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甲状腺ノート(非医療関係者)1 甲状腺ホルモンバランスの乱れ [進化心理学、生理学、対人関係学]



この章は、精神症状など本来の原因が甲状腺ホルモンバランスの乱れにあるのに、それを見過ごす医療機関の問題を中心に論じられているようで、総論的な章のようです。さあ、甲状腺についてのトレーニングをはじめよう!みたいな。

甲状腺ホルモンバランスの乱れは、ささいなものでも、精神的、身体的健康に、つまり人間の生活に重大な影響を与えることがある。しかし、甲状腺ホルモンのバランスの乱れは、本人が自覚できるものでもないし、医師ですら見過ごすことがある。
疲労感、いらいら、暑い、寒い、うつ、パニック、皮膚や髪、体重の増減等、色々な症状を起こす。(実務的には、家族が信じられなくなったり、些細なことが許せなくなったりするということが、甲状腺ホルモンバランスの乱れが原因の場合があるとのことです。)
この甲状腺ホルモンバランスの乱れによる影響は、治療を受けた後も名残のような症状が残る場合がある。(数値が正常になっても、異常な怒り、家族や友人のちょっとした欠点や失言が許せない、うつや記憶の欠落というのも離婚事件を担当していると確かに目にします。)

(甲状腺ホルモンバランスの乱れがある、あるいは過去にあった方に、お医者さんとのかかわりを尋ねると、そのような検査の数字以外のことについては尋ねられたことはないため、自分のそのような状態が甲状腺ホルモンバランスの乱れによって起きるなんてことは思いつきさえしないようです。だから、患者さんは、甲状腺の問題で起きている自分の生活上の困りごとをお医者さんに相談しようとはしません。精神症状が激しくなった場合にのみ、精神科を紹介されるようです。しかし、生活上の困りごとのレベルで精神科を受診する方も少ないでしょう。いったい誰が、生活上の相談に乗るべきなのか、誰もいないことになってしまいます。医学的訓練を受けた相談者が相談し、医師にフィードバックする仕組みがあると良いのだろうとは思いますが、それは誰がするのでしょう。)

