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なぜ、御社のハラスメント講習がつまらなく役に立たないのか 保身目的から前進目的への転換のご提案 [労務管理・労働環境]


ある国の機関で、幹部級の方々を対象に
ハラスメントの講習で講師をしました。
そうしたところ、それ程間を置かないで
今度は中間管理職級の方の対象の講習のオファーがありました。
別の講師の直前キャンセルがあったのだと思いますが、
前回のお話が好評だったとすれば、うれしい限りです。

なぜ私へのオファーだったのか
お話を聞くことができました。

ご回答は
通常のハラスメント研修は、
判例を紹介して分析する講習なんだそうです。

なるほどと思いました。
それは、役に立たないしつまらないだろうなと。

結局、ハラスメントの実態を知らない人が
ハラスメントについて何か話せといわれたら
そんなことしか話せないということになります。
そんな人に頼む方も頼む方ですが、
引き受ける方もどうかと思います。

<なぜ判例研究が役に立たないか>
判例研究でも、年代を追って全体の傾向を分析すれば
それなりに面白いのですが、
そのためには、労働者のハラスメントと
子どものいじめや指導死の判例と
総合的に見ていく必要がありますし、
予見可能性や相当因果関係といった
法的知識がなければ聞いてて面白くないものかもしれません。

そういう知識がある講師であっても
判例に出てくる極端な事例は
実際の職場では参考になりません。

こんな話をしても
うちの職場はここまでひどくはない
ということで終わってしまうでしょう。

あとは、ああひどいことをする人もあったものだ。
自己愛型パーソナリティという特殊な人に
出会わないようにしよう
という感想がせいぜいでしょう。

これではほとんどの職場は
講演の後と先とでは何も変わらないでしょう。
私から言わせれば「それもパワハラだ」というようなことをやっている人は
「まだ、もう少し厳しくできる」
なんてことを言いだしかねないでしょう。

その結果、裁判の事例と同じようなパワハラはやらなくても
グレードとして同程度のパワハラを行い
被害者に取っても会社にとっても最悪の結果がおきて、
世論の厳しい批判にあったりするわけです。

結局、何を話してよいのかわからない講師がパワハラの話をすると
パワハラで部下が自死することによって
上司が懲戒処分を受けないようにとか
会社が裁判に訴えられてマスコミの餌食になったりとか、
そういう保身的な目的の
パワハラ講習になるしかないようです。

ハラスメント講習は、
本来企業の生産を上げるための
積極的な攻めの姿勢の研修であるべきだと
私は思います。

パワーハラスメントとかハラスメントの
本当の意味を知れば、
実は、日常的に多少のハラスメントが
職場内に存在していることに気が付くでしょう。

そして、部下を傷つけている上司は
決して人格異常者ではなく、
平均的な人格の持ち主であります。

平均的な上司が、立場や状況によって
パワーハラスメントを起こしてしまう
そういうことが実態ではないでしょうか。

だから、
それらをすべて、懲戒処分だとか
訴訟対策だとかという対象にしていたら
人間関係なんて成り立ちません。

そうかといって放置してしまえば
被害者の精神状態が悪くなるだけでなく、
職場全体の雰囲気が悪くなり、
みんな上司が気に入らないだろうことは隠すようになり、
失点を恐れて積極的な行動を起こさないようになり、
指示を待つ人たちばかりになるわけです。

パワーハラスメントが日常的に蔓延している職場は
きわめて生産性が低い、
無駄な経費が掛かりすぎている職場になります。
また、誰も被害者がいないのであれば、
上司自身が過労死する職場でもあります。

ハラスメントだからと言って
懲戒や追放の対象とばかりしてしまうと、
なかなかハラスメントと認定できなくて
ハラスメントは結果として蔓延します。

ハラスメント行為をしないための
また、窮屈にならないための方法を提起するべきです。

しかし、
パワハラを無くすためには、
何がパワハラに該当するのかを覚えて
それをしないようにする
というだけでは到底足りません。

ハラスメントのない職場ということで
マイナスからゼロを目指すのではなく、
ゼロの先のプラスを目指すことによって
通過点においてハラスメントが無くなっている
そういう提案がベストだと思います。

積極的に従業員を尊重していくことが
どうしても大切なのです。
そうして、一人一人の従業員が、
自分が尊重されることによって
活き活きと働き、主体的に積極的に
喜びを持って行動し、
創意工夫あふれる職場にするということです。

ハラスメント講習とは、
職場における人間関係形成講習であるべきだと
私は思いながら
お話をしています。

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