SSブログ

目黒保護責任者遺棄致死罪事件で、母親の話が本当である可能性 服従を超えた迎合の心理 [刑事事件]

 

目黒事件の裁判員裁判で、
母親の本人質問が行われています。

母親は興味深いことを言っています。

夫に逆らえないために子どもをかばうことができなかった
ということがその趣旨です。

一方で、
記憶が抜け落ちている
自分もたたいた(殴ったのではないらしい)
九九を書いた紙等を書いて張っていた
子どもの字を添削していた
子どもが悪いから児相に目を付けられるだろう
というラインを送った。
等、自発的に虐待に手を貸したとも思われる
話や証拠も出てきています。

特にラインの文言などは
これは怖くて抵抗できなかったというわけではない
決定的な証拠だ
という主張も見られます。

母親の話は本当なのか疑問に感じる方も
いらっしゃることだと思います。

事実関係は分からないので断定はできませんが、
これらは矛盾がないどころか
かなりリアルな話である可能性が強くあります。

結論として、
支配された人間の行動パターンとはこういうものです。

人は完全に支配されると
服従を通り越して迎合をするようになるのです。
つまり言われたことだけをやるのではなく、
支配者がこうしてほしいだろう、こういってほしいだろう
と言うことを先取りして率先して行うようになるのです。

夫だったら、こういう時こう言ってほしいと思う
こういう行動をとってほしいと思う
と言うことをしようと思うわけです。

もう少しリアルに言うと
こういうことをしないと自分が否定されるだろう
こういうことを言わないと叱責されるだろう
だから否定される前に、叱責される前に
率先してやらなければならない
という気持で行動するようになるのです。

自分の感情は失われていきます。
感情とは、自分を守り、仲間と協調するためのツールです。
ところが、自分の頭で考えないで
支配者の頭で考えようとするわけですから
感情など不要になるどころか
邪魔なものになってきてしまうからです。
だんだんと感情を持たないように
無意識に訓練をしているようなものです。

この母親も、娘をハグするように言われたけれど
ハグすることができなかったというエピソードがあるようです。

感情が無くなるほど支配され
相手に迎合するようになっていた可能性が
とても高いように感じます。

このような迎合の心理は、
この人の特殊なものでなく人間全般にみられるようです。
どういう心理なのか、どうしてそのような心理が生まれるかについては
既に述べているし、長くなるので繰り返しません。
興味とお時間がある方は
ブログ記事をお読みください。
「Stanley Milgramの服従実験(アイヒマン実験)を再評価する 人は群れの論理に対して迎合する行動傾向がある 」
https://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2019-01-05

問題は、本件では、そのように
支配者に権威があったのか、
夫に権威を感じる事情があったのか
ということでしょう。

可能性があるとすれば
母親の育った環境に原因がある可能性があります。

社会からか友達からか、誰からかはわかりませんが、
自分が否定され続けてきた場合です。
自分に自信がなく、誰からも尊重されない
と言うことを経験し、
うまくいかないことが多いし
特にほかの人は簡単にできることを
自分はできないで恥ずかしい思いをしてきた
というような場合、

そしてそれがために自分が孤立していると
感じ続けてきた場合、

自信をもって発言したり、行動したりする夫は
まぶしくて、頼りになる人間に思えてしまうでしょう。

自分ができないことができる人
それでも自分を否定しないで群れの仲間だと扱ってくれる人
そういう人の言うことは正しいと思うようになるようです。

しかし、人間は迎合と反発という矛盾した気持ちがあり、
そのバランスを取って生きていることが通常です。
あまりにも反発する事情があれば
群れから離脱しようとします。

本件でも母親は何度も離婚を口に出したようです。

しかし、反発を抑えて迎合を促す事情があったようです。
一つは精神科を受診したとき
自分が下剤を飲まなくてはならない状態だと
不安を訴えたにもかかわらず、
医師が何錠飲んでいるか尋ねて二錠だと答えて
「大したことないね」
と回答され、
「ああ、夫の言ったことは正しいのだ」
と考えるようになってしまったというのです。

また、娘に対する暴行容疑があったにもかかわらず
夫の言うとおりにしたら不起訴になった
というエピソードもあって
夫は正しいという気持が強くなっていったようです。

医師と司法が夫にお墨付きを与えた
という感覚になることはありうることでしょう。

反発は残りながらも
迎合の行動が優位になっていったようです。

そうなっていくと
自分は、この人から見離されてしまうと
天涯孤独な人間になり
なんとなく生きていけないようになるのではないかと
そういう不安が大きくなっていくようです。
どんどん迎合傾向が強くなります

「自分は間違っている」という自分に対する
自分自身による刷り込みによって、
反発の原因になる自然な感情は、
どんどん弱くなっていきます。

どんどん感情が無くなっていき
どんどん迎合をするようになっていきます。

そうすると、夫のやっていることはすべて正しい
という固定的な先入観が表れてしまいます。

正しいことばかりを見るようになり、
間違ったことがあっても
無意識に理屈をつけ正しいと思いこんだり、
見間違いだという無意識の情報排除を行い
見なかったことにしていくわけです。
「そんなことがあるはずない。
そう思うのは私が間違っている」
ということですね。

だから、自分が支配されているということに
気がつかなくなるわけです。

もちろん法や道徳に照らした善悪の判断もできなくなります。

全ては夫に叱られないためにどうするか
という価値観だけに支配されるのです。

色々な虐待も
子どもの利益のためにやっていると
思い込もうとしてしまうわけです。

国が人を裁くと言うときに、
洗脳を受けていたことをどう評価するかというのは、
なかなか難しい問題で理論的に導かれるというより、
国家政策の問題になると思っています。

もし自分で自分を制御できない事情がある場合は無罪だ
と言うことになってしまうと
多くの犯罪が無罪になるだろうと思うからです。

わたしには、報道された範囲でしか事情が分かりません。
何が事実として認定されるべきかについては
意見を言うわけにはいきません。

しかし、本件の母親に対する報道については、
大きな疑問がいくつもあります。
「【実証】目黒事件がわかりやすく教えてくれた、正義感と怒りがマスコミによって簡単に操作され、利用されている私たちの心の様相とその理由。支援者、研究者、そして法律家のために」
https://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2018-06-13

先入観にとらわれず
現在の科学の到達に従って
真実を真実と見つめたうえで
結論を出していただきたいと注目しています。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。