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気が付きにくい「良かれと思ってパターン」のパワハラ あなたもやっているかもしれない ケース会議の勧め [労務管理・労働環境]


「もどかしい人材」って各職場にいると思うのです。
本当は、もっとマルチに仕事ができるはずなのに
実力を発揮していないような印象の強い人ですね。

例えば、配置転換前は、あれもこれもできていたのに
自分の課にやってきてから特定のことができなくなってしまったような人。

野球で例えると、
甲子園や大学野球で大活躍して、
プロでも十分やっていけるはずなのに
守備はいいけどバッティングが伸びない野手とか
二軍では大活躍するのに一軍では0点に抑えられない投手とか

監督やコーチも神様でもないし、
専門的なコーチングの指導を受けたわけでもない。
自分が平社員の時からの経験で
上司という立場にいるだけだから
瞬時に問題点を見つけ出して
劇的に改善するような指導は
あまり期待できない。

こんな時上司がついついやってしまうことは
わざときつく当たって発奮させようとすることです。
「この程度できたからと言ってお前を評価しない」とか
敢えて、厳しい仕事を担当させて
できないとあからさまに評価を下げてまともな仕事に使わないとか
同僚たちにも「甘やかすな」と厳しくお達しをしているとか
よくあるんじゃないかと思います。

厳しい人事の扱いを
期待の裏返しとか
愛情表現とかいうのもよく聞こえてくるところです。

期待が強いからもっと何とか頑張ってほしいということはわかります。
しかし、愛情表現ではないことは確かです。

労務管理的に言えば上司の無能で優秀な部下がつぶれるパターンです。
企業にとっての大きな損失が生まれようとしているときです。

野球で例えると、
選手がパフォーマンスを発揮すれば勝てるけれど
作戦を屈指して勝つということができないパターンですね。
つまりホームランが出なければ勝てないチームの監督です。

優秀な選手がどんどん委縮していって
力を発揮できなくさせられているパターンです。

こういうチームは当たればどんどん勝ち進みますが、
どんなにピッチャーが良くても点が取れない試合も多く
逆に打者が点を取ってくれれば
その分ピッチャーも打たれてしまう試合も多い
不思議な現象が起きているように感じますが
決して不思議ではありません。

部下が人間であり、メンタルを持つ生き物だ
ということを指導者が理解していないのです。

部下があなたのせいで、
「職場に行くのが怖い」と言っていることに気が付かないのです。
毎日顔を合わせているのに、
部下が生き生き仕事をしていて、
仕事上の困難さえも楽しんで解決方法を考えているか、
それとも委縮しておどおどして、
できることさえできなくなっているか
部下の目を見てもわからない無能な上司なのです。

委縮している部下にプレッシャーをかけても
デメリットしかなく
メンタル破綻を起こすかもしれないのです。

仕事は厳しい真剣勝負だということもその通りかもしれません。
しかし、それは指導者としての上司にも言えることなのです。
各人の持ち場持ち場で真剣勝負なのですから
指導者も真剣勝負で部下の成長に責任を持たなくてはなりません。
自分の能力の無さの言い訳にしてはならないわけです。

ではどうするか。
能力が無ければあきらめるか
一律に甘々で指導をすればよいのか。

そうではなく、
集団によるケース会議をお勧めします。

会議の心構えとして
懲罰のための会議ではなく
成長のための会議という位置づけが大切です。
当該部下に対する不満を言いあうのではなく
プログラムに従ってカンファレンスを進めるのです。

<カンファレンスの構成員は
直接の上司、上司の上司、場合によっては少しだけ上の同僚
カウンセラー的な人などが入ることも効果が上がることがあるでしょう。
大きな企業ならば専門で契約しても良いでしょうし
通常の会社ならば外注ができると便利ですね。


1 当該部下の現状評価
  公平な目で見た到達点
  伸びしろがどこにあるのか、あるいは現状がマックスか
  その伸びしろがあれば、職場の生産性がどの程度上がるか
  かなり生産性が上がるはずだというならば2へ進む。
2 目標不達成の原因分析
  伸びしろがあるとすれば、どうして伸びないのか。
  例えば優勝を狙うプロ野球軍団であれば、
  様々なデータを出してきて、特定の配球や球種に弱点があるのか
  敵のスコアラーがどのような分析をしてどのように攻めているのか
そうではなく例えばメンタルの問題なのか
  という分析をしていることでしょう。
  原因は一つであることは少なく、複合的に影響し合っていることが多いと思います。但し、メンタル、萎縮という可能性は必ず検討してください。
  原因が分析できれば3へ進みます。
3 対策
  その部下に誰がどのように働きかけるのか
  もっとも効果的に働きかけることが大切です。
  人間関係の変更をしてみるということも対策の一つです。
  原因に連動した対策でなければ意味がありません。
4 カンファレンスの記録化
  議事録をつけて、どのような議論を行ったかを記録することが大切です。
  このカンファレンスは、一人の部下の会議ですが、
  後々応用が利くので、せっかく行った議論は
  長く資料として共有しないともったいないです。
5 指導の実践と記録
  誰がどのように働きかけたかということ、
その結果部下がどのように受け止めたのかの反応は
記録として残すことが必要です。
6 効果の検証
  変化についての評価
  この時、短期的な結果ばかりに目を向けてはなりません。
  結果につながる行動変化がなされているかという視点が大切です。
  結果につながる行動変化ができていれば、早晩結果は出てくるものです。
そして、結果が出ようが出まいが
そもそも現状評価が正しかったのか
  原因分析が正しかったのか
  対策方針が正しかったのか
  対策指導の仕方が正しかったのか
  良くても悪くても一定の理由を付して結論を出して記録化する
  ここまででワンセットです。

部下の評価で一番まずい評価は
「今どきの若い者は情けない。俺が若いころは」
という思考です。
プロ野球で言えば50歳や60歳の人が
現実にプレーしているわけではありません。
現実にプレーをするのは、その今どきの若者なのです。
こういう無いものねだりは、
政治の世界でもよく耳にします。

有権者がもっと正しい判断をすれば
自分たちが多数派になるという野党の人たちですね。
現実に票を入れるのはその有権者なのですから
架空の有権者を想定して頑張っても結果はでません。
これと同じです。

昔であれば、経営者は
「現場に任せたから口出ししない」で済んでいたかもしれません。
しかし、指導力のない指導者を配置してしまったら
優秀な人材が育たず、企業の収益が上がらないばかりか
自己流の育成術で、社員のメンタルをつぶしてしまい、
下手すると会社がパワハラで訴えられてしまいます。
従業員がパワハラを苦に自死をしてしまったら
何のための会社か分からなくなり
お客さんもいなくなってしまいます。

自前で社員を育成できずに、気が付けば
プロ野球で言えば
1年目、2年目のよそで育成された選手と
よその球団からトレードで獲得してきた選手しか活躍しない
そういう会社になってしまい、
お客さんからも愛想をつかされる
企業の評価を落とすことになっている可能性があります。

一人当たりの生産性をあげるために
従業員のモチベーションをあげるということも
プロの指導者の必要なスキルだということに
もっと多くの経営者が気が付くことが
必要なのだと痛感しています。

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