【事件報告】日本国籍のない在日外国人の父親を確定する訴訟の方法 実務家向け [事務所生活]
極めて珍しいと思われる訴訟をしましたので
報告をします。
もしかしたら、解決をあきらめている方も
いらっしゃるのではないかと思ったからです。
但し、法律的に必ずこうなるというものではなく、
けっこう阿吽の呼吸があることなので、
お含みおきいただきながらお読みください。
その意味で、あえて不正確な表現を使っている個所もあります。
事案は、後に韓国籍を取得したけれど
出生時朝鮮国籍だった方の件です。
この方の母親も父親も朝鮮国籍で後に韓国籍に変えています。
母親が、かつて朝鮮国籍の方と結婚していました。
この時、受理証明書を区役所から交付を受けることによって
母国法でも正式な婚姻とされるようです。
ところが事情があって離婚をしたのですが、
離婚届を出したにもかかわらず、
役所はこれをきちんと受理せず、放置していたようです。
このため、後に離婚届け受理証明書の交付を受けることができませんでした。
その約1年後に母親がやはり朝鮮国籍の男性と再婚し、
役所は婚姻届けを受理しました。
そうして、当事者が出生したのですが、
離婚をしたことが受理届けによって証明できないために
形の上ではお母さんが重婚状態になっていたため、
父親について法的に確定できないという事態になってしまいました。
(本当はこの扱いにも疑問があります)
事情があって、判決によって父親を確定する必要が生じたことから
当事務所に依頼にいらっしゃったということになります。
<訴訟の名称>
ここで日本法のおさらいですが、
日本国籍を有する者が重婚した場合の父親を定める方法は民法で定められており
父を定める訴え(773条)で解決します。
(曖昧をそのままにしています)
これは、子どもと母親の二人の夫との間に
嫡出子推定が法律上働いてしまうからです。
ところが外国籍の場合は、戸籍もありませんので
773条の場面ではないということになります。
このため、一般的な確認訴訟を提起しました。
<被告>
この場合、被告は、父親を巡って争いがある相手ということになります。
(733条の場合は、二人の夫が被告となる。)
国が紛争当事者だとすると
家事審判手続き法の規定により、検察官ということになるようです。
(やや微妙な問題をそのままにしています)
<準拠法>
さて、次にというか、前提的問題となるのは
外国人の親子関係を、どこの国の法律で裁判をするか
という問題になりますが、
これは、法の適用に関する通則法28条、29条
で出生地の法律ということになります。
<朝鮮国籍の場合>
出生の時に朝鮮国籍である場合とてつもなく困難な問題が生じます。
この場合、朝鮮を北朝鮮だとすると
北朝鮮の家族法が日本紹介されていないからです。
存在すらもわからないので、準拠法に使うことができません。
このため、
韓国法を準拠法とするべきだと主張しました。
その理由
1 朝鮮の国籍は、日本が併合していた時の国名であるから
北朝鮮を指すものではないこと。
2 母親の出身地が現在の韓国であるから韓国とするべきである。
3 当事者全員の主観でも北朝鮮ではなく韓国籍であり、
実際に韓国籍に変えたこと。
それ以前に、北朝鮮を国籍とするという
意思決定がないこと
などです。
このあたり法律的に正しいのか怪しいのですが、
実務では、えいやあと大韓民国法を根拠法とする
運用がなされているようです。
まあ、その他にもいろいろなことを乗り越えて
無事、判決によって父親が定められました。
大変参考になった文献として
第3版 「在日」の家族法 日本評論社
報告をします。
もしかしたら、解決をあきらめている方も
いらっしゃるのではないかと思ったからです。
但し、法律的に必ずこうなるというものではなく、
けっこう阿吽の呼吸があることなので、
お含みおきいただきながらお読みください。
その意味で、あえて不正確な表現を使っている個所もあります。
事案は、後に韓国籍を取得したけれど
出生時朝鮮国籍だった方の件です。
この方の母親も父親も朝鮮国籍で後に韓国籍に変えています。
母親が、かつて朝鮮国籍の方と結婚していました。
この時、受理証明書を区役所から交付を受けることによって
母国法でも正式な婚姻とされるようです。
ところが事情があって離婚をしたのですが、
離婚届を出したにもかかわらず、
役所はこれをきちんと受理せず、放置していたようです。
このため、後に離婚届け受理証明書の交付を受けることができませんでした。
その約1年後に母親がやはり朝鮮国籍の男性と再婚し、
役所は婚姻届けを受理しました。
そうして、当事者が出生したのですが、
離婚をしたことが受理届けによって証明できないために
形の上ではお母さんが重婚状態になっていたため、
父親について法的に確定できないという事態になってしまいました。
(本当はこの扱いにも疑問があります)
事情があって、判決によって父親を確定する必要が生じたことから
当事務所に依頼にいらっしゃったということになります。
<訴訟の名称>
ここで日本法のおさらいですが、
日本国籍を有する者が重婚した場合の父親を定める方法は民法で定められており
父を定める訴え(773条)で解決します。
(曖昧をそのままにしています)
これは、子どもと母親の二人の夫との間に
嫡出子推定が法律上働いてしまうからです。
ところが外国籍の場合は、戸籍もありませんので
773条の場面ではないということになります。
このため、一般的な確認訴訟を提起しました。
<被告>
この場合、被告は、父親を巡って争いがある相手ということになります。
(733条の場合は、二人の夫が被告となる。)
国が紛争当事者だとすると
家事審判手続き法の規定により、検察官ということになるようです。
(やや微妙な問題をそのままにしています)
<準拠法>
さて、次にというか、前提的問題となるのは
外国人の親子関係を、どこの国の法律で裁判をするか
という問題になりますが、
これは、法の適用に関する通則法28条、29条
で出生地の法律ということになります。
<朝鮮国籍の場合>
出生の時に朝鮮国籍である場合とてつもなく困難な問題が生じます。
この場合、朝鮮を北朝鮮だとすると
北朝鮮の家族法が日本紹介されていないからです。
存在すらもわからないので、準拠法に使うことができません。
このため、
韓国法を準拠法とするべきだと主張しました。
その理由
1 朝鮮の国籍は、日本が併合していた時の国名であるから
北朝鮮を指すものではないこと。
2 母親の出身地が現在の韓国であるから韓国とするべきである。
3 当事者全員の主観でも北朝鮮ではなく韓国籍であり、
実際に韓国籍に変えたこと。
それ以前に、北朝鮮を国籍とするという
意思決定がないこと
などです。
このあたり法律的に正しいのか怪しいのですが、
実務では、えいやあと大韓民国法を根拠法とする
運用がなされているようです。
まあ、その他にもいろいろなことを乗り越えて
無事、判決によって父親が定められました。
大変参考になった文献として
第3版 「在日」の家族法 日本評論社
2017-02-07 12:42
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