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パワハラが労務管理の問題ではないケース かんぽ生命事件に学ぶ 経営問題から生まれるパワハラ、現代の殿様商売とは [労務管理・労働環境]


これまで、パワハラ対策は、
労務管理の問題だと位置づけられていました。
しかし、今回のかんぽ生命事件の
第三者委員会の報告と経営者の記者会見を見ると
実は労務管理の問題は対症療法に過ぎず
根本的には経営問題の場合もあるということを学びました。

調査報告をみると
問題が一部ではなく全国的に広がっているようであり、
不正取引も売り上げを上げるために全社的に黙認されており
パワハラも、広く行われていたようです。

プロの「商売」という観点からこの意味を考えてみましょう。

例えば釣り好きの人とプロの漁師のどこが違うか

釣り好きの人はとにかく水さえあれば釣糸をたらしたくなるけれど
プロの漁師は魚群のところまで行って漁をするということです。
そのためには、経験やレーダーなどの科学的方法をとるわけです。
さらに、どこの港に水揚げをするかということも考えるわけです。

商品を売る商売の場合も同じで、
どのような商品ならニーズがあるか
お買い上げになる人はどのような人たちか
どこにどのように営業を展開すれば
その人たちが商品を知って、手を伸ばそうとするか
売り上げにつながるかを
先ず徹底的にリサーチするわけです。

その上で商品開発をします。
開発者と営業との連携がここで必要になり、
その商品のウリは何か、
メリットともにデメリットがどこにあるか
どういう人たちにどういう風にアプローチするか
そういう戦略を立てるわけです。

それでも必ずしも売り上げにつながらないことが
商売の難しさです。

そのような戦略がしっかり立てられ
営業担当者全体に浸透していれば
不正取引は起こりようがありません。
今回のような無理な営業を続けるよりも
別のニーズのある家庭に営業をかけた方が早いからですし、
自社商品を購入したことによって
顧客が不幸になることは
人間として大きな抵抗があるからです。
自社商品を誇りたい、自社を誇りたい
というモチベーションがあるべきなのです。

パワハラが起きる理由はここにあります。

ノルマは苛烈である。
しかし、保険契約を取り付ける戦略がない
上司もコーチング技術がない
それでもノルマを達成しなければならない
商品のメリットが分からない
商品のニーズが分からない
とりあえず使えない一般的なことしか書いていないマニュアルを握って
とりあえず人のいる家を訪問するしかない。
高齢者の一人暮らしの方しか家にいない。

高齢者の元にちょくちょく言って話をしていると
親身になってくれる
こちらを信じて
あるいは、だまされても良いと思って
保険契約をしてくれる。
こういうことが起きていたのでしょう。

このあたりは以前このブログで書いています。
一人暮らしの高齢者のかんぽ生命被害の実例から考える高齢者問題 身近な将来の自分たちの問題
https://doihouritu.blog.ss-blog.jp/2019-07-17

それでも、保険契約をとることが
相手にメリットがないし、
保険料は払わなければならないとなると
まともな担当者はやりたくないですよね。

営業職というか会社をやめたくなるわけです。
しかし、同じ条件の賃金の出る仕事がなかなかない。
仕事を続けるしかない
しかし上司は鬼のように売り上げを上げろという

つまり、上司がパワハラをするのは、
上司自身が、この商品が売れないことを知っているからです。
それでも売るためには強制するしかないと知っているからです。

パワハラの原因がここにある可能性があるということです。
何年か前から苦情が出ていたのですから
かなり上のレベルまで不正がわかっていたはずです。
それをクレーム対応のように処理してしまっていたようです。
調査委員会は、この点についても調査報告をするべきです。

だとすると、かなり上の人たち、おそらく経営者に近い人たちも
売れる商品ではないことを十分理解した上で
根拠のないノルマを設定していたことになります。
おそらく、「それだけ売れればいいな」的なノルマ設定でしょう。

郵便局は、国の財産でした。
郵便局の利益は様々な形で国民に還元されていました。

小泉内閣によって民営化されてしまい、
現在は国民の利益に反映されず、
消費者としての国民を不幸に陥れている
ということになりそうです。

それにしても、経営者の記者会見はひどいものでした。
どうして、専門家からレクチャーを受けないで
会見を開いてしまったのでしょうか。
荒れるべくして荒れたわけです。

どこまでも素人なのか
売れる商品を作ることもできず
売り方もコーチングできない商品を作り
それでも従業員に売れと言い放つ
現代の殿様商売がこれなのでしょう。
民間企業なんてこんなものだという気持が透けて見えます。
商売をなめているとしか思えません。
経営者が何も努力せず
従業員の頑張り頼みということではないでしょうか。

そして改善策としては
勧誘の可視化等ということが取り上げられているようです。
本末転倒、枝葉末節ということです。

売れる商品を作り、販売戦略を立てる
それこそするべきなのです。

不正を行った営業担当者は
顧客の不利益を働きかけ
顧客が苦しんでいても何も対応しない人たちです。
経営者の犠牲者ではありますが、
そういう「強いメンタル」を持ってしまった人たちです。

その人たちが、にこやかな笑顔を振りまいて
あなたの親、あなたの祖父母、
あるいは高齢になったあなたの一人暮らしの家を訪問するのです。

かんぽ生命の不正疑惑ということは
そういうことだとしっかり認識していただきたいと思います。


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