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自死をいじめられた子どもたちに責任転嫁する参議院厚生労働委員会決議を叱る。 [自死(自殺)・不明死、葛藤]

平成27年6月2日
参議院厚生労働委員会は、
自殺対策のさらなる推進を求める決議を
全会一致で採択しました。

参議院のホームページで確認していただければと思います。

全11項中9項は削除するべきだと考えることについては、
昨日アップしました。(この記事の下の記事)

怒りに任せて書きましたが、
特に、子どものことについては、改めて指摘したほうが良いし
できるだけ賛同する人を増やしたいので、
努力して冷静に書かなければならないということで、
改めて本日記載する次第です。

11項の全文を引用します。

十一、児童生徒を含む若年者の自殺対策については、生活上の困難やストレスに直面しても適切な対処ができる力を身に付けさせる教育が重要であることに鑑み、全ての児童生徒を対象に「SOSの出し方教育(自殺の0次予防)」を実施すること。

若者の自殺対策で述べられていることは、
この11だけです。
そうだとすると、
参議院厚生労働委員会で、今、
若者の自殺対策で重要なことがこれだということになります。

このブログ記事は、このことに対する批判であり、抗議です。

そもそも対策とか政策は、
現状の問題点を分析したうえで、
その問題点に対応した形で、
それを是正する措置を行うものです。

政策を分析すれば、
政策判断した人の
現状認識が明らかになります。

この11から見えてくる参議院厚生労働委員会の現状分析は、

生活上のストレスや困難に直面して適切な対処をする能力がない
SOSの出し方が悪いので、自死を防止できない

と読まなければなりません。

まず、SOSの出し方が悪いので自死が防止できないのでしょうか。
ここ数年の著名ないじめ自死事件では、
SOSの出し方が悪かったのでしょうか。

違うでしょう。
広く報道されているように、
子どものSOSに気が付いているのに、
担任などに、本人や周囲がいじめを訴えていたのに、
教師をはじめ、大人が知らんふりを決め込んでいたではないですか。
ひどいところでは、
教師が一緒になっていじめをしていました。

知らんふりを決め込む、見てみぬふりをしている大人に対して
自分を守るためのSOSの出し方があるのでしょうか。
この決議に賛成した議員は、ぜひ子どもだけではなく、
パワハラで苦しむ大人にも教えるべきです。

端的に現状認識が間違っている。
いじめを無くすのは、
大人の責任であって、子どもに責任を転嫁してはいけない。
ましてやいじめを受けている子供に責任を転嫁してはいけないのです。

いじめを受けている人間は、大人も子供も
客観的状態がそれほど悪くなくても、
絶望的な気持ちになり、自分には味方がいないと思いこんでしまいます。
手を差し伸べている事実を認識していても
味方になろうとしていることを認識していません。
多くのいじめ事件の当事者からの事情聴取で
例外がありませんでした。

これは、うつ状態になると
悲観的になり、自己肯定感を持たなくなり、
悪い方,悪い方と病的な考えになっていくから
当り前といえば当たり前なのです。

既にいじめられて、精神的に圧迫されている子供に
SOSの出し方の知識があったとしても、
使いようがないのです。

周囲が気づくことが大切ですし、
いじめを防ぐことこそ、自死予防として真剣に考えるべきです。

昨日も書きましたが、
子どもは、大人が信用できれば
SOSを発します。子どもとはもともとそういうものです。

なぜ、SOSを発しないのでしょう。
実に簡単です。
大人が信用できないからです。

現状いじめの相談で多いのは、
先生に相談しても、
いじめているという子は成績優秀だから
いじめをするはずがないといわれて困っている
というものです。

大人が、自分の都合で
いじめをなかったことにしているのです。

また、いじめを訴えた子が、
先生から、別室授業を強制され、
不登校になった事例もあります。
いじめた側の親が学校に怒鳴り込んで、
そちらの主張を通したからです。

このような自己保身を図る大人たちに
子どもはSOSを発するでしょうか。

先生に助けてといっても、
「いじめはない、いじめと感じるほうが悪い」といわれたら、
自分という存在を否定されたことと受け止めます。
現実に苦しんでいることを否定されるわけです。
いじめられて傷ついている子供は敏感です。
むだなSOSを発することによって
さらに傷つくことはしたくないのは当たり前です。

