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北風と太陽の本当の意味、あるいは他人に対する優しさと厳しさの具体的意味 [故事、ことわざ、熟語対人関係学]

北風と太陽の本当の意味、あるいは他人に対する優しさと厳しさの具体的意味

イゾップ寓話の「北風と太陽」という話があります。

北風と太陽が、くらべっこをして
道を通る旅人がマントを羽織っているが、
どちらが、このマントをはがすことができるか
ということになりました。

まず北風が、強く風を旅人にあてました。
旅人はマントが飛んでしまっては大変だと
マントを強く抑えたので、
マントをはがすことができませんでした。

次に太陽が、ぽかぽかと日を当てましたので、
熱くなった旅人はマントを脱ぎ
太陽の勝ちになったというお話です。

寓話ということで、
他人には厳しいよりも優しくするべきだ
みたいなまとめ方で紹介されているようです。

しかし、この寓話には、対人関係学の
主張の一つを見事に表現されています。

それは、人を動かす場合は、
結果を押し付けるのではなく、
選択肢を提案して誘導する
ということです。

家族のカテゴリーにしましたが、労務管理でも一緒です。

北風は、「マントをとる」という結果を
旅人に押し付けようとしました。
この結果、旅人は反発し、
結果を出さないように努力をしてしまいました。

太陽は、結果を押し付けるのではなく、
暑くすることによって、
旅人にマントを脱ぐという選択肢を与え、
その選択肢に誘導したことになります。

違いは、
対象者である旅人の
意思に働きかけたかどうか
というところにあるのです。

これが石ころを動かすとか、木の枝を折るという
人間の意思を介在させるのではなければ、
結果を実現しようとすればよいのです。

ところが、
人間という意思を持った動物に働きかける場合
相手は、意思を持っているということを見過ごしがちです。
上意下達といっても、
上司はそれに甘えるわけにはいきません。

まして、対等な夫婦の場合はなおさらです。

これは、どんな素直な人でも、
「自分の身は自分で守りたい」
という動物の本能がありますから、
行動を強制されると、
自分の身が自分で守れないかもしれない
という無意識の息苦しさが出ますので、
自然と反発するようになっているからです。

そうでなければ、どうでもいいことか
かなりの依存傾向がある場合かもしれません。

逆に、
相手が人間である場合、
相手が自分から進んで行動する場合は、
大きな力になるということなのです。

ただ、これはなかなか難しく、
かつ、自分の考えが正当であり、
相手が劣っているという意識があれば、
どうしても結果を押し付けてしまう傾向が出てしまいます。

そうなってしまうと
相手方は、行動を制約される息苦しさのほかに
群れから追放されるという無意識の危機感が生まれてしまい、
怒りの感情によって、
相手を攻撃することによって危機感を解消しようとしてしまいます。

家庭の中では、正しさは、具体的人間の外にあるのではなく、
パートナーの気持ち、喜び、安心の中にあると
考えるところから出発しなければならないことになります。

厳しさとは、
相手をうまく誘導できない人が、
結論をあせる場合に強引に結論に持っていきたい場合、
そういう場合に出る話です。
パワハラなんて言うのもまさにそういう場合が多いです。

職場では
時間がない場合、
上司に指導力がない場合などですね。

家庭では、自分が正しいと確信していることを
相手が行わない、逆を行うなどという場合でしょうか。

優しさとは、
うまく
相手の気持ちを、行為に誘導し、
自分の意思でこういさせることによって、
結果に対する相手のモチベーションを上げる場合
ということになりますね。

できない相手の方が悪い、俺の方が正しい
ということは、
残念ながら、子どもの論理ということになります。

ただ、選択肢を与えて結果に誘導するということは
なかなか難しいことです。

ポイントは、
相手ができることを誘導すること
信頼関係があり、
自分の弱点を知っていて、そこを攻撃してこない、
余計な緊張を与えない、
それを達成することで、
安心感も高まる(評価が上がるなどの理由で)
ということなどがあります。

わかっちゃいるけれど
なのですが。

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