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労災死亡事案等で会社がかけていた保険の署名押印の手続きをしたが、遺族に保険金が支払われない場合 [労災事件]

会社の業務中の事故等で、家族がお亡くなりになった場合、
会社から、
「保険金をおろす手続きをするので、
 同意書などに署名押印してほしい」ということで、
会社の人か保険代理店の人が持参した用紙に
署名押印をするということがあります。

しかし、いつまでたっても会社からはお金の支給はない
「あの書類は何だったんだ」
というような案件が、どうも現実にあるようです。
これは、本来遺族に引き渡されるべきお金を
会社が遺族に引き渡さないということが起きている可能性があります。

多くは、従業員や下請労働者がなくなった場合
定額で支給される損害賠償保険であることが多いようです。

このような保険は団体定期保険等と呼ばれています。
他人の生命に保険をかけることが特徴です。

かつては、規制が緩やかで、
従業員が死亡しても企業がお金を遺族に渡さない
ということが多発して大問題になりました。
一つは、他人が死亡したことによって会社が利得することは
不道徳ではないかということ
一つは、安全配慮をしなかった会社が利得するのでは
安全対策などを会社が怠るようになるのではないか
ということです。

これが許されていたのは日本くらいで
他国では、企業に利得を残さないことが
法律で定められることが一般的です。

そこで、平成8年、ようやく日本でも基準を見直して、
総合福祉団体定期保険
という商品が導入されました。
現在では、このような保険に変更されているはずです。
この商品内容は、金融庁の監督指針Ⅱに従って
作られていることになっています。

つまり、
主契約部分は、会社が定めた遺族補償規定に基づく支給金額
を上限としている
保険金を全額遺族に支払う
但し、付加契約においてヒューマンバリュー特約を付けて
主契約の金額以下、かつ、2000万円以下でなければならない
としています。

つまり、原則として保険金は遺族に全額支払われる
ということになります。
また、保険会社は、直接遺族にお金を振り込まず
一旦契約者である会社に振り込む場合は、
遺族が振込みがあることを知った場合にのみ
会社に保険金を払うという扱いになっています。

だから、いったん会社にお金が入るので、
遺族の署名押印が必要となるわけです。

それにもかかわらず、
遺族にお金が支払われないということは、
大変な問題になる可能性があることになります。

ところがこれが発覚しにくい事情があります。
一つは遺族に情報がないからです。
社内の弔慰金規定などは知らないでしょうし、
遺族にお金が払われなければならないという情報もないでしょう。
また、自分で保険金をかけていたわけではないので、
保険会社から保険が払われるということすら
知らないことが多いようです。

また、本ブログ記事のような情報を
積極的に広めている媒体もほとんどないでしょう。

金融庁が管轄となるのですが、
主として、金融庁は保険会社に対しての説明をする機関でして、
一般消費者の質問は不馴れなようです。
監督指針の内容をすべて把握しているわけでもなく、
本件の規定についても概ね頭に入っている
というわけでは必ずしもないようです。

だから、遺族は
なんか変だな、保険が出るようなのだけどな
ということを思いながらいつしか忘れていくことも
実際はあるようです。

会社に問い合わせてもごまかされるし、
金融庁に問い合わせても要領を得ない
ということになりそうです。
保険会社では、このような変更があることを
知らない担当者もかなり多いようです。

お金はかかるけれど、
支給金額が1千万円を超える事案もありますので
それが不当にもらえないということになりますから
弁護士に依頼することが早道です。
但し、「総合福祉型団体定期保険」
という言葉を知っている弁護士を探すことが必要です。

実際の事例では、びっくりするほど迅速に解決した事例もあります。

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