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政権与党のアドバンテージとはなにか。対人関係学からみた読売球団との親和性。 [閑話休題]

心理学者バウマイスターが、
The Need to Belong
という論文で、
人間は、どこかに所属していたいという
本能的な要求があるといっています。

極端な話、
かたきと自分の二人しかいないという場合、
そのかたきとでさえ協調しようとする
行動を起こすという研究結果を報告しています。

我々日本人にはピンとくる話で、
菊池寛の短編「恩讐の彼方」にを
すぐに思い出してしまうわけです。

要するに、身近な人に親近感がわくことは
人の本能的な要求で、
それに向かっての行動をしようとするということです。

ひところ、プロ野球では、
読売球団の人気が際立っていました。
毎日毎日、テレビで選手の顔を見れば、
なんとなく、親近感が湧いて応援する
ということは人間の本能に合致しているわけです。

最近では我がパシフィックリーグを始め、
売り出しに熱心になっており、
地域色が強い方針と合致した球団が
人気を集めるようになっています。

同じように、政治の世界でも
連日顔をマスコミを通じて知っている
閣僚なんかは、
特に自分の住んでいる選挙区の議員は、
なんとなく身内意識が出てきて、
投票所に行って投票しようという気になるものです。

もちろん、実際の政権与党は、
なかなか戦略も秀でていて、
身近意識、仲間意識を醸し出す活動を
地道になさっています。
日々の努力も、理にかなっています。

もうひとつの政権与党のアドバンテージあります。
これが大きいのです。
あまり、他の政党を批判しなくて良い
ということが強みなわけです。

これに対して、野党は、与党を批判しなければなりません。
政権党の総裁を呼び捨てにしたりして、
それこそかたきのような批判を展開するわけです。

主張が正当であったとしても、
これは人間の本能に反したものとして
受け止められるという宿命があるのです。
聞いている人に潜在的な嫌な気持ちを呼び起こさせています。

政治に関する怒りの感情が共有されるためには、
相当複雑な思考作業あるいは、
所属感、仲間感が作られるということが必要です。
まず話を聞こうというとっかかりということも相当難しいです。

怒りは、おもに、怒っている人に近づかないようにしよう
という作用があるようです。

先程も言ったように、
人間は、所属の本能的要求があるのですが、
ただ所属していれば良いというのではなく
他の人間と協調して所属したいという
本能的要求があります。
ひらったく言えば、
仲良く生きていきたいわけです。

だからその批判が、正しい評価だとしても
人間の皮をかぶった悪魔のように決め付ける批判は
無意識のうちに拒否しようとすることが自然なのです。

どうしても、批判は後ろ向きな性格を帯びます。
明るい展望は生まれてきません。

これに対して政権与党は、
これまでの実績を語ることができます。
また、今の現状の問題点を
政権党の立場から変えていくという
夢を語ることが容易なわけです。

何か聞いていて明るくなりますよね。

おそらく、人間だけでなく多くの生物は、
明るい方へと移動しようという
本能的志向があるのではないでしょうか。

なんか楽しそうだなということが、
なんかこの流れを、
人を悪く言う人たちに邪魔されたくないな
しかも、あの先生は誰々の、従兄弟の同級生だものな
とあるんだかないんだかわからないようなものでも
自分とつながっている人という意識が生まれてしまい
自分の所属の人だから
落選したらかわいそうだなということに
例えばなるわけです。

野党は政権党を批判しなければならない
これが宿命・・・
なのでしょうか。

問題は批判のやり方なんだと思います。
政権は、こういうふうに間違っている
というところで止めていたら
これまでの繰り返しですよね。
相手の悪口にしか聞こえない。

その先のプラスのイメージを語ることが
むしろ、有権者の投票に対する
モチベーションを高めるわけです。

その政策が我々を苦しめていると語るよりも
その政策をこう転換することで
こういう明るい未来が実現できる
ということこそ強調するべきなのです。

ところが、決定的に、そこが弱いように感じられます。

マイナスからゼロを語っていては明るくなりません。
人は動こうとしません。
ゼロがいかに素晴らしいか、ゼロの先のプラスが
人が協調して生活することに合致するのだという気持ち
そういうモチベーションを高めることが大切なわけです。

投票に行くこと、言って自分(たち)の名前を書いてもらうこと
このモチベーションを高める活動が選挙活動のはずです。

言いたいことは言った。
自分たちはとても正しい。
それでも得票にいたらなかったのは、
国民が悪い、政権党が強すぎた(ずるさもふくめて)。
というのでは、

同じ怒りを共有している人たちだけが
カタルシスを得るだけで、
支持の広がりにはあまり繋がらないわけです。
勝とうとしていないということになってしまいます。
この先も同じでしょうね。


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