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一般の方に向けた相続セミナーで話すべきこと 亡くなった人の借金を返さなくてもよい方法とそれが使えなくなる場合 [家事]

相続案件は、あまり手掛けたくないのですが、
これまで手間が多くて重い案件を多く担当しています。
だから手掛けたくないのかもしれません。

相続セミナーというものが開催されているようです。
いろいろな方が、色々な場所で、
それぞれの目的をもって行っていることなので、
すべてのセミナーでこれをいうべし
ということはありません。

むしろ、一般の方向けに
法律的にややこしいことをお話しても
かえって混乱して、間違った対応をとる
ということもあり得るので、
細かいことを正確に話して知識を持ってもらうことよりも
この分野に来たら専門家に相談に行ってほしい
ということを言うべきだと思います。

そういう意味で、一般の方や
特に悩みの相談に乗る方々にお話しする場合、

法定承認ということをぜひお話していただきたいと
思っています。

法定承認とは、
相続が開始された場合に(誰かが亡くなった場合)、
本来、放棄をすることもできるのです。
ところが、相続人が、ある行為をすると
放棄ができなくなってしまう
そのある行為が法定承認なわけです。

ここで、少しおさらいです。

相続は、誰かが死亡した場合、
法律が定める相続人が、
その財産上の地位を譲り受けてしまうことです。

預貯金とか、不動産とか
目に見える財産があるだけなら、
ウエルカムということが多いでしょう。

ところが、そのような積極財産だけでなく、
借金返済や、代金返済など
債務も譲り受けてしまいます。

そうすると、数十万の預金はあるけれど
数千万円の債務もあるならば、
相続したくないですよね。

そうすると、相続放棄の出番です。
相続放棄をすると
数十万円の預金も相続できませんが、
数千万円の債務者の地位も相続しなくて済むわけです。

いつまでも相続放棄ができるわけではなく、
相続の開始を知ったとき、つまり
1)自分が相続する人が死んだこと
2)死んだ人に、何らかの財産(債務も含む)がある事
この2つを知ったときから3カ月だけが
放棄が許される期間ということになります。

但し、この3カ月は、事情があれば
ある程度伸ばすことができますので、
(熟慮期間の伸長)
3か月じゃ足りないという時は、
なるべく早めに弁護士に相談に来ることが肝要です。

法定承認は、
3か月たたないのに、
相続放棄ができなくなるという制度です。

これを知らなかったばっかしに
本来負わなくてもよい莫大な債務を負って
自己破産などをしなくてはならないという悲劇が
いくつもあります。

法定承認になってしまう一番の事情が、
債務の弁済です。

例えば、父親が亡くなったとします。
亡くなった父親には、借金があったとします。
貸主からは、
「お前の父親が借金したのだから
 子どもか変わって返すのが人の道だろう」
なんてことを言われるわけです。

子どもがまじめであればあるほど、
それはそうかもしれないなと思い、
債権者からは
「あなたもお父さんが亡くなったばかりだから
 一度に返せとは言わないから
 まず、千円だけでも入れてくれれば、
 店長には俺からうまく言っておくから」
なんてことを言われて、
どうもすいませんなんてことで
千円を財布から出して払ったとしたら、

弁済行為ということになってしまうわけです。
これは、「私は父の借金を返すことにします」
と言ったことになるとして、
後に放棄をすることが許されなくなる
ということです。

一人住まいをしているアパートの
延滞家賃とか、難しいですよね。

こういう場合どうしたらよいか。

「亡くなった人の借金を返す前に
 まず最寄りの弁護士会に相談」
ということをまずもって覚えてください。

借金の返済を請求するのは
金融機関に限らず
市役所などの自治体のケースも多くあります。

早めに、無料相談などでもよいですが、
どうやら、他の職種ではなく、
弁護士に相談することが間違いないようです。
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