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代理ミュンヒハウゼン症候群に、行政が気付かず、真に受けて子どもを攻撃する構造を考える。成人になった子どもが犠牲者になりやすい条件と、行政行為のゆるみは、一番弱い女性に被害が集中していことが同じことだという可能性について [弁護士会 民主主義 人権]



代理ミュンヒハウゼン症候群という疾患があるそうです。主として、母親が自分の子が実際はありもしない病気にかかっていると主張し、検査などのために長期入院をさせ、場合によっては自ら異物を飲ませたりして、医師などに子どもが病気であると誤解させ、治療を受けさせるという病気です。アメリカでは、いくつもの慢性疾患がある子どもを献身的に世話をしていた母親が子どもに殺されたという事件があり、犯人である子どもを調べたところ母親が世間に言っていたような疾患は何ら見つからず、子どもは母親に長期間(何年も)不当に拘束されて解放される手段がなかったという状態だったことがわかったという事例が有名だそうです。日本では赤ん坊に他人の血を飲ませて吐かせて、吐血があったということで長期入院を余儀なくされたのですが、真実がわかり母親が逮捕されたとか少なくない事例があるようです。

しかしながら、そのような典型例でもなかなか発見は難しく、現実には、何の病気もないにもかかわらず、長期入院を余儀なくされたり、自宅療養ということで、社会から隔絶されて暮らしている子どもたちがいるようです。子どもが小さい時期ならば、逆に学校や行政でそのような母親による詐病が発見されるかもしれません。問題は、子どもが成人した場合のことです。

人間関係の紛争を見ていると、母親の特に娘に対する支配は、娘が成人しても変わらないことを見ることがあります。代理ミュンヒハウゼン症候群が報告されている事例は、子どもが乳児期から幼児期のことが多いようです。この時期は、子どもの母親に対する抵抗力が弱いですから、母親の思惑は成功しやすいということはわかります。児童、生徒の時期になれば、次第に子どもの反発が強くなり、詐病を作ること自体が難しくなるのはよくわかります。
しかし、夫婦問題に携わっていると、母親の娘に対する過干渉が、様々な弊害を生んでいることを多く目にします。母親は、ふと気を許すと、どこまでも娘を過度に心配し、娘の将来を母親の力で保護していきたいと思ってしまうことがあるようです。
そうだとすると、娘の反発が強く、娘が一時的に自分から離れた経験を持つ母親であればあるほど、娘に気が弱くなるような事情があり、そんな時に娘が自分に近づいた場合、娘を自分の支配下(排他的保護下)に置くように行動する傾向をよく見ています。
娘の気が弱くなる事情として、娘の病気、娘の子ども(孫)の障害、娘自身の社会的逸脱行動(犯罪、経済破綻、不貞等々)、離婚等があげられます。

代理ミュンヒハウゼン症候群は、そのような病気や人格的問題を抱えた娘を母親である自分が献身的に世話をして苦労をしているということを第三者にアッピールすることを積極的に行うことが特徴的です。そうして、世間の同情を自分に向けさせます。一般人は、そういわれたら同情の言葉を惜しむ人はいません。

母親の排他的保護が乳幼児に終わらずに子どもが成人になっても続くのであれば、母親の被害者は、乳幼児に限らないわけです。但し、子どもが成人に達した場合は、子どもは自分の人間関係、職場、地域、夫等があるため、自分の人間関係が母親からの被害を防止したり、軽減したりするわけです。しかし、子どもが孤立している場合、例えばシングルマザーで頑張っている女性や、非正規雇用で特定の職場の人間関係が形成できない環境、住民の交流のない地域などでは、大人になっても代理ミュンヒハウゼンの犠牲になりやすい環境があるということになってしまいます。

ちなみに、大人になった子どもに対して、年老いた母親はどのような詐病を仕立て上げるのでしょうか。最初に言うことは、性格がだらしない、経済的にルーズであり破綻しがちである、まともな仕事がなく収入が安定していない、男性関係がルーズであるから始まるようです。特徴的なことは、聞く方も恥ずかしくなるような過去の娘の失敗を平然と第三者に告げることが多いようです。そういうことを、母親は、地域の友人や親せき、但し自分の子ども本人と面識のある人に吹聴するとともに、次に地域の善意あふれる有力者や宗教団体に相談し、そして行政相談会で相談するわけです。この過程で、学習するようです。どうすれば、自分に同情が集まるか、他人が具体的に自分のために行動を起こしてくれるか、どの言葉が有効かを覚えていくわけです。前回の記事などでも述べましたが、支援者は全く無責任です。今自分の前にいる人の心配を何とか軽減することが唯一の善、使命です。その相談者である母親の子どものことなんて、これっぽっちも配慮できません。見ず知らずの子どもをとんでもないダメ人間であるという事実を承認した上で、代理ミュンヒハウゼン症候群の母親の歪んだ心に「寄り添って」しまうわけです。母親は自分の苦労を理解してもらったという喜びとともに、「やはり自分の子どもはまともではない」という確信を深めていくようです。そうして、相談員はマニュアルに沿って尋ねていきます。
「娘さんは何か精神的に問題を抱えているのではないですか。」
「娘さんは、訳の分からない言葉を発したりしませんか。」
「娘さんは、本当は何もないところで何か聞えるとか言いませんか。」
「行政で、娘さんに知られないように何とかできるかもしれませんので、裏付けになるような録音テープはありませんか。」
「娘さんには小さい子どもがいるんですね。子どもに何か問題が起きてはいないですか。」

