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親は子のために隠す、夫は妻のために正義を我慢する。論語に学ぼう。他人の家庭に土足で常識や法律を持ち込まないでほしい。必要なことは家族を尊重するということ。 [故事、ことわざ、熟語対人関係学]

弁護士は、家族、特に夫婦の関係の壊れていく状態に
立ち会う仕事です。

いろいろなご夫婦をみていると、
夫婦関係が壊れていくには、理由があるようです。

最近わかってきたことは、
夫婦の間を規律するのは、
愛情といたわりでよいということです。
それなのに
余計なものが割り込んでくると
夫婦の関係にひびが入ってくるようなのです。

余計なものとは、法律や政策であったり、
「常識」や「道徳」であったり、
合理性などというものです。

本来、それらは、他人同士を規律するための道具です。
家族なんて言うものは、それぞれが良ければよいわけです。
たとえば妻が夫の前で「おなら」をしても、
ああ、おなかが苦しくなくなってよかったねと思う夫もいるし、
俺を馬鹿にしているのかと怒る夫もいます。

気にしない夫の前でおならをどんどんすればよいのです。
気にするならばトイレなりに行ってやればよいのです。
どっちでなければならないということが余計なことなのです。

人間には個性があります。
しかし、道徳や法律は多様な個性を
すべて念頭に置くことはできません。

見ず知らずの他人同士の基準を作らなくてはならないから
この世に存在しない「平均人」を念頭において作っているに過ぎないのです。

ところが、これをあたかも人類の真実のように
万人が従わなければならないもののように思いこんでいる人が

夫婦の一方に吹き込んで、
不安を抱かせているように思います。
「あなたそれは馬鹿にされているよ。」
「なぜ怒らないの?」
「あなたは悪くないのに、どうしてそんなことを
 言うことを聞いているの?」
など

これが、双方の実家や、友人
カウンセラー(含む弁護士)などから吹き込まれて
真に受けて悩むご家族が少なくなくいらっしゃいます。

「人の家に土足で踏み込んでくるな!」と
私は、多くの離婚事例を見ながら悲しくなるのです。
その結果家族が崩壊し、
子どもが大変に苦労をするからです。

似たようなことを2500年も前に言ったのが
孔子です。(私の独自の解釈ですが)

よく、人情を解いたものだと説明されている箇所なのですが、
論語の子路第13の18には、
概ねこんなことが書かれています。

葉公という結構立派な軍師が孔子に言った
「私の地元には、正しい男がいて、
 自分の父親の羊の中に他人の羊が紛れ込んだのを隠して
 父親がネコババしたと、役所に訴えて出た男がいる。」
というのです。
これに対して孔子は、
「私の地元では、子は父のために隠して
 父はこのために隠すのがあるべき姿だとされている。
 真実は、ここにある。」
と返したそうです。

よく、これは、人情が大事だと孔子が言っている等と
説明がされているところです。
しかし、そうだとすると
他の文章から比べて、あまりにも唐突なテーマが
18番に入れたことになります。

私は、ここで言いたいことは、
そのような情緒的な問題ではないと考えます。

法律の意味、即ち、国家というものの在り方についての説明だと思います。

国家や法律というものは、人々が安心して暮らすための道具で、
為政者は、そのように心得なければならないということを
論語、特に、子路第13では述べられています。

家族の中に道具であるべき法律を持ち込んで
家族同士が、お互いを処罰するようになってしまったら
社会秩序が根底から覆る
本末転倒だと第13の18では言いたいのだと思います。

同じ子路第13の1は、政治とはないかという問答がなされています。
民のしてほしいことを先回りして行う
というようなことが述べられています。

弟子の子路が物足りずさらに聞いたところ
それをあきずにやることだ
というようなことを孔子は回答しています。

人々が心安らかに生活するためには、
家族のように、お互いを尊重して思いやって生活すること
政治もそのようにすることが肝要だということです。
そして、家族と政治が根本的に違うところは、
家族は言われなくても、死ぬまで
お互いを尊重し続けるというところにあります。

孔子に詳しいわけではないのですが、
弁護士の立場からはそう解釈します。

人間の基本的集団は家族であり、
国家の政治は、親が子に愛情を注ぐように行うべきだ
家族に近づけるように政を行うべきだ
というのが私の解釈です。

また、子路第13では、
トップに立つ者の心得が示されており、
結論を求めるのではなく、
結論を誘導するべきであり、その方法は何か
等と解釈できるようなこともかかれており、
大変興味深く、勉強になると考えております。
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