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IT化が若者のコミュニケーション能力を低下させる? もしそうだとしたらどういうことか。 [労務管理・労働環境]



コミュニケーション能力とは何かということになると
余り本格的な議論をする能力がないのですが、
会社の経営者や管理職の話では、

10年前と比べても
社会人として当然あるはずの能力がない
具体的に言えば
言われたことしかできない
応用力がない
機転が利かない
無断欠勤する
ということで、コミュニケーション能力がない
と言っているようです。

コミュニケーション能力なので、
一方だけが能力が低下したと言えず
大人の方も低下したのではないかと
まぜっかえすこともできるのでしょうが、
もしかしてということで
考えてみようと思いました。

引っかかるのが
「10年前に比べて」というところです。

この言葉を発した社長さんは結構年配の方なので、
新人類と言われた私の世代が社会人になったのも
迎え撃つ立場だったはずです。
もしかした、真剣に考えるべきではないかと
思ったということはこういうことです。

ところで、今の20歳前後の特徴は何かということにあたって
スマートフォンや携帯電話、タブレットなどの
メールやラインによるコミュニケーションを
いつ始めたか、どの程度はじめたか
というところにあるのではないでしょうか。

今の20歳くらいの若者は、
おそらく中学生の時点では
既にラインやメールでの会話が
結構な割合を占めるようになっていたのではないでしょうか。

私はこれまで、中学生や高校生に対して
ラインの使い方を注意するお話をしてきました。

ラインやメールという非対面式ツールの問題点は、
文字(絵文字を含む)だけで情報伝達をするので、
それを読んだ相手の感情を受け取ることが難しい
また、事前に相手の文字以外の情報に接していれば、
そんなことを言わなかったのにとか
そんな言い方をしなかったのにということが
文字伝達ツールではしてしまうところにある
ということを述べていました。

人間は対面コミュニケーションの場合は、
文字だけでなく、
表情やしぐさ、
声の質、大きさ、速さ
身振り手振り
等から
言葉以上の情報を受け取る。

そうして相手が楽しんでいるならば
多少羽目を外したり、冗談を言ったりする。
相手が脅えているのであれば
言い方を控えたり、別のことを言ったりする。
そういう相手の反応、
つまり相手の感情を受け取って
相手とのコミュニケーションを修正する
ということを行うことが容易にできたわけです。

それがITコミュニケーションではできない。

ちなみに手紙の場合は、
即時的な反応ができません。
封筒に入れて、ポストに入れて、相手に届くという仮定があります。
先ず、書く時も相手の状態を思い浮かべながら書くでしょうし、
気に入らなければ書き直しをしたり
出さないということもあるでしょう。

ところがメールやラインは、書いて送信してしまえば、
相手に届いてしまいます。
また、ラインなどでは
返事が急がされていますので、
ゆっくり書くということができませんので、
手紙とはだいぶ事情が違うようです。

対面で話をしている場合、
相手の表情を見ているから
言い方を変えるか言わない言葉でも
相手の表情を考える前に
キーボードで入力して送信してしまう可能性がある

相手も文字情報だけしか見ていないから
ストレートに言葉に反応して苦しんでしまうことがある
とても危険な事態となる可能性のあるツールであることが
本当なのです。

そんなことを高校生にお話ししながら
ラインのノリによって
あっという間にいじめが成立してしまうなんてことを
お話していたのでした。

しかし、もしかしたら
ITコミュニケーションの問題点は
もっと深刻なところにあるのかもしれないと感じます。

要するに
ITコミュニケーションツールの依存によって
対面コミュニケーションが苦手になっているのかもしれない
ということなのです。

どういうことかというと
一つに、文字以外の情報を瞬時に理解すること
が苦手になっている可能性があるということです。
文字と表情と口調を総合して
何を言いたいかということを理解する
ということが苦手だということですね。

これが進んでしまうと
文字以外の情報を無意識に拒否するようになる、
例えば、対面で話をしているのに
相手を見ない。
逆に、相手の表情やしぐさに集中して
言葉による文字情報が頭に入らない。

例えばこういうことです。
そうすると、ニコニコとした表情で
少しきついことを言って、
普通ならジョークだとわかってくれるだろう
と思っていたら、
言葉に反応して深刻に受け止めてしまうとか

ニコニコという表情にばかり気をとられてしまい
「そんなに熱心にやらなくても流していいから」
という印象的な言葉ばかり耳に残り
結局その仕事をやらないとか

そういうことが起きているのではないかと心配になります。

それから報告書などで
文字情報が漏れなく記載はされているけれど
字が小さすぎて読めないとか
いう現象が起きてはいないでしょうか。

文字情報が多くなってしまい、
自動的に出力文字が小さくなってしまうのに
相手が読むことを考えないでそのまま提出してしまう。

つまり、相手のことを考えて自分の行動を修正する
ということが苦手になって行かないかという心配です。

これは、例えば接客業でも起こりえると思います。

例えば洋服を売る場合、
お客さんが「どうかしらね」
という場合、表情から見て気に入ったか
それはどうかねえ(だめだよね)
という表情の区別がつかないとか

ダメだという場合に相手の気持ちを考えての
(次につなげるという意識の)
行動をとれないとか。

考えて行けばキリがありません。

もう一つ、
ラインに依存しているような場合の問題点ですが
ラインの特徴は、、
前の書き込みを受けて話が続いていく
というところにあります。
頻繁に書き込みをしている場合は
前提の言葉が省略されるので
その書き込みだけを見ても
何が何やらわかないということがあります。

もしかしたら若者は
こういう話の流れの中でコミュニケーションをとることになれていて、
自分で前提を構築して話を始めることが
訓練されていない可能性があります。


高校や中学でも
IT化に対応した授業も行われているようです。
単に入力やツールの使い方だけを教えるのではなく、
弊害を予想して弊害が生まれないようにする訓練も
この先必要になっているのかもしれません。


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