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翼食品全社員憲章(フィクションのパワハラ過労死訴訟の和解条項に別添された企業再生の宣言文 総務部特命課仙台支所番外2) [現代御伽草子]

和解条項
1 被告は、平成××年×月×日の甲の死亡については、被告に全責任があることを認め、原告及び原告以外の甲の死を悼むすべての者に陳謝し、二度と同種の事態を生ぜしめないために、別紙の通り翼食品憲章を作成し、就業規則とともに、全従業員、取締役に配布することとする。
2 被告は原告に対して、和解金として、労働者災害補償保険や厚生年金保険等の社会保険給付のほかに、金○千万円の支払い義務のあることを認め、これを平成○年○月○日まで、下記原告代理人口座に送金して支払う。但し送金手数料は被告の負担とする。
3 原告はその余の請求を放棄する。
4 訴訟費用は、各自の負担とする。

翼食品全社員憲章
1理念
 本憲章は、以下の目的のもと制定する。
1) 翼食品株式会社(以下「当社」という。)の取締役その他の役員及びすべての従業員(以下「全社員」という。)は、翼食品株式会社の永続的発展という共通の目標の元に集う者として、それにふさわしい、協力し合い、助け合う人間関係を形成する
2) 全社員は、各自及びその家族等関係者が、当社での就労を通じて充実した人生がおくることを当社の気風とする。
3) 本憲章及び就業規則は、上記目的に照らして解釈運用することとする。
4) 成果は、仲間たちとの共同作業の結晶である。手柄の取り合いは、会社を侵食するだけである。他人よりも優位になっても会社が縮小すれば、結局はデメリットとなる。
5) 部下を評価する上司は、部下から厳しく評価されている。くれぐれも、公平、公正に徹することと、自分の目に見える範囲の資料だけで評価しないこと。
6) 短期目標は長期目標の目安に過ぎない。過度に重要視しないことと、会社の永続的発展の見地から射程範囲を吟味する。
7) マニュアルなど過去に作成されたものは、あくまでも目安。今目の前にいる同僚や取引先の心情を的確に把握して柔軟に行動することが望ましい。
8) 会社は、人生の一部。実生活があってこその会社生活。ただ、一部とはいえ、見知らぬ人に対して、自己の労働の結果を通じて、幸福を届けることができる貴重な一部であることを忘れないこと。
9) 同僚の足りないところを責めるのではなく、いかにしてそれを補うかを考えて工夫するのが社会人。管理職としては腕の見せ所。
10) 労働の薄利多売はしない。
2 人を追い込む状況の整理と予防の視点
  以下の状況がある場合は、人が人を追い込む要因となることがあるので、極力これを避けるとともに、やむを得ずこのような状況が作出された場合は、人を追い込まないように通常以上に注意をすることとする。
1) 時間がない
 仕事を指示する際には、その仕事を完遂するにふさわしい余裕を持たせる。
 他者との連携を要する仕事は、自分の担当部分にいち早く着手し、後続者の時間を圧迫することのないように心がける。
 仕事を指示する際は、相手の段取りを狂わせることのないように、相手の状況をよく理解してから行う。
 仕事の指示を受ける者は、自分及び部下の既に与えられている仕事量を判断し、時間内に終わらない可能性がある場合は、その事情を正確に告げる。
2) なすべきことが同時に複数ある
 仕事を指示する際には、相手の現在の業務状態を把握し、納期に余裕を持たせたとしても、同時に複数の作業を余儀なくさせることのないよう心掛ける。また、優先順位を付けることができる場合は、明確にして指示する。
 仕事の指示を受ける者は、現在他の作業をしている場合は、その旨告げ、新たな仕事を受け入れることが可能か、相手に報告すること。
 仕事を複数の者に指示する者は、指示をする対象を適正に配置し、特定の者だけに作業量が偏ることのないようにする。
3) 業務上のミスをした
 業務上のミスは、以下のように反省する。第1に、ミスが及ぼす当社および従業員の損害の把握、第2にミスが起きた原因を具体的に分析する。第3に今後同種の事故を行さないための具体的な工夫。これを上司に報告し、各同僚に徹底する。具体的に改善の方法が一律に導かれない、「心が弱かった、気持ちが緩んでいた」等の反省はこれを認めない。
 求めた結果が生じない時は、その原因を分析するべきであり、結果が出なかったことだけをとらえて評価してはならない。
