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過労死リスクの高い人に、過労死予防の声は届かない 困難を認識しない啓発は効果が期待できない survivor [労災事件]

過重労働職場から離脱した人との対話が進んでいるのですが、
どうやら、
過労死の危険の高ければ高い人ほど
過労死の予防ということを考えられない構造にある
らしいことがわかり愕然としています。

普通に朝に出勤して、
夜の2時前に仕事が終わらず、
土曜日日曜日もなく働き続けている人に、
奥さんと夫の母親の要請で、
双方の両親、弁護士、カウンセラー、別の過労死遺族で
過労死の危険を説明したことがありました。

本人は、毎日眠くて、
自宅にもう少しで到着するというのに、
限界が来て、近所のコンビニの駐車場で駐車し、
そのまま眠ってしまい、
コンビニの駐車場から出勤することもあるくらい
疲労のピークにあるのに、
「私は元気いっぱいだ」
と主張し、仕事をやめるということはありませんでした。

目は充血し、らんらんと輝いているという状況で、
交感神経が亢進しまくっているような
異様な様子でした。

この方は、奥さんとお母さんの粘り強い説得で
転職ができました。
ただ、理屈が届いたわけではないのです。
おそらく仕方なく転職したのでした。

これを、過重労働職場のすべてのケースで行うことには
無理があると思います。
まず、家族の不退転の決意が必要となります。

これは、その人や、その人のお父さんの
特殊な考え方という要素もあるのかもしれないと
ぼんやりと思っていたのですが、
これこそが、まさに過労死をする人の本質ではないかと
過重労働から離脱した人と話して
考えざるを得なくなりました。

以下、過労死予防が届かない理由です。

第1に、おそらく性格的な理由で、
「目の前の課題を完璧にこなす」
という発想しかないということです。

過労死をする人って、過労自死も一緒ですが、
(働きすぎてうつになる人も)
やらなければならないという意識がとても強いです。
責任感の塊のような人ばかりです。

例を挙げて言いますと、
期限までに1000万円の売り上げを達成するノルマが出されたとします。
これは、やや無理なほど、重いノルマだとします。

まじめなAさんは、それが困難であるなら、
どうやって実現するかを考えます。
多少ルールを破り、時間を超過しても、
ノルマ達成のために、すべてをなげうって無理をします。
人間関係さえも後回しにします。

普通のBさんは、
ノルマが出される事情については受け止めますが、
別に達成しなければ会社がつぶれるわけでもないんでしょと
要するにいまままでよりも売り上げを上げて、
1000万円にちかづくように頑張りましょう

そういう風に自分の都合に合わせて
意味を交感してしまうことができる人です。

Aさんが過労死タイプのわけです。
健康も大事だろうけれど、
それは目の前の課題がひと段落ついたら考えようと
そのくらいは考えているかもしれません。

しかし、ひと段落ついたころには、
次の課題が提起されます。
健康について考えるときは来ないわけです。

また、自分を大事にするということについて
生物としての自分を大事にするという発想よりも、
会社から見た自分、上司から見た自分のポジションを
より有利にするということが
ご本人に取って、自分を大事にするという発想のようです。

会社なり、家族なり、
対人関係の中の自分という意識が強すぎるようにも思われます。

そうして、手を抜くことは
自分がだめになる
なんてことを感じているわけです。

過労死啓発が伝わらない第一の理由は、
過労死のリスクの高い人は、
単体の人間である自分を考えることができない
そういう発想を持てないので、
過労死予防なんてことを言うのは
怠けものの論理だという先入観があり、
言葉を聞いても心に入ってこない
ということです。

第2の理由は、
物理的に啓発活動に参加もできないし、
仕事に関連している者以外に
耳を傾けたり、目を向けるという
そういう時間がないということもありそうです。

自分のことを考える発想もないうえに
考える時間もないということです。

忙しすぎて
言葉を見ても、
自分のこととしてとらえる精神的余裕がない
というように言えるかもしれません。

過労死予防が届かない第3の理由は、
自分が過労死をするという発想がないということです。
それは、走り続けたり、有害な環境にいたら
健康被害はあるでしょうけれど、
室内のエアコンの効いた環境で働いているだけで、
死ぬっている発想は出てこないのかもしれません。

過労死である
くも膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離などは、
致命的な発症が起きるまでは
自覚症状があまりありません。

突然死なんて言われていたこともあるくらいです。

うつ病は、り患しても自覚症状がないことが多いです。

理性的に、悪い環境とは何かということを学習し、
環境を変えていくしかない

感覚的に過労死に近づいているということがわからない
ということが第3の理由です。
これを説明するためには、
ある程度の時間が必要ですが、
聞く時間も、理解する精神的余裕も
ないというのです。

第4というか、あるいは背景事情なのかもしれませんが、
今の現代人は、
自分を大事にするという発想が
弱いのではないかということを感じ始めています。

第2あたりと関連するのですが、
自分を大事にしないというよりも、
大事にするからこそ、
他人の評価を気にしている、
誰かから評価されることこそ自分を守ることだ
というような発想が強くなっているような気がします。

自分を守るために頑張りすぎて、
そのために自分の寿命と健康を削っているわけです。

生命として、単体の自分を大事にすることが
まるで、怠けているような、
精神的に未熟でもあるような
そんな風潮があるようです。

過労死予防の啓発活動は、
厚生労働省をはじめとして
国を挙げて取り組んでいる課題です。

私もその下請けというかお手伝いというか
啓発活動の端くれで頑張っているのですが、
これらのことに気が付いて愕然としました。

ただ、私は根っからのBさんなので、
わからないまま進めていることが問題で、
わかったから、少しでも効果が上がる方法を考えられるのではないかと
これを書いている次第です。


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