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曽野綾子氏の不道徳発言を徹底的に善解してみる(東日本大震災についてのコメントについて) [災害等]


私は、友人との議論の中で、
人の心を動かしたり、結果を出したりするための言動
ということを考えました。
あくまでも今回はこの観点からの評価です。

この観点から一番意味のない言動は、
自分の同調者に向けて、
同調するだろう言動を行うこと。
これは、初めから同じ意見の人たちが
意見が同じだなということを確認するだけの言動ですから
言っても言わなくても同じです。

少しましな言動は、
相手の意見を制圧し、相手を言い負かす言動です。
意見が敗れたので相手に従うという
潔い人でなければ、動きにはなりません。

そうすると、一番意味のある言動は、
反対意見を吸収してより豊かな意見を構築していくこと
ではないかと考えるのです。

そう、怒りは、実は人の心を動かさない、
怒ってはいけない。
そう思った矢先であるにもかかわらず、
怒りを禁じえなかった記事がありました。

曽野綾子氏の発言です。
産経新聞のアパルトヘイト賞賛コラムをきっかけに
過去の発言がまとめられていました。
http://lite-ra.com/2014/10/post-575.html

最初は、「怒りは禁物」ということで
ただあきれて読んでいましたが、
東日本大震災の下りは、
どうしても怒りを禁じえませんでした。
その文章を以下に掲載します。

「大震災の時、私はその場にいなかったのですからよくわかりませんが、その夜から避難所には、食べ物を作る方はいらしたのかしら。私だったら津波が引いたら、鍋とかお釜を拾いどん焚いて暖を取りますし、高台に住む人におコメを分けてもらってすぐ炊き出しを考えますね。(中略)ところが、震災直後には『誰の所有物かわからない鍋や、誰の家屋の一部だったか定かでない木片を無断で拾ったり燃やしたりしたら、窃盗になる』なんてことを言い出す人も少なくなかったそうです」(「週刊ポスト」14年3月21日号)

「怒ってはいけない。悪くとってはいけない。」
頑張って善解することとしました。

何しろ冒頭から
私はその場にいなかったのですからよくわかりませんが、
と謙虚におっしゃっているではないですか。
現実を知らない無責任な発言ですと自覚していらっしゃる。
ではなぜ、あえてマスコミという公器を使って発言するのか
報酬をもらって発言するようなことかという疑問を持ちますが、
自分の無知を自覚していらっしゃることは評価するべきです。
「失礼を申し上げるかもしれませんが、お許しください」
といえば、もう少し趣旨が伝わったと思います。

その夜から避難所には、食べ物を作る方はいらしたのかしら。

当たり前のように避難所といっていますが、
夜までに家に帰れた人は良い方です。
電車も、バスも、もちろんタクシーも動いていません。
みんな長い距離を歩いて帰ってきたのです。
うっかり、自家用車で帰るものなら、
信号機も停電で動かない大渋滞の道路で
かえってたどり着くこともできなかったかもしれません。

水につかったまま、陸に上がれず
低体温症で死んでいきました。

食べ物を食べる気なんて起きませんでした。
激しい余震が何にも続いたのです。

曽野さんは、そういうことがわからないで言っているのでしょう。
だから、悪意があるわけでも、できないことをしろと
被災地ではむごい話と感じることも
無邪気にお話をされているのでしょう。
東京で被災したような感覚で、お話しされているのでしょう。
こちらを思いやっていらっしゃるのでしょう。

私だったら津波が引いたら、鍋とかお釜を拾いどん焚いて暖を取りますし、

鍋とかお釜をどこから拾うのでしょう。
もしかしたら、道路とか空き地に落ちているとか思っていらっしゃるのでしょうか。
落ちていたらそうしますということなのでしょうか。
それとも、津波で流された人の家に勝手に入り、
食器を盗んでくるというのでしょうか。
われわれ、東北人は、そういうことができないのを
歯がゆく思われているのでしょう。
曽野さんの国の文化と、日本の文化は少し異なるようです。
あるいは夜の真っ暗な水の中に潜って探せということなのかもしれません。

それから、どうやって火をたくのでしょう。
乾いたマッチやライターはどこにあったのでしょう。
何を燃やすというのでしょう。
水で湿っていない建物を壊すというのでしょうか。
やはり日本の道徳とは相いれないお話だと思います。
電気、ガス、水道などのライフラインが途絶したことは
ご存じでないはずはないので、
海辺のことだと思いますが、
燃やせる素材を提案されるのであれば、
今後のこともあるので、ぜひ教えていただきたいと思います。
何も暖をとるものもなく、
水が引かずに低体温症で死んでいった人たちに対して、
鞭打つようなことをおっしゃることにも
おそらく理由があることなのでしょう。
木の上だったり、家の屋根だったり、
水の中でも、どんどん燃やして暖をとれと
そういうことを言っているのではないのでしょう。

