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「孤独の科学」(河出文庫)カシオボ、パトリック著を読む。対人関係学と何が違うのか。 [進化心理学、生理学、対人関係学]

「孤独の科学」(河出文庫)カシオボ、パトリック著を読む。対人関係学と何が違うのか。

興味をもって買ったのに、ブックカバーをつけてもらったばっかりに
数か月たってようやく読み始めた本が
「孤独の科学」(河出文庫)J・T・カシオボ、W・パトリック著
です。
最近楽器の練習にかまけて基礎的な勉強を怠っていて、
楽器演奏は上手になりましたが、本から離れてしまい
それでも良いかと思っていたところ、
事務所のバックヤードを整理していたら見つけました。

面白そうだと思って買ったのですが、面白い。
どんどん頭に入るのは、対人関係学と
ほぼ言っていることが一緒だということです。
特に人間とは何かというところです。
このブログや対人関係学のホームページを見たのかしらと
(通常の発想は逆)
思うほど主張が似通っています。

これは理由があり、この本で引用されている研究者が
バウマイスターや、アントニオ・ダマシオなどであり
まるっきり産みの親が一緒だということです。
さらにこの著作のテーマが
特にバウマイスターのNEED TO BERONGという論文の
「人間は、誰かとつながっていたいという根源的要求を持ち
この要求が満たされないと心身に不具合が生じる。」
という結論部分を論証するはずの論文となっています。

カシオボらは、「孤独」という切り口で論を進めていきます。
対人関係学では、
孤立化(追放、排除)の危険の認識を「対人関係的危険」と表現しており、
よく似ているところです。
但し、対人関係学は、
形式上は孤立していない、群れには属している
けれど、その群れから外されそうになると、不安や焦燥感を感じて
群れから外されないように自己の行動を修正しようとする
ということがセットとして考察されています。

カシオボらの「孤独」も、
必ずしも形式的にも孤立している場合だけではない場合も対象としているようですが、
多くの考察では孤立が完成した後の孤独を使って実験しているようです。
この実験の方法は詳細に語られていないので
どういうことかはよくわかりません。

興味深いのは色々あるのですが、その中でも
孤独に陥った場合に現れる弊害として
・要求ばかりするようになる
・批判的になる
・行動が消極的になり引きこもる
と言ったものをあげています。

対人関係学では「被害者の心理」として紹介しているところと似ています。

被害という評価の入った概念で用いないで
孤立という客観的状態を基軸に論を進めることにも
相当のメリットがあると思われます。

問題というか是非言いたいことというか
「どうして孤立ないし被害を受けると、そのような変化が生じるのか」
ということについては、述べられてはいるのですが
対人関係学は、少し重点を置いて説明しています。

これらの心理的変化は、対人関係学では
「過覚醒(かかくせい)」という言い方をします。

危険を感じた者(ないし生物一般)は、
平常時よりもさらに危険から自分を守ろうとします。
例えば路上強盗が現れた道路を通って帰宅しなければならない場合、
もしかして自分が付け狙われているのではないかと
強盗が現れる以前に比べてより恐怖を感じるでしょう。

ただの風の音でさえも、あるいは道路を通るバイクでさえも
自分に対して攻撃に向かってきているしるしなのではないかと
過敏に考えてしまうことはわかりやすいと思われます。

おそらく意識に上る以前の生理的な現象として
音、視覚、触覚などによって、
自分を侵害するものだと危険だという認識を持ってしまうのでしょう。

これは生物的危険として整理されます。
これと異なり、対人関係的な危険も
通常であれば感じないことでも
危険を感じているときには感じやすくなるわけです。

誰かが話をしているとき、自分に対する悪口ではないかとか
声が大きいといら立っているのではないかとか
自分が排除追放されているのではないかと
感じやすくなっているということが対人関係学の分析です。

ここに必要な手当てをしないと
あなたの仲間、例えば配偶者なんかは
自分があなたから追放される、排除されるという予期不安が高じて
その予期不安から免れるために
自らあなたから立ち去って、不安を解消しようという行動に出る
ということがありうると主張しています。

そうだとすると、夫婦関係の不具合がある場合は
一方が孤独を感じていて
他方がその孤独に気が付かず孤独感を逆なでしている
と説明したほうがわかりやすいのかもしれません。

そして対処方法としてはカシオボらは
・現実を直視する。
・なんでもできることをして、寂しい人間に安心感を与えよう
ということですから、ここも対人関係学の主張と一致します。
特に後段ですね。

対人関係学的に言えば
例えば子どもに対して、例えば配偶者に対して
あなたを絶対に見捨てない
というメッセージを出し続けるということで
お互いの関係に安心感を持ってもらう
ということになりましょうか。

それから、過覚醒状態にあると
自分の不安を解消してほしいという要求が強くなり、
相手に対する要求度も強くなります。
このため相手に対して批判的になり、要求ばかりするようになる
という説明の仕方をしています。

対人関係学の本の出版なんておそらく現実化しないと思います。
ブログやホームページを見るのも疲れることかもしれません。
「孤独の科学」をお読みになることはとても簡単なことです。
とても親近感を抱いています。

ご紹介方々
対人関係学の宣伝もちゃっかりやらせていただきました。


ちなみに対人関係学の学は
体系的な学問だというよりも
学び続ける、勉強し続けるものだということでつけています。
なんて、私も少し過覚醒のところがあるのかもしれません。

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