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原因の分析抜きに結果だけを求めるとこうなる。教師の不祥事防止についての千葉市教育委員会の発想の貧困 [労務管理・労働環境]


<相次ぐ教諭の不祥事>チェックシートに個別面接… 再発防止に効果は? 頭痛める市教委「当たり前から始めなくては…」 /千葉

千葉日報オンライン 8月7日(日)10時54分配信

という題の記事が、紹介されていました。

市教育が、チェックシートを作り、
セルフチェックを教師にさせているそうです。.

シートは「飲酒運転」「交通違反」「わいせつ・セクハラ」「体罰」
等の7項目で構成され、
例えば「飲酒運転」では
「飲酒を伴う席に参加する時は、必ず車両を自宅に置いて参加している」、
「わいせつ・セクハラ」では
「個人的に児童生徒と学校外で会わない」などが確認事項になっている。

ここまでしなくてはいけないのは、
市教委は当事者意識の希薄化があると考えているからだそうです。

こんなチェックシート効果が上がるわけがないと思いませんか。
このチェックシートで校長と面談する時、
本当に悪いことをやっている人が正直にチェックするとは思えません。

それだけではなく、
既に、当たり前のことができなくなってから
ようやくチェックできる仕組みになってしまっています。

このような役に立たない、
教師の時間だけ奪う作業をやらせる最大の要因は、
なぜ不祥事を起こすのかという分析が弱いからです。

当事者意識がないというのはお役人の発想です。
教育現場の発想ではないでしょう。

それでもよいから、なぜ当事者意識が無くなるか
という根本原因を考えなければなりません。

これは後から述べますが、
もう一つ問題は、

「不祥事を起こす教師は、もともと変な劣っているやつで、
 隠れている問題教師をあぶりだして
 ささっと排除してしまおう。」
という発想になっているということです。

「まじめな志をもって教員になった人が
 何らかの理由で、判断力や思考力を失い、
 逸脱行為をするまで追い込まれ、
 抑制できなくなってしまった。」
という発想がないということです。

こんなチェックシート、
すべての教員を問題児扱いしているようで、
チェックしろと言われたら大変不愉快だと
私なら思いますけどね。

また、「罪を犯せば重い処分が下りることを
わからせる」なんて言っていますけど、
発覚したら職を失うことなんて
どんな教師も百も承知です。

それから、チャックさせないと
部下の状態を把握できないという
管理職をそのままにしているということも
報道されないだけかもしれませんが
気になるところです。

市教委が学校ごとに再発防止に関する文書を出したり、
校長が個人に口頭で注意喚起してきた。
しかし不祥事は減らなかった。

原因を分析しないで、
「悪いことはやめるように」
ということを繰り返して
じゃあやめますというようになることを
期待でもしているのでしょうか?

具体的なシーンを想像してみてください。
あまりにもばかばかしいでしょう。

根本的な疑問は、
そもそも学校という、
生徒一人一人の到達点を把握して
効果的な指導を行うという
教育ということを
教育委員会はあまり考えていないのだと思います。

100点取れよ
ここ覚えとけよ
20秒以内に走れよ
50m泳げるようになっとけよ
というような結果の押し付けと
その到達による成績評価を
学校教育だと思っているのではないでしょうか。

どうやったら息継ぎができるようになるか、
どうやったら図形問題の補助線を引けるようになるか
たとえばそういう「教える」ということを
そもそも放棄している
ダメな生徒はだめで放置
優秀な生徒は学校のため褒め育てよう
という発想に近いチェックシートだと思います。


では、本題。

どうして不祥事を起こすのか、
何度も形を変えて述べていることなので、要点のみ

忙しいということが根本原因です。

忙しさとは
与えられたノルマに要する時間が短すぎる
複数のノルマの複数同時進行を求めている
与えられた時間の中でやるべきことが多すぎる
等のことです。

では、この忙しさはどのように悪さするか

時間がないということで焦る理由は
前に書きました。
「時間がないと焦る理由 焦るというのはどういうことか 焦りを抑える方法」
http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21