海辺の地域でないところでも
ライフラインは途絶していました。
乾いたマッチやライターはあったでしょう。
何を燃やして暖をとれというのでしょう。
避難所といえば学校や公民館、役所でした。
外は雪が降っていました。
人のものを燃やして、公共の危険を生ぜしめる
不道徳な人はいませんでした。
道徳にこだわるなという励ましなのでしょう。

高台に住む人におコメを分けてもらってすぐ炊き出しを考えますね。(中略)

海辺の街の中学校は避難所でした。
体育館は一階なので使えません。
もちろん一晩中水などひきません。
狭いスペースでも教室はいっぱいになり、
廊下でじっとしている人たちもたくさんいました。

水が引かないため、高台などへはいけません。
そもそも高台に行けたならば、
高台の避難所に始めから行くでしょう。

夜中でも次の朝でも
水浸しになりながら高台に住む人のところに行って、
教室という教室にあふれかえっている避難民のために
どれだけ、米を分けてもらえることでしょう。
ちょっと想像するなりしてもらえばよいはずです。
高台の人が、有り余るコメを備蓄しているという
事情もありません。
われわれは、考えませんね。

震災直後には『誰の所有物かわからない鍋や、誰の家屋の一部だったか定かでない木片を無断で拾ったり燃やしたりしたら、窃盗になる』なんてことを言い出す人も少なくなかったそうです」

誰が言っていたのか、情報源を明らかにしてほしいですね。
どの程度の影響力のあったことなのか、
わざわざ週刊誌に発表することなので、
よほど重大な情報だったのでしょう。

避難所の風景を知っているならば、
偶然落ちている鍋釜や、木片を拾うことが
それほど意味のあることでないことは
よくわかります。
一言で言ってどうでもよいことです。

どうして曽野さんは、どうでもよいことを
週刊誌にお金をもらって書いていたのでしょう。
どうして週刊ポストはこんなどうでもよいことを
お金を払って書いてもらっていたのでしょう。
きっと意味のあることなのでしょう。

知り合いが、平成23年3月11日
低体温症などで亡くなった場合、
このような記事が発表されたこと自体
とてもむごく感じることだと思います。
誰に何のために2014年になって書いたのでしょう。
なすすべもなく死を迎えた人たちに対して、
工夫も努力しないということを嘲笑し、
自分だったらたくましく生きるということを
得々として語っているようにしか読めません。
しかも、そんなこと誰だって思いつくし、
可能ならばやっていることです。

海辺でも避難所でも人の鍋釜を拾って来たり
濡れた木片を拾ってきても
何もいいことはありません。

被災者や被災者を知り合いに持つ人たちに対して
何の慰めにならないどころか
臓物をえぐるような酷い文章です。

それでも、週刊ポストは意味があるということで
表現の自由を行使したのでしょう。
ではなぜでしょう。

私は想像してみるのです。
おそらく、今の日本には、
津波におびえている人たちがたくさんいらっしゃるのでしょう。
その中には、あまりおびえる必要のない地域の人たちも
いらっしゃるのでしょう。
無駄な不安は精神を蝕むと心配されたのかもしれません。

実際の津波では何の役に立たない絵空事ですが、
そのように無用の心配をする人たちに対しては、

津波が来ても、東日本の津波のように
何日も水が引かないということはないのよ、
避難所に人があふれかえるということもないし、
体育館でも公民館でも気を燃やして暖を取ればよいし、
建物の中で暖をとれないなら、
雪の降りしきる外に出て落ちている木片で暖を取ればいい、
東日本じゃなければ、水が引いたらすぐ燃える
それから、町中あるけば、鍋釜が落ちてるから拾えばいい。
多少財産的価値があっても命には代えられない。
こういう時に他人のものなんてことを考えてはいけない。
高台に行けば、避難所の人たちが食べるコメが
大量に備蓄されているのだからみんなで行って
分けてもらいましょう。
と励ましているのでしょう。

これで十分なのでしょう。
実際に津波が来るとは思っていらっしゃらないのでしょうから。

もう疲れてきました。
やはり、曽野さんの主張は
善解しようがありません。
縦横ななめ前後ろから見ても
不道徳なお話だというほかはないようです。

訳知り顔で、罪もない人を傷つける言動です。
そしてそれにメリットは何もないようです。
不道徳です。

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