4) 基準、価値が不明である。
 仕事を指示する場合は、完成のイメージなどを途中で一方的に変更して指示の撤回修正を行わない。指示の撤回、変更をする場合は、相手とよく話し合い、余裕を持って、変更しうるように、相手に配慮する。
5) 長時間緊張を強いられる
緊張を強いる仕事の際は、上司は、必ず、途中に休憩を指示し、緊張が長時間連続しないように配慮する。援助者を配置することも有効である。
 特定の者に、長時間の緊張が継続する作業が偏らないように配慮する。但し、会社の代表権のある者はこの限りでない。
6) 睡眠不足
 法定労働時間内にすべての作業と後片付けが終了するように、日々の業務を管理する。
 毎日の就寝時間(実際の睡眠時間ではない)を最低限7時間確保することが、健康管理の上では有益であることを確認する。
 残業を命じる者は、自己の上級の職員の許可を要する。その際、残業を命じる前30日間の累積時間外労働時間、休日労働時間の資料を添える。
 休日労働を命じる者は事故の上級職員の許可を要する。その際、残業を命じる前30日間の労働日の資料を添える。 
7) 健康不安
 健康診断や、日々の生活で、何らかの健康に不安がある場合は、速やかに医療機関に赴き、必要な手当てを受ける。
 就労上、差しさわりがある可能性がある場合は、上級職員又は総務部職員にと相談する。
 健康不安の相談を受けた場合は、提携医療機関の紹介を行うとともに、休職制度その他の治療や休養を行う制度を紹介し、心理的、経済的に治療を受ける条件のあることを告知する。
 8) その他不可能を強いられる状況
    何らかの事情で、現在の作業の継続に困難を感じた場合は、上級に相談し、困難となっている作業を特定し、先ず原因を分析し、再配転など必要な措置をとること。原因の分析をしないで、作業の継続を求めることは禁止する。
 9) ライフバランス
     業務作業は、家庭では行わない。プライベートの携帯電話は、取引先には公開しない。業務時間を離れて、取引先などと携帯電話で連絡を取り合わない。会社の当直電話番号を事前に知らせること。
     出産休暇、育児休暇、介護休暇その他、家庭生活のために必要な制度は、資料を閲覧出来るようにしているとともに、口頭による詳しい説明を受けることができる。
     一般的な悩みがある場合、総務部特命課または外部の相談機関の紹介を受けることができる。この場合は、秘密厳守である。
 10) 取引先とのトラブル
     トラブルは、すべて複数体制で処理する。できるだけ事前に上級職に報告し、上級職の指示を仰ぐ。
責任の所在にかかわらず、トラブルが感情を伴うものである場合は、上級職も直接対応する。
まずは、トラブルに伴う双方の被害、その原因、対応策を検討し、それが確定するまでは、当社および取引先に対しての評価を行わない。
3 指導方法
  1) 結果を叫ぶのではなく、結果を導く具体的指導をする。
     ミスを注意するのではなく、ミスをする原因を分析し、具体的な改善方法を提案する。
  2) 指導が奏功しない場合は、指導法を見直す。
     「何度言ったらわかるんだ」という発言は、上司としての恥と思うこと。相手に合わせた指導ができていないことの証拠。あるべき部下を念頭に置くのではなく、現実の部下の特性を把握して適切な指導を行うのが上司の務めと心得る。
  3) 何度も同じことを繰り返し述べるのも上司の務め
部下が一度で把握できない場合も多々ある。繰り返し説明すること によって、必要性や方法を会得していくことがある。できないということは、改善方法を見つけていないということ。上司は部下に先駆けてその部下に応じた改善方法を探し出し、具体的に提示し、全体として結果を出すことを求められている。
  4) 指導の場合は、何を獲得するのか、言葉で明確にしてから行う。
      自分の指導によって、部下の行動や考え方をどのように変化させるか、青写真を描いてから指導を行う。場当たり的指導は、部下に対してダメージだけが残る。結果を求めてモチベーションを低下させるなどのデメリットの少ない指導を心掛ける。
  5) 部下の行動の肯定は言動で明確にする。
      部下の行動の肯定し、繰り返しを求める場合は、適切に肯定的評価を行う。一般的、全面的肯定ではなく、特に肯定評価をする部分を特定して肯定する。
  6) 部下の改善または変化が不可能である点を指摘しない