そうやって年老いた代理ミュンヒハウゼン症候群の母親は、「精神病」、「児童虐待」という言葉を学習していくようです。また、知能は高い人もいますので、巧妙に不穏当な発言を誘導して録音することに成功するようです。
但し、行政が精神病だと決めつけることはさすがに難しいので、お墨付きを得るために精神科への受診を勧めます。ここで、精神病という決めつけは失敗するはずだと一般的の人は思うでしょう。「なんたって専門家の精神科医なのだから精神病ではないとはっきり言うでしょう。逆に代理ミュンヒハウゼン症候群を見つけてもらって、解決に向かうのではないか」と思うことがノーマルですし、そうあってほしいと私も願います。しかし、そうは問屋は卸しません。

代理ミュンヒハウゼン症候群の母親は、病院が大好きです。娘の疾患を口実に、本来娘は婦人科など別の病院に行くべきところをまんまと精神科を受診させます。そうして子どもとは別にその病院に何度も行って、精神病と疑うべきエピソード(もちろん作り話)を延々に、主治医に吹き込みます。主治医は自分が診察しているときは、何も精神病のエピソードを認めていないにもかかわらず、代理ミュンヒハウゼン症候群の母親の話にもとづいて、精神病の疑いという判断を進めてしまうのです。

同時に代理ミュンヒハウゼン症候群の母親は、娘を知っている親戚や地域の人たちに、「娘は重い精神病を患っていて、今仕事もできず入院している。私も経済的に大変だけれど、娘の借金を返済しているんだ。孫も育児放棄されているから自分が面倒を見ているんだ。」というような嘘を吹聴して回ります。娘が結婚して離れて暮らしている場合は、そんな母親の話を真に受けてしまいます。

さらに、行政(保健所)にも通報して、何とか娘を強制入院させようと奮闘して回ります。この情報が行政から精神科の主治医に行くわけです。現在患者の家族が精神科に強制入院する手続きを始めようとしているようですとあやふやな情報を提供してしまいます。もちろん、娘本人の同意はとりません。母親の要請に基づいて主治医に虚偽の情報を提供するのです。

みんな、代理ミュンヒハウゼン症候群の母親の「心配」に寄り添った結果なのでしょう。でも、それによって、娘は甚大な被害を受けます。

さて、行政など公的機関、精神科医まで、代理ミュンヒハウゼン症候群の母親に振り回されて、その娘の人権侵害を行う構造はどういうものなのでしょうか。

第1に、「まさか母親が嘘までついて自分の娘を精神病だというはずがない。」という素朴な母性神話が影響をしているということが一つです。これは、実際はありもしないDVをあったと言われて、「まさか妻が自分の夫を嘘をついてまでDVがあったというはずはない。」という心理と同じなのでしょう。それよりも強いかもしれません。本人に確認すればすぐに嘘だとわかるけれど、本人に面談しないということも共通です。

第2に、特定のワードが出されると、政策的にそのワードに対する対応が最優先となってしまい、他の考慮すべき要素を考慮することができなくなるということがけっこう大きな事情だと感じられます。
「児童虐待」、「DV」、「精神病」もそのようなワードです。そういう言葉が出てしまうと、行為者の真実の検証ということはすっかり抜け落ちてしまい、「弱者保護」や「社会防衛」の観点からの行政行動が発動されてしまうようです。
本人に確認もしません。恐ろしいことです。先の精神科医に情報提供をした行政も、娘本人と話もしていません。それでいて娘の主治医に、虚偽の娘の症状の情報を伝えて、主治医に誤った判断をさせかねないことを何の躊躇もなくしています。そのことを私が指摘しても、なかなか問題があった行動だという結論を認めようとしませんでした。

第3に、もし、通報があって、その人に何らかの保護の必要性があったとしても、特に緊急性がない場合は、その人の不利益が生じる場合は、きちんとした裏付けがあってから行政発動をしなくてはならないという鉄則が緩んでいるのだと思います。
噂話のレベルでの話を真に受けて行う人権制限はもはや適法な行政行為とは言えないでしょう。

