の記事を拝見していて、
人が司法の場に血を通わせることが、あるんだ、と
しみじみ感動する数日間でした。
体温あるブログを有難うございます。

皆々様のご苦労が十二分に報われますようお祈りしています。
ご多忙の折、奔走の日々かと存じますが、どうぞ頑張ってください。
by ta_wa3 (2010-11-01 21:43) 

ドイホー

コメントありがとうございます。

つたない文章ですが、お汲み取りいただき、
本当にありがとうございます。

弁護士の等身大の泣き笑いを
これからも綴って行こうと思います。

どうぞよろしくお願い申し上げます。
by ドイホー (2010-11-02 04:58) 

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