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慢性・持続性ストレスへの旅 2 セリエのストレス定義の「非特異的反応」とは何か [自死(自殺)・不明死、葛藤]

昨日のキャノンの文章は、文章も簡潔で
意図も論理も明確で大変読みやすかったです。
「からだの知恵」講談社教養文庫

一点セリエの文章は、おそらく書きながら
いろいろなことが問題点と来て浮かんできて
あれやこれや手当てしながら書いているような感じで、
読みやすいとは言えません。
「現代社会とストレス」叢書・ウニベルシタス

おそらく翻訳の問題もあるのでしょう。
当初の翻訳が昭和39年ということで
改定はしたものの難しい日本語が最初の内は続きます。

キャノンが文系のための理系の文章ならば
セリエは、理系のための文系の文章という感もあります。

でも、そのおかげでいろいろ面白いことも分かってきました。

ネットなどで、セリエの説いたストレスの定義が
「外部環境からの刺激によって起こる歪みに対する非特異的反応」
とされているようでして、
この「非特異的反応」ということがよくわかりませんでした。

特異的ということは、ネットの辞書では
「あるものだけにみられる質的な特殊さ」
と書いています。

特定の、あるいは定まったと考えると
訳が分からなくなります。

この点、セリエは、
もともとは医者を志しており、
言わる病人の良く見られる状態
熱とかだるさとか、しんどさとか
そういう一般的な症状に着目していたようです。

しかし、指導医は、一般的症状は取り上げず
病気特有の症状のみを探していた、
これにセリエは疑問を持ち、
一般的な症状とはどういうものだろう
ということに興味を持ち研究を続けたそうです。

そんなこと研究しても意味無いだろうという
という当時のまっとうなアドバイスも多くあったそうです。

この一般的に見られる症状が
どうやら「非特異的反応」のようです。

これはキャノンを引用する方がわかりやすいかもしれません。

キャノンとセリエは、同じ副腎でも
キャノンは副腎髄質、セリエは副腎皮質に着目しているようです。

何らかの危険因子を認識して交感神経が興奮すると
副腎髄質からアドレナリンが放出される。
アドレナリンはホルモンであるから、
血液に乗って、全身に行き渡ってしまう。

だから、必要が無くても
心拍数が増加し、血圧が増加し、体温が上昇し
血糖値が症状し、血液が筋肉に向かい、
血液が凝固しやすくなる
ということになるわけです。

フルコース反応が起きてしまう。

私の昨日ご紹介した拙文も
この延長線上に位置づけられるものです。

要するに体の反応はとても合理的にできているのですが、
ピンポイントで反応が起きるのではなく、
どしゃっとぶちまけるように起きてしまうので、
どうしても、過不足が出てきてしまう。

意味はあるのだけれど無駄な反応もあり、
あるいは過剰な反応とでもいいましょうか。
その副作用で、
新たな問題が生じてしまう。

これが過労死であり、
ストレス起因性、ストレス誘因性の精神疾患だ
と考えています。

対人関係的なストレスについては
セリエも本の後半で考察しているようなので、
とても楽しみです。


余計な話ですが、
セリエは、ストレスの定義について
いろいろな場所で、色々な定義をあげています。
ネットの定義がセリエの定義として良いのかについては
現段階(本の3分の1くらいの段階)では留保が必要なようです。

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