 精神科の中には、症状に対処する投薬をするだけの治療が行われることがある。本当にしなければいけないのが、甲状腺ホルモンバランスの乱れに対する対応であり、そのための環境の整備であるのに、それを看過した投薬によって症状が悪化することもある。
<過去の甲状腺の問題に対する扱い>
19世紀、甲状腺の病気と精神症状は別物であり、どちらが原因でどちらが結果かということが議論されていた。但し、感情的問題との関連性は意識されていた。本来甲状腺の病気として治療しなければならない状態を精神疾患として治療をしていたこともあった。
 その後、甲状腺の活動低下によって、身体的、精神的変化が引き起こされるという症例報告。これ以来、甲状腺ホルモンが体の機能を司ると同時に、気分や感情、およびその他の多くの脳機能を司るホルモンだと判明。甲状腺ホルモンの量の増減が関心事になってきた。
むしろ現代になって、精神との結びつきが軽視→甲状腺疾患を単なる身体的症状を伴う分泌腺の病気だと見る傾向。
多くの医師は、甲状腺ホルモンバランスの乱れの結果起こる身体的、精神的影響の重大さを過小評価するため、患者は精神的に苦しみ続けることがある。患者が正しくも、自分の忘れっぽさや気分の浮き沈みを医師に質問をすると、些細なことをしつこく尋ねるということで、子ども扱いされたり、馬鹿にされたりして、その結果、患者は自分が孤立してしまっていると感じる。
(私のような素人からすれば、操作的診断方法と呼ばれる現在の精神科の診断方法が、症状の原因を深く探求せず、症状に対応する投薬を行うという陥りやすい弱点があるのではないかと感じています。本当は甲状腺疾患であるのに、そういう原因を探求せずに、簡単に症状の解消の結論だけを指示するということがあると述べられています。)例えば甲状腺機能の低下によって体重が増加したにもかかわらず、医師の処方は所持制限と運動だったというように具体的な例が豊富に述べられています。
(特に私の業務分野において見過ごせない記述が、「明らかにうつ病に向かわせるような理由がある場合-難しい離婚やストレスの多い仕事、あるいは個人的な問題のような-医師はうつ病の原因あるいはその原因となるファクターとして、甲状腺機能障害を考慮することはあまりありません。」というところです。この結果、症状を与えているのが、家族だということで、家族に対する嫌悪の感情が強く、固定されてしまうのです。お医者さんですらそうなのですから、夫婦問題の相談機関などが安易に「それは夫のモラハラだ」と言ってしまうのかもしれません。しかし、それが国や地方自治体の機関の場合は、やはり早急に改めることが必要であると思われます。
相談するべきは、夫婦問題の相談機関ではなく、医療機関だったケースが山ほどあるように感じています。医療機関に行かなければ、その不安は良くなるはずがないのです。)
精神的な問題だとして精神科を受診することがあっても、精神科医はなかなか精神症状の原因を身体疾患に求めない傾向がある。
<治療によって改善された例>
彼女はこう言いました。「少しずつ目が覚めて、気分がよくなり始めたみたいです。ふらふらしたり、何かに追われている感じがしなくなりました。ちゃんと食べるようになりましたし、もっと活動的になり、中程度の運動もしています。そして、30ポンド(13.5キロ)もやせたんです。主人と私はダンスに出かけました。そしてまた私の友達と再会したのです。皆どこに行ってたのと聞きました」
 患者は、自分の症状、特に精神症状を自覚することが困難。自覚してもそれを言葉で表現をすることも難しい。それに輪をかけて、医師との対応で、精神症状を話さないことが賢明であるということを患者が学んでしまうという事例。また、精神疾患ではないという努力をしてしまう。(これについては、うつ病についても、最近言われていることを目にしますし、うつ病患者さんと話しても皆さんこういうことはおっしゃいます。普通のふりをすることが大変なエネルギーが必要だとおっしゃいます。この本では家族から馬鹿にされることを恐れるのだと記載されていますが、何人かのうつ病にり患している依頼者と話していると、むしろ憐れみを受けることを恐れているようです。あくまでも普通に接してもらいたくてうつ病を隠すということをおっしゃっています。職場の中には、健康状態が良好であることが必要な職場もあります。医療機関を受診すると職場に報告する仕組みがあったのです。このため、私の担当した事件では、うつ病の治療を受けることができず、自死に至ってしまったという方もいます。)
精神疾患だけではなく、心臓疾患と間違われるケース、婦人科疾患、更年期と間違えられるケース。(症状が一緒でも、原因が違う場合は、的外れの治療になる場合もあるでしょうから、なるほど良くならないだろうな思います。)
ジェンダーバイアスによって甲状腺ホルモンバランスの乱れが見過ごされる。甲状腺ホルモンバランスの乱れは、圧倒的に女性の方が多い。女性が自分の症状を医師に事細かに告げると、女性特有の愚痴として扱われてしまい、原因を探求しようとしない態度。患者によれば、「先生達は私が女性だからという理由で、徹底的に診てくれることはなかった」。(夫婦問題の相談機関で、不安を口にしただけで、「それは夫のモラハラだ。」という相談者と極めて似ていると思います。)
甲状腺疾患対するトレーニングを医師はもっと積むべき。
甲状腺の簡単な触診は甲状腺の病気の存在の手がかりを見付けるためにきわめて重要。人口のおおよそ5%に非中毒性甲状腺腫(甲状腺機能障害を伴わない甲状腺の肥大)があり、別の5%には触診で触れる甲状腺結節(シコリ)があり、その一部には甲状腺がんが潜んでいる可能性がある。触診により医師は甲状腺のサイズと硬さを評価することができまる。不活発な甲状腺の症状がある場合、甲状腺腫がその患者は甲状腺機能低下症を起こす橋本病に罹っているという手がかりを与えてくれる可能性がある。この病気では、甲状腺が大きくなり、軽度の圧痛があることがきわめて多い。
頻脈や神経質、不安、興奮、および最近の体重減少などがある患者では、甲状腺の診察により、バセドウ病による活動し過ぎの甲状腺と一致する甲状腺腫が見付かることがある。
不活発な甲状腺であるかどうかを確かめるには、TSH(甲状腺刺激ホルモン)の検査。これは甲状腺の機能を司る脳下垂体のホルモン。血液中の甲状腺ホルモンレベルを測るよりも、はるかに信頼性の高い不活発な甲状腺の検知法。
T4検査(これは甲状腺で作られる2種類の甲状腺ホルモンの一つであるT4のレベルを測定するもの)
「どこも悪くないと言われたことで、私は自分の頭がおかしいんじゃないかと思ってしまいました。私の体に起こっていることが本当のことではないと言って、私が感じていることを否定しようとする人がいたのです」後に内分泌病専門医によりTSHレベルの測定が行われた際に、彼女は甲状腺機能低下症であると診断されたのです。
本記事は田尻クリニック様のホームページに掲載されている
https://www.j-tajiri.or.jp/ 「書籍の翻訳」の中の「甲状腺の悩みに答える本」の読書ノートです。
原題と著者は、[The thyroid solution] by Ridha Alemです。


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