では、親になぜ相談しないのでしょうか
親子関係に問題があるからでしょうか。
国会は、このような親子関係は阻害要因だと切り捨てるのでしょうか。

実際は、子どもは、いじめられていることが
親に申し訳ないと考えています。
情けない自分の状態で家族に心配をかけたくないと
そう考えます。
これは、パワハラやセクハラを受けている大人と一緒です。
ますます自分を苦しくします。

親子関係が良好なことは
保護要因にも阻害要因にもなるのです。

また、クラスの大勢、特に自分が仲良かった友達が
自分をいじめることに加担したり、
いじめを見てみぬふりをしたりしていた場合、
この絶望感は深刻です。
対処しろということには、無理があり、
残酷なしうちであり、
それ自体がいじめであると私なら思います。

参議院厚生労働委員会は、それでも対処を求めているわけです。
親が仕事などで、夜も一人で生活している子どもたちに
どうやってストレスに対処しろというのでしょうか。
貧困は子どものせいなのでしょうか。

子どもの健全な成長は、大人の責任において行うべきです。

また、SOSを出さなければ大丈夫ということではありません。
追い詰められている人がSOSを出せない心理は述べた通りですが、
しばしば、自分が追いつめられていることに気が付かないこともあるのです。

客観的に、追い詰められるかもしれないなとという状況があるなら、
大人が積極的に介入指導するべきなのです。

そして子どもに信頼される大人にならなければならないのです。
子どもの弱い部分はもちろん、汚い部分も全て含めて
成長過程ということで受け入れて尊重する。
少しずつ成長を促していくということで初めて
子どもたちは安心します。

競争に勝つためだといって
ことさら屈辱的な叱責をしたり、
指導もしないで結果が出ないからといって懲罰だけをする

教育の名のもとにはずかしめをうける必要はありません。

こんな大人からSOSの出し方教育を受ける子どもは、
かわいそうでなりません。
参議院厚生労働委員会が何を考えているのか全く分かりません。

悪意があったわけではないと思います。
しかし、結果的に、デメリットの方が大きいでしょう。
決議を上げることによって救われる子どもは少なく、
このことが実現されることによって苦しまされる子どもの方が多いと思います。

無知であることは、政治においては非難されるべきです。
著名ないじめ事件などの報道を
一般人程度にも接していない国会議員の集まりだったよう言うことです。

しかもただ、無知なだけではない。
少し考えてみればわかることです。
子どもが苦しんでいるのは、子どもに責任があるわけでも
子どもが対処しなければならないことでもなく、
大人が責任を持って解決、予防しなければならないということなのです。

参議院厚生労働委員会のメンバーを見て唖然としました。
人がいじめられることの深刻さを理解しているはずの
自民党の女性議員、
学校問題に置いては理解があると思われていた
自民党の女性議員、
差別の問題、不合理な子どもの問題では見識があるはずの野党議員
共産党や社会党の重鎮
全会派が一致して、こんなバカな決議に賛成しているのです。

平和だ、差別のない社会だ、弱者保護だと
きれいごとを言ったとしても
肝心かなめの子どもに責任を押し付ける議員、政党は
私は信用しません。

党利党略より、子どもの健全な成長を第一に考えてほしい。
ところが、現在では、参議院厚生労働委員会の会派には
そのような政治の根本を見つめる会派は存在しませんでした。

自殺の防止という
人権を守るギリギリのことさえ、
無知の上に、理解しようともしないということも
明らかになってしまいました。

わからないならわからないといってほしい。
わかったふりをして、
子どもやしいたげられた人をさらに追い詰めないでいただきたい。

責任をもってこの決議に賛成したというなら、
説明をしてほしいと思います。
今、学校に行けなくなって苦しんでいる子どもや
年齢的に子どもなくなった人たちに、
この決議が実行されていれば
こんなことにはならないで済むと
胸を張って説明してほしいと思います。


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