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失敗を成功の母とする弁護人、付添人の役割PMG ( Post-Mistaking Growth ) [刑事事件]

実際によくあるのですが、
被疑者、被告人や、保護事件の少年と話していて
本人から、「逮捕されてむしろよかった」
という言葉を聞きます。

例えば、覚せい剤をやめようとして頑張っていても
どうしても、悪い仲間が寄ってきて誘われる。
誘われると決心が鈍る、断り切れない。

だから、覚せい剤をやめためには、
今は、逮捕されて、覚せい剤や使用者のいないところにいることが
自分にとっては幸いだ。

とか、

どうしても、自分は万引きを繰り返してしまう。
どうしてなのかわからなかった
でも、警察官や弁護士と話して、
落ち着いて考えてみて
自分の気持ちを圧迫しているものがある
ことががわかった。

こういう人たちに協力してもらい、
こういう方法で解決すればよいとわかったから
もう大丈夫だと思う。

逮捕されて、自己破産という制度があることがわかった、
生活保護という制度があることがわかった等

心理面、生活面、刑事政策面など
その人だけでは解決できない外部要因が重なって、
二者択一的な思考、
自分がこれをしたら誰にどんな迷惑をかけるか
自分がどういう立場になるかという
将来的なことを推測する思考が低下ないし停止して
犯罪を実行しているわけです。

もともと、素の状態で
犯罪を行う人はいないようです。
この犯罪に向かわせる外部要因を
「犯罪環境」と言います。

どんなに、反省を口にしても、
この犯罪環境から抜け出さなければ
結局、犯罪に向かってしまうわけです。

改善できない犯罪環境もある場合があるでしょうが、
その場合でも周辺的な犯罪環境を解消することによって
犯罪率は著しく低下するはずです。

失敗をしただけでは、成功にはつながりません。
失敗の原因を正しく分析し、
多角的に分析し、
原因を除去することによって、
その人の成長があるわけです。

逆に、その明確な失敗がなければ、
例えば、万引きを繰り返しても逮捕されないことが続くと、
取り返しのつかないところまで行ってしまっている
ということがあります。

そのためにも、
できるだけ、1度目の失敗は許されてほしいと思います。
もちろん、適切な働きかけを行い、
原因を分析し、対策を講じることのできる
支援者が必要です。
これが弁護人の役割だと思うのです。

気持ちが弱かった
流されやすい性格だった
今度は二度としない
というのが、だめな反省例です。

何の原因も分析されていませんし、
対策も立てようがありません。
どうやって気持ちを強くするのか、
腹筋を鍛えるのとわけが違います。

Post-Mistaking Growth とは、
心理学の用語で
Posttraumatic Growth
トラウマ後の成長
というものがあり、
そこからのパクリです。

対人関係学的労務管理のエッセンスとして
企業研修や、官公署の幹部研修の
最後のところでお話をしているテーマです。

出発は刑事弁護だったわけです。

これは人間の成長の基本です。

だから、夫婦関係、子育て、会社の人間関係にも
もちろん応用がきく話です。

その前提として、色々な不具合を
「失敗」というかどうかは別として
改善が必要なこと
という認識は必須になります。

不具合を隠そうとすることは
成長につながらないどころか
失敗が繰り返されていくということにつながります。

たくさんそういうケースは目にすることができますね。
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