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事後的な緊急事態条項よりも、事前の備えの充実こそ、防災、減災、早期復興に必要なことだと思う。 緊急事態条項を目的とした憲法改正に対する疑問(不理解)の由来 [災害等]

自民党が憲法改正案の4つのポイントを発表しています。憲法改正に限らず国家政策は、必ずメリットがあればデメリットもあります。デメリットを指摘することは必ずしも政策に対する反対を意味するわけではなく、デメリットを少なくしてメリットを拡大させてほしいという期待の表れでもあるわけです。

その4項目の中でも緊急事態条項を理由に憲法改正をするということについて、今回は述べてみたいと思います。断っておきますが、私は、緊急事態宣言が、災害時の混乱を良いことに全体主義国家的な強権を握り国民を支配するという火事場泥棒的な目的があるとは考えておりません。自然災害は必ず復興します。復興後、全体主義的な活動は猛烈に批判されて、政治的には致命的な影響が出るので、そんなことはしないと思うからです。

また、他国の侵攻の危険を理由に有事だからといって全体主義国家的な政策をしても同様だと思います。

私が、緊急事態法の必要性をよく理解できていないということなんだろうと思います。それならばもっと勉強すればよいではないかとおっしゃるでしょうけれど、どうも勉強する気になれないということが本音です。

東日本大震災を経験して、あの混乱のさなか、国会が開かれたからと言って、あるいは内閣に強い権限が与えられたからと言って、何か良いことがあるのかイメージが付かないからです。あのときは、今はなき民主党内閣でした。国会も少しして開かれたと思います。法案を提出しても野党の何でも反対ばかりで、被災地の役に立たなかったという記憶があります。あの時民主党内閣の権限が強くして、自民党の反対を無効にすれば何か良いことがあったのでしょうか。やはりイメージがわいてきません。

大震災の経験からは、事後的な対応を準備するよりも、事前の準備を充実させることが防災や減災にとって不可欠だということが実感です。

まず、危険な場所に近づかないということが原則でしょうね。できれば危険を減少させるようなハード面対策が立てられれば有効でしょう。ソフト面とすれば避難経路の確立と、練習が有効です。どのような被害の場合、どのような対応を取るかというシミュレーションを確立していなければなりません。その場になってから考えたのでは、精神的に動揺してデメリットの多い行動をとってしまうものです。このことを東日本大震災から学ばなければなりません。事後的に損害賠償の責任を負った誰かの責任とばかりは言えないのです。

そして避難所の確保です。低体温症の防止という対策は各地で確立したのでしょうか。必要な物資の輸送ルートや輸送体制も必要です。交通網は道路も含めて遮断される可能性がありますから、上空からの輸送の充実が不可欠だと思います。

また、震災の規模が大きくなるほど避難所や仮設住宅の使用日数が増えるわけですから、プライバシーの確保や安心感の確保についてどのような準備が現在進んでいるのでしょうか。

震災後の就労の問題も現実的な問題です。被災者任せではなく、きちんと対策を立てることこそ必要な政策ではないでしょうか。

まだまだメンタルの問題など重要な対策が未整備ではないかと心配しているところです。

私の立場からは言わなければならないことがあります。それは震災対応をする公務員に十分な手当てをしなくてはならないということです。

国家公務員法、地方公務員法では、自然災害などの緊急事態には、避難誘導などの仕事が公務員の法的義務とされています。

今回も津波が来る沿岸部へ、公務員が避難誘導の仕事で車で行くことが命じられました。今にして思えば「死にに行け」ということに等しい任務ですが、当時は津波の規模を実感としてイメージすることができなかったのかもしれません。仙台市でも少なくとも2名の職員が津波の犠牲になりました。

死の危険のある公務の場合の災害には公務災害補償の一部が1.5倍になる法律があるのですが、地方公務員災害補償基金仙台市支部長、同仙台市支部審査会は、2名の公務員の死を特殊公務災害とは認めませんでした。

理由は、「当該公務員が善意でやったことだから」、「被災で亡くなったどうか目撃者がいないのでわからないから」というものでした。
詳細は
特殊公務災害 地方公務員災害補償基金審査会で、逆転認定の解説:弁護士の机の上:SSブログ (ss-blog.jp)
https://doihouritu.blog.ss-blog.jp/2014-06-13

各地で同様の理由で特殊公務災害が当初は認められませんでした。南三陸町の防災庁舎で町民に避難誘導を呼び掛けていたために逃げ遅れた職員の方々にも同じように認めませんでした。理由は、どの支部でもコピペで記載されていました。各公務員が善意でやったことだから危険任務に従事したとは言えないという屁理屈でした。

これは、国会でも取り上げられ、内閣を動かし、ようやく改善されましたが、公務員に対する扱いは、公的にもこんなものでした。こんな扱いならば、命の危険のある仕事は拒否をした方が良いということになるでしょう。

最後はその政党の議員さんに大変お世話になったのですが、それ以前にはその政党の地方議員からは妨害活動をされ、私の意見書に難癖をつけられてあやうく手続きがとん挫するところでした。遺族のあきらめない気持ちに支えられ、ようやく不合理を改善できました。

ある町の公務員が、避難所の運営で文字通り血を吐く不眠不休の活動をされていましたが、元々身体が弱かったということで公務災害自体が認められないこともありましたが