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過労自死と離婚の関係 死ななければ良いってもんじゃない [労災事件]

過労自死は、
過労によって精神的に追い詰められてゆき、
極端な視野狭窄と悲観的な考え方に支配されてしまい、

例えば、

この仕事、ここが不合理だから
こういう風に修正するように提案してみよう
等と言う建設的な選択肢をもてなくなり

この仕事苦しいから退職して、
別の仕事を探そう
という選択肢もなくなり、

「このまま仕事で苦しみ続けるか
 死ぬか」
ということばかり考えるようになり、
自死に至るということになります。

生きる力が根こそぎ奪われてしまった結果が
過労自死です。

このように追い込まれる原因として、
一つに睡眠不足があるわけですが、
それは時間外労働の量で決まるとされています。

一か月177時間労働だとして、
その他に100時間追加で働くと
一日の睡眠時間に5時間を確保することが難しくなる
と統計上算出されています。

つまり、一日100時間働くということは、
9時から6時の仕事の場合
週休二日を維持したとしたら
毎日5時間の残業ですから
11時まで残業をするということです。
そうして帰宅すると
12時を過ぎる人も大勢いらっしゃるでしょう。

そうして8時前に出勤していく。

たまの土日は寝ダメをして
昼過ぎに起き出すとしたら、
ほとんど単身赴任ですね。

仮にウイークデーは4時間の残業で
10時過ぎに帰るとすると
土曜日も5時間出勤ですから
日曜日はほとんど休息です。

これが150時間の残業となると
土日もほとんどつぶれるでしょう。

さて、先ほどの視野狭窄と悲観的見通しの支配ですが、
これが極端に推し進められれば自死に至りますが、
自死にならないまでも、
睡眠不足と仕事上の不具合で、当然起きてしまいます。

普通に生活しても多少精神的な波がありますから
それに睡眠不足が加わると、

自分が何らかの攻撃を受けているのではないかという
過剰な警戒心が常時発動されてしまいます。
安心を獲得できないという症状です。

そこに、100時間を超える仕事が押し付けられるのですから
それなりにトラブルや
日常、その人の人格を考慮しない扱いの労務管理がなされているわけです。

どうしたって、
自分は大事にされていない
働く仲間として尊重されていないという疎外感も高まります。

簡単に言えば、うつ病のような状態になってしまいます。
それが極端に高まれば自死ですが、
それに至らなくても、

毎日の感情が失われます。
家族がテレビを観て笑っていても、
一人ポツンとつまらなそうにしている
そもそもテレビを観ない。

買い物や外食に出かけようと誘っても
外に出たがりません。

何か口を開くと
くよくよと、悲観的なことばかり言います。
聞いていて大変つらくなります。
しかも、その内容が言いがかりのように
「あなたによって、自分が見捨てられるだろうと」
突き詰めて行けばそういう話になります。

自分は不幸だ不幸だと
さもあなたが原因で不幸であるかのような
発言になることもあります。

(本当はそういわれている人が一番安心できる人なのです。
 厄介なことに本人はそれに気が付いていません。)

住宅事情にもよりますが、
帰ってきて、まっすぐ自室にこもり、
下手をすると食事も自室でとるようになります。

家族としては、
自分が拒否されていると思うようになることは当然です。

また住宅事情によっては
寝室に戻らず
ソファなどで寝ていたりします。

うっかり、離婚したいのかと尋ねると
よくわからない等と言いだしてしまい、
離婚も考えているようなそぶりも見せます。

ますます家族は自分が否定されているような感覚を
もってしまいます。

家族の方も
会話も成り立たなければ、共同行動もなし、
それがいつまで続くかだんだんと気が遠くなり、
毎日が楽しくなくなり、
自分の人生って何なんだろうと
思うようになるでしょう。

愛すべき図々しい家族は、
自分の落ち度なんて考えませんから
本人がおかしくなっているということに気が付きます。

気が付くのですが、
「疲れているんだろうな」
ということで終わってしまいます。
それほど長時間働いているのですから
それはそれで正解ですが、
肉体的につかれているのではなく、
精神的につかれているのです。

病院に行くなり、なんらかの働きかけが必要な状態ですが、
お医者さんの休養するようにという指示を守らず
長時間労働をそのままにして
向精神薬だけを大量に服用していくと
極めて危険な状態になることは想像に難くありませんね。

さて、うつは伝染するということは、
夫が過労うつ病に罹患して、
そのうつ病に気が付かない家族が
自分が否定され、傷つけられている
仲間として尊重されず、離婚を切り出されそうだ
となると、
こちらもうつ状態になっていくことをいいます。

このまま夫婦として苦しんでいくか
死ぬか
みたいな視野狭窄と悲観的な考えで
さらには、
「それは精神的な虐待だ」
とか、それだけをいうしか能のない人たちから
頓珍漢なアドバイスを受けて、
自分は虐待されていると
恐怖を植え付けられてしまうわけです。

過労自死、過労死の存在する職場には
死に至らない無数の離婚事件を抱えています。

死ななければ良いというものではなく、
生きるための組織行動としての
職場の改善を考えなければなりません。



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大田区2児のパパ

ドイホー先生、1月の夫婦問題の講演会に参加させていただいた者です。

このブログを読んで、衝撃を受けました。
うつ状態の夫婦の状況が、妻と私の状況、ほぼその通りでした。
妻は心療内科に通っていましたが、睡眠導入剤、抗不安薬を処方されただけで、それでも一時期症状は改善しましたが、会話がなくなり、夫婦の間にできた溝は深まり、妻は子供達と出て行ってしまいました。

過労、産後うつ、原因は様々でしょうが、うつ状態の家族にどのように接するべきか悩んでいる方は多い事と思います。当時、安易な慰め、励まし、否定は良くないくらいは知っていましたし、本も読みましたが、私が至らない為、妻を追い込んでしまいました。

2/9のブログ、自殺予防の基礎理論も拝見しました。
妻は希死念慮があった訳ではありません。
解決のための理論、冷静に考えれば、なるほどと思いますが、当時の私達には余裕は無く、何が起きているのか、どうすれば良いのか分からず、相談できる人もいませんでした。

とりとめのないコメントですみません。
ドイホー先生のブログ、少しでも多くの方に知って貰えたらと思います。
by 大田区2児のパパ (2017-02-11 09:27) 

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