SSブログ

オープンダイアローグ、未来語りのダイアローグを我田引水的にさらに勉強する [自死(自殺)・不明死、葛藤]

あれから1年以上たったのかと思うと
月日の流れるのは早いと感じます。
昨年の今頃、オープンダイアローグの本を読んで、
さっそくブログに使わせていただきました。

オープンダイアローグと対人関係学、不安に対する手当の手法
http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2015-10-25

フィンランドの西ラップランド地方で
公的に実践されている統合失調症の急性期の治療法で、
投薬や入院を極力行わない対話形式のもの

医師、心理士、看護師、ソーシャルワーカー等が
電話で呼ばれて自宅訪問をして
家族と本人とあけっぴろげで対話をする
それだけで、投薬治療をするよりも
統合失調症の治療に効果が上がる
80%以上の人が、就職したり復学したりしているそうです。

本人、家族は
費用負担なし、つまり無料でこのサービスを受けられるようです。

ということが前回のお話でした。
その次の日も続きを書いたのですが、
だいぶ未消化の部分がありました。

今回、フィンランドの研修者のお二人の著作
の翻訳本を読んで、だいぶ謎が解けたことと
「オープンダイアローグ」日本評論社
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7076.html

これはまさに対人関係学だと思ったので、
メモ的に、私が理解した範囲の内容を
記したいと思いました。

二つの対話方法とも、
その根幹にあるのは、
共同作業の最も効率の良い方法を
その注意点を掘り下げるのではなく、
技術的に実現するシステムを作り上げている
ということです。

対人関係学は、性懲りもなく
その意味を探究するわけです。

そうすると、理想的なコミュニティを実現する
という手法であり、
理想的なコミュニティ機能の優位さが
実現されるシステムであると思いました。

先ず、
「会話の中に、価値を込めない」
という技法であるということです。

私の言う「会話」とは、
言葉(文字通りの意味、声の大きさ、速さ、抑揚等)
だけではなく、
しぐさ、表情、周囲の状況等も含まれます。

そして、「価値を込めない」ということは、
主として否定評価を持たない、
受け手が否定されていると感じない
ということが大切だということになります。

人が、誰かと会話をするとき、
言葉だけでなく、表情やしぐさ等
いろいろな情報を発信して(しまい)、
受け手は送り手の意識的に発信する情報以上に
いろいろな情報を受け取ったり、感じたりしています。

その言葉に、感情が込められるとき、
あるいは感情が込められていると受け手が感じた時、
少なくとも受け止め方として、
自分の行動を制約しようとしていると感じたり、
自分を仲間として承認しないと感じることが起き、
対人関係上のトラブルが起こりやすくなります。
疑心暗鬼というやつです。

これは、対人関係的には二つの危険
自分で自分の身を守れないだろうという不安
自分が群れから排除されるだろうという不安
に対応して考えることができます。

二つのダイアローグの主張は
この二つの不安を徹底的に排除する手法として
きわめて洗練されていると思います。

何か集団的な意思決定をする場合や
あるいは共同行動をしていると感じている相手に対する
要求度が高くなると、
知らず知らずのうちに、自分の思い通りに
集団を動かしたい
相手を動かしたい
という気持ちが入ってしまい、
それが価値を込めた会話の正体ではないかと考えています。

例えば家族であると、
相手に対する要求度が高くなります。
ポケットに手を入れて歩いている人を見ても
他人の場合はいちいち注意する人もいないでしょう。
でも私の夫にはポケットから手を出してもらいたい
という具合に、要求が出てくることは
ある意味当然のことかもしれません。

こういう場合、
妻がポケットから手を出せと命令するよりも、
自分たちの状態の修正の提案をする
という手法を出すことが有効だということになりそうです。

価値を込めない提案をすることによって、
二人は、自分たちの状態の修正をどのように行うか
を検討することができます。

修正をする必要があるか
どの方向で修正するか
当面どの程度修正をするか
誰がどのような役割を果たすか

夫を否定評価せずに、
妻は、自分が一緒に歩いている人が
ポケットに両手を入れて猫背でいると
なんかうらぶれた感じがして、恥ずかしい
もっと、堂々と歩いてほしい
という理由を淡々と述べることによって、
夫は、別に癖みたいなもので、
どうしてもポケットに手を入れなければいけないわけではない
つい入れてしまうかもしれないから
気が付いたら言ってほしい。
と修正に応じやすくなるということがあるでしょう。