時間がないという感覚が、
命の危険が迫っていると同じように
脳内にパニックを与えてしまう危険がある
ということが一つです。

これに今回捕捉しなければならないと考えているのが、
やらなければならないことが多すぎて、
自分がやりたいことができない日常だとすると

「いざとなったら、自分で自分の身を守ることが
できなくなったしまうのではないか」
という予期不安を感じるようになります。

「いざという時」なんてことは、おそらく来ないし、
「自分で自分の身を守る」なんてことも
具体的に考える必要はないのですが、

そういう不安感に襲われてしまうことになる。
ということです。

性犯罪の多くは、
自分で自分のことを決められないという
拘束感が強い人が起こす場合が多いです。
他人から支配されているという感覚を持ってしまうと、
他人を支配したい、自分の考えで他人を左右したい
という感覚となり、
反撃を想定しないで
性的逸脱行為を犯しやすくなるようです。
盗撮なども、無防備な状態にしておいて
優越感に浸るという、
ものすごく異常な心理状態なのです。

一般に不安感、不自由感が強くなりすぎると
① 過程を楽しむことができず、結論に飛びつくようになる
② このことをやったら、その結果どうなるという将来予測ができなくなる
③ 二者択一的な思考方法になる、
④ 複雑な考え、折衷的な考えができなくなる。
⑤ 仲間の中にいる自分という実感がなくなり、人の目を気にしなくなる。

一言で言って短絡的になるわけです。
刹那的といっても良いかもしれません。

このモンスターペアレントや受験競争の時代に、
ブラック企業だとか言われてもなお、
教師になりたいと言って教員に採用されている人たちですよ
もともと変な人であるはずはないと思います。

もしそういう変な人が教員に採用されたとしたら
採用の仕方に問題があったのではないかと
疑わなければいけないと思います。



以下、千葉日報の記事です。

千葉市教委が作成したチェックシート。タイトルは「不祥事から身を守るためのセルフチェック」


◆6月に3人懲戒処分

 千葉市内の学校に勤務する教諭が生徒への抱きつきや盗撮など相次いで不祥事を起こし、6月に3人が懲戒処分を受けた。再発防止に向け市教育委員会は、教職員が守るべき事柄をまとめたチェックシートを初めて作り、校長が教職員と個別に面接することに。不祥事の根絶に努めていくが、「シートに書かれていることは当たり前のことばかり。そこから始めなくてはいけない段階」(市教委)と、頭を痛めているのが現状。不祥事が続く“異常事態”に歯止めをかけられるのだろうか。
.

◆並んでいるのは常識的な事柄ばかり

 市教委は、シートを市立の全小中・特別支援学校の教職員約4300人に配布。教職員は、書かれた事柄を理解していればチェックマークを入れ、夏休み中に行う校長との面接に持参する。

 シートは「飲酒運転」「交通違反」「わいせつ・セクハラ」「体罰」「個人情報の取り扱い」「学校徴収金等の処理」「その他」の7項目で構成する。項目ごとにさらに細かい事柄に分かれ、例えば「飲酒運転」では「飲酒を伴う席に参加する時は、必ず車両を自宅に置いて参加している」、「わいせつ・セクハラ」では「個人的に児童生徒と学校外で会わない」などが確認事項になっている。

 市教委が言うとおり、並んでいるのは常識的な事柄ばかり。ここまでしなくてはいけないのは、市教委が問題の背景に教職員の「当事者意識の希薄化」があると考えているからだ。

 今までは問題が起こると、市教委が学校ごとに再発防止に関する文書を出したり、校長が個人に口頭で注意喚起してきた。しかし不祥事は減らなかった。市教委は、教師歴が浅い教諭を中心に「自分には関係ないと思っている人が多い」と指摘。個人単位でより踏み込んだ啓発をする必要があると判断した。「個別に文章を配り、面接まですれば、嫌でも当事者意識が芽生える」と担当者は話す。
.

◆ほとんどが教師歴10年以内

 昨年度~本年度に不祥事を起こした教職員は、ほとんどが教師歴10年以内。数年後には、市立学校の教諭の半数を教師歴10年以内の人が占めると推計されており、不祥事根絶のための意識付けは急務となっている。

 市教委は、シートを用いた面接を一度で終わらせず、定期的に行うよう各校長に要請している。ただ、面接内容や頻度は学校ごとの判断に任せるため、各校によって効果が違ってくると予想される。「不祥事は減るだろう」と息巻く市教委だが、均一な効果を期待するならば、責任を持ってリーダーシップを取っていくべきではないか。

 先月の懲戒処分は生徒への抱きつきや盗撮だった。教職員課の山下敦史課長は「不祥事のペースが早過ぎる。罪を犯せば重い処分を受けることをシートでよく分からせる」と話している。

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