第4に、寄り添い最優先の風潮です。目の前の人の苦しみを解除することが最優先することになり、その人の話を肯定してしまう結果になる対応が、別の誰かに回復しがたい損害を与えてしまうということを考えられないということです。

結局、「悪」のカテゴリーが行政的に設定されていて、そのカテゴリーに該当する訴えがなされると、真実性をさておいても「悪」の排除がヒステリックに開始されてしまう。こういう事態なのだと思います。

最大の問題は本人と面談して真実性を確認しないということです。
これは本来何も弁解できないことだと思います。

一度行政が悪のカテゴリーに反応して行動をし始めると、特定の部署だけでなく、その行政行為がその事件の前例判断になっていきます。代理ミュンヒハウゼン症候群の母親の行為が、名誉棄損などの刑事犯罪を構成する場合でも、警察は行政から事情を聴いて、犯罪は成立するが立件しない、被害回復に協力しないという態度をとることがあります。裁判所もなかなか法律要件があるにもかかわらず、判断を先延ばしにすることがあります。法律的要請がないにもかかわらず、法的判断の枠組みを超えて、児童虐待や精神病の有無を慎重に判断してしまうわけです。

代理ミュンヒハウゼン症候群は、このように大事になる場合だけではないように感じています。母親としての自信を持てない事情がある母親が、自分は母親であるという実感が欲しくて子どもを犠牲にしてしまう、という少ない事例があるように感じます。そして、孤立しがちな大人になった子どもたちがどうしても存在してしまう環境があります。だから、小さな、無意識の母親による子どものへの支配が多くあるような気がするのです。

代理ミュンヒハウゼン症候群は、子どもを病気に仕立て上げて他者から同情を集めるということが典型ですが、現代では少し違う形態をよく見ます。子どもからの同情というか、感謝というか、自分に対する服従です。つまり、「あなたはこんなに人間として失格のところがある、私はこれまでずいぶんしりぬぐいをしてきた、あなたの友人や、恋人も長続きしなかったのはあなたのそのダメなところ原因だ、それはなおらない、夫とも長続きするはずがない、やがて嫌われて去られてしまうにきまっている、私は見捨てない、母親だから見捨てない、私の言うとおりにすれば間違いない。」という流れが見られることがあります。

これも娘だけでなく、娘や娘の夫、その他の親戚、友人間家の心に回復しがたい影響を与えています。

整理します。
1)苦しみを見せる人間の虚偽の相談を行政が寄り添って追認する。
2)行政は特定のワードを出されると、本人から事情聴取しないで事実認定をして、本人の不利益を考えないで行動を開始してしまう。
3)最初の行政の行動によって他の公共機関は悪の排除の連鎖を止められない。
4)このため被害者は、不当な人権制限を受けるが、救済される方法がない。
こういうことがよく見られるわけです。

この被害は、結局は、孤立している人間に集中していきます。経済的余裕や知識があれば、まだ弁護士等に依頼して自分の主張をすることができますし、公的機関によって主張が認められることもあります。
しかし、例えばシングルマザーとして1人で働いて子どもの面倒を見て、失職におびえている人は、離婚事件の時の数十万円の法テラスの費用の返還もできていませんから、法テラスの利用もスムーズにはいかないようです。そもそも法テラスを利用できるということも知らない人も多いでしょう。というか、現実を打開しようという気持ちも作りにくいし、維持しにくいということが実情です。母親から攻撃されてしまえば、誰にも自分の苦しい状態を話す人もいない、勇気を出して相談しても母親がそういうのだからということで、「やっぱり精神病なのではないだろうか。」という先入観で見られてしまい、さらに傷ついてしまいます。結局、寄り添い優先主義、キーワードへの反応による人権への配慮懈怠、裏付けの検討の欠落、行政判断の連鎖は、最も孤立して、経済力もない、現代では多くいる女性に集中するようにできてしまっているのです。

間違いを恐れていては虐待防止はできないというのが今の風潮かもしれません。虐待を防止するためには、犠牲も仕方がないということは果たして正当なのでしょうか。その犠牲は、多くは人権侵害という形をとります。行政目的のためには行政による人権侵害も仕方がないというのでは、人類史は近代以前に逆戻りしてしまうのではないでしょうか、

虚偽虐待通報も、虚偽DV保護も、虚偽精神病も、根は一つです。根本に勇気をもって切り込まないと、救済されない人権侵害が増えていくだけだと思います。そして、その被害は、どんどん増えていく普通の女性に集中していく、このような犠牲はやがて女性を中心に拡大していくと私は思います。

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