      親のこと、家族のこと、友達のことなど会社以外の仲間については、特に否定的評価を行わない。
      容姿、性別、年齢、出身地などを援用して批判をしない。
  7) 指導の際には、長時間話さない。短時間で済ませるよう、要領よく行う。また、部下が説明しようとする場合はこれを遮らない。
  8) 部下の行動を否定する場合は、その部分を具体的に特定する。何を指導されているかわからないような指導はデメリットが大きい。
  9) 部下を指導する場合は、他の同僚に聞こえないよう、別室などで必要な声量で行う。
 10) 屈辱的な表現はしない。他者との安易な比較はしない。
 11) 部下に結果を押し付けていないか常に振り返る。部下が自ら選択する選択肢を具体的に提起することが指導である。
4 環境整備
  1) 適切な配置 人員
     想定される作業内容を的確に把握し、人員を配置する。余裕のない配置をするよりも一人余裕のある配置を行い、作業量を増やすよりも、補助、確認体制の充実など、クオリティーを上げることを志向する。欠員が生じた場合は、当座、上級が補充するなど、作業量が特定の者に集中しないように心がける。
  2) 緊張を伴う業務の補助
     緊張を伴う作業について、一人が全責任を取ることなく、援助者を配置し、随時交代を可能なものとし、相談、援助に即応しうる体制とする。
  3) 労働時間の把握
     作業開始時刻、作業終了時刻は、IDカードで機械的に記録する。残業命令を許可制とするとともに、部下からの自発的な残業の際も申出を受けた者も自己の上級の許可を要する。
  4) 部下の提案の吸い上げ
     部下の提案については、その積極面を積極的に評価し、意見を採用しない場合は、その理由を告げて納得するよう説明する。提案をしたこと自体に対して否定することはしてはいけない。
 5 同僚としての心構え
  1) 縁あって当社に集う者という意識を持ち、何事も援助し、ともに成長する仲間という意識を持つ。
  2) 同僚の悩みについては、一概に励ましたり、良かれと思って「気の迷い」にしたりして一蹴することなく、まずは、何を訴えたいのかということを真摯に受け止める。話を聞くという態度が望ましい。
  3) 悩みを自分で受け止めきれないときは、突き放すのではなく、適切な相談機関を紹介し、可能であれば同行する。
  4) 同僚の状態悪化は、自分に対してしわ寄せが来ると思い、親身になって、自分のこととして考える。
  5) 社会人、会社人等、架空のあるべき人物像を設定し、それに満たないことを持って同僚、部下、上司を批判しない。物事不十分なところ、十分なところが必ずあると思っていれば間違いない。各社員は、現実の人間として個性を有していることを再確認する。良いところを発揮してもらい、不十分な点は同僚がお互いさまとして援助しあうこと。
  6) 当人の精神状態にかかわらず、孤立している者、困難に直面している者等、自分なら追い詰められるかもしれないという事情が客観的にある同僚に対しては特に配慮し、積極的に事情を聴くとともに、困難を回避する具体的な方法を提案する。
 6 相談是正機関
全社員は、本憲章に反する事態があった場合は、事態の関係する同僚及びその上級に対して、是正を呼びかけることができる。
前項の措置が不能な場合は、総務部特命課に対してその旨を告げて改善を要求することができる。
総務部特命課に相談できない事情がある場合は、その事情を告げて非常勤の憲章顧問弁護士に相談することができる。
相談を受けた者は、秘密を厳守するとともに、是正の呼びかけ、相談をしたことを持って、その物を不利益に取り扱うことをしてはならない。
相談を受けた総務部特命課長は、迅速に事実調査を行う。必要があれば、本憲章違反行為を適切な方法で記録化することができる。
総務部特命課長及び本憲章顧問弁護士(以下「Gメン」という。)は、その違反疑い行為に関しては、当社代表者と同格の者として是正を提案することができる。
Gメンは、起きたことの、全社員、取引先への不利益を検討したうえ、その必要があれば原因について分析し、改善方法を具体的に提案することとする。
Gメンは、懲戒権限を有さない。懲戒機関の担当となることはできない。
Gメンは、対象者が、その指示に従わない、その指示を拒否するなどの事情があれば、懲戒委員会等適切な機関に報告することができる。

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