また、これが、1対1ではなく、
複数の集団で行われることには意味があります。
どうしても、会議などでは、
誰かが、意見を強く言って自分の意見を通そう
とすることが見られます。
必要以上にメンバーの誰かを否定しにかかる
ということが不思議とみられます。

また、どちらの意見が優位かという
対立構造の中で議論が進行することも実際的でしょう。

二つのダイアローグの根底には
ポリフォニーという言語哲学が流れています。

それぞれの発言者の意見を尊重し、
批判しないということらしいです。

ここで興味深いものは、
賛同も求めないということです。

二つの意見が対立している時
一方の意見に賛同することは
他方の意見を否定することになる
という場合が良くありますが、
これを防ぐことができるでしょう。

また、聞き手が解釈するのではなく、
正確な理解を確認するようにするということらしいです。
正確な理解を確認する中で意味が動くことは
通常の言葉による思考ですから、
肯定されるのですが、
勝手な解釈は発言を否定する要素があると思われます。
ここはちょっと難しいかもしれません。

このダイアローグが、
当事者を交えて、むしろ当事者を主役として
進行します。

当事者は、自分の意見を尊重され、
勝手に意味を変更されず、
大事な要素として取り上げてもらえます。

これは対人関係学的に言えば、
排除の予感を感じさせる要素の徹底排除です。

自分だけ情報の提供をされない、
自分だけ発言を許されない、
自分の落ち度、失敗、不十分な点を理由に
仲間として否定されない。
等々です。
そして、自分が自分の在り方を決める会議に出席することによって
自分のことを自分で決めることができるという
自己決定の要求も満たすわけです。

そしてそれは、当事者だけに向けられても
支援者相互で満たされないならば、
当事者も、いずれは自分も否定されるという
予期不安を感じることになります。
支援者相互のルールにもしなければなりません。

これは、おそらく、緩やかなつながりという
理想的なコミュニティーの在り方なのだと思います。
当事者は、コミュニティーの一員として
排除の恐れなく、いやもっと
積極的に仲間として承認されているという
感覚を持ちます。

その中で安心を獲得していくことでしょう。
これが、他人だけでなく、家族や親せき学校の先生など
その人の親しい人が参加するということで
不安を断ち切ることが可能となります。

きわめてよくできたシステムだと思います。

ところで、そのように複数の人たちの意見が尊重されてしまうと、
収拾がつかなくなるのではないか、
責任者が意見の取捨選択を行い
方向を示さなければならないのではないかと
危惧が出てくるでしょう。

しかし、果たしてそうなのか
そのような二者択一的思考はドグマではないかと
感じさせられます。
それがポリフォニーの概念なのです。
ポリフォニーを十分説明する技量は私にはありませんが、
置き換えれば
弁証法的認識とてもいうのでしょうか。

ありのままを受け入れるということから始めるということです。

矛盾する意見は本当に矛盾するのか、即ち
両意見が両立するか否かを同時点において検討する必要があるか
同地点において検討する必要があるか
ということについては、
考慮の余地があることが多いように思われます。

例えば、子どもにスマホを持たせるかということが
家族の話題になっているとします。

子どもは友達がみんな持っているので
持たないと気まずいということを訴えるでしょう。
母親は有料サイトに接続して料金が高額になることや
危険なサイトに接続してしまい事件に巻き込まれること
から反対するとします。
父親も、勉強する時間がなくなることを心配して反対します。
ここで反対と賛成の意見の押し付け合いをするより、
それぞれの問題の所在を出し合うということで
家族の在り方をどのように家族で決めるかという
視点での話し合いに転換できるならば、
ラインで、学校や部活の情報伝達もあり、
有る程度の友達付き合いも必要だ
子どもだって成績が落ちるのは心配だ
というそれぞれの問題の所在が、
否定されないで、まな板に載せられるとします。

例えば、それでは、契約は父親がするとして、
常には母親がスマホを監理する。
1日、2回程度、それぞれ30分以内に
母親が貸し出す形で子どもが使用する
友達には、チャット的に使うことは
父親が頑固のために許さないと説明させる。
また、外出の時や休日の時は
形態を許可する。
等の譲歩案が出るかもしれません。

ポリフォニーの手法は、
コミュニティーの本来あるべき手法だと思います。

おそらくその対極的に位置するのが
日本の凋落している企業や学校等の
対人関係なのだと思います。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0