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【お知らせ】11月27日 福島、厚生労働省主催過労死等防止対策推進シンポジウム 普通の企業で過労自死が起こる仕組みと効果的な対策 [労災事件]

ついこの間と同じ記事ではなく、
今度は福島での厚生労働省シンポジウムのお知らせです。

概要は以下の通りなのですが、
私が基調報告をいたします。

参加お申し込みは以下のサイトから簡単にできます。
https://www.p-unique.co.jp/karoushiboushisympo/#area2-6

特徴的なことは、
私の担当した26件の実際の事例を分析した結果に基づいての報告であること
(個別事件の報告ではありません
 死亡事例16件、死亡に至らない精神疾患事例10件)
弁護士が担当したのですから、かなり詳細に事実関係を調査しています。

その上で、もともと確信犯的にパワーハラスメントをしなくても、
つまり普通の企業でも
パワハラが起きてしまい
従業員が精神的に傷つき、自死に至る
ということが起きてしまうというということを
説明しています。

どこにその原因があるかということを
あるいはどういう叱責が精神的に悪いのかということを
具体的な事例に基づいて説明しています。

過労自死を出した会社が悪い会社で
これから起こさなくしろ
という投げっぱなしなお話ではなく、
どうすれば、精神疾患事案を出さないようにできるのか
一緒に考えて、提案するお話です。

特に福島の企業の方は必見だと
手前みそですが思います。

実際の事件を担当した立場からの説明
パワハラ講習というのは
余りないようです。

このような話ができるのは何も私だけの力ではなく、
東北希望の会には、臨床心理士、産業カウンセラー
社会保険労務士等々
あらゆるジャンルの人たちがいて
大学の研究者の方々とも連携しているからこそ
できることです。

今回は私が代表してお話しするということなのです。

ごくごく骨の部分だけ以下に貼り付けます。



精神疾患事案26例の分析
  土井法律事務所(仙台)

本分析の前提 ------------------------------------------------------
確信犯的な使い捨て企業ではない。
   悪意を持って追い込んだわけではない。
   上司が特異な人格破綻者ではない。
つまり、
普通の企業において、
普通の上司が
労働者を精神的に追い込む可能性についての考察
----------------------------------------------------------------------------

対象事件の条件 =============================================
労災認定や公務災害認定で精神疾患を認定された事案、あるいは、
精神科の治療を受けるに至った事案、ないしは
企業が精神疾患に罹患したこと、業務が原因で罹患したことを認めた事案精神疾患事案だと思われても、これらの条件を満たさない例は除いた。

1企業から見た過労死、精神疾患事案
2 結果としての自死、精神疾患
 
3 事例にみられる叱責の内容
 ================ 
1)効果のない叱責
2)大声の叱責
3)矛盾する指示
4)不平等、不公正な取り扱い
5)理由のない決めつけでの叱責
6)遂行不可能な指示
7)不利益の示唆を含む叱責
================

4 不適切な叱責が行われる職場の条件
  =========================== 
  小さな事業場(10人未満)
  上司と部下が1対1でコミュニケーションをすることが多い
  上司と部下の力の差が大きい
  上司の会社内の立場が弱い
  異質な人がいる
  長時間労働
  上司の行動が経営者から把握されづらい
  ===========================
 5 被害者のサイドで見る
1)被災者の属性
   年齢には無関係
   責任感が強く投げ出さず、能力が高いため言われたことをできてしまう。
 素直なのでやれと言われたらやらなくてはならないと感じる。
  家族は、働き方に対して口出しをしない。どうしても働けということもない。やめてもいいよというケースがある。
2)孤立感
 3)不可能感
   不可能な業務指示、矛盾した業務指示
   自分が当該上司から尊重されるようになることの不可能感
6 考察
    わざと辛く当たって発奮させるというのは、よほど信頼関係(自分のことを尊重しているという確信)がない限り、言葉を額面通りとる。「発奮させるため」ということは、第三者が客観的な評価をすれば、つらく当たる「口実」だと思われても仕方がない。
    対象労働者の環境、諸条件、経験年数、知識と与えられた仕事量にてらして、「当該労働者の状況を推測する」ということが欠けている。やらなければならないという会社の事情が優先されて、無理が通ってしまう。
    上司が自分の能力のなさを叱責でごまかしている。あるいは、自分の能力のなさに気が付いていない。能力とは、人を動かすちから、効果的な指示、困難を受け止める度量、上司に対して穏便に筋を通すノウハウ
7 対策1 何に注意するか
  過剰叱責が起きやすい職場にあることの自覚
  <上司の方へ>
 <経営者の方へ>
8 対策2 心構えないし点検方法
  <部下は>
  孤立していないか。
  不可能を強いられていないか。
  自分と上司ないし経営者が一つのグループになって、部下が、グループに敵対する存在だと感じていないか。
自分(たち)の足を引っ張る存在、
自分(たち)に不利益を与える存在、
自分(たち)を苦しめる存在
   ⇒ これが成立すると、本能的に部下は「敵だ」という意識になってしまう危険があります。その結果、過酷な叱責、人格否定の言動が起きてしまうようです。
     かわいそうだからやめようというパターンが成立しなくなります。
当該部下を仲間として考えるように意識する必要が生まれます。

9 人間関係論(メイヨー)の修正骨子
  人間は、自分が尊重される集団を仲間であると認識する。
  人間は、仲間だと思う集団のために本能的に働こうとする。
  自分が尊重されていると思わせる労務管理は、生産性を高める。
参考文献
 A 「コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする
    申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」カレン・フェラン
   大和書房
  
B 「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」
   マリー=フランス・イルゴイエンヌ 紀伊國屋書店
  
  AとBを整合させて考えると、亜流コンサルタントはGE「ぽい」手法を提案するが、生産性向上をあげる部分(=人を大切にする部分)を除いて提案しているということになる。経営者は、短期的な売り上げに過度にこだわりをもたされ、厳しいか厳しくないかということに労務管理手法の選択基準をおいていると判断した亜流コンサルタントが「ニーズ」に適合する手法を提案していると考えると整合する。

 C 「労働時間の経済分析」山本勲 黒田祥子 日本経済新聞出版社
 D 「心的外傷と回復」ジュディス・L・ハーマン みすず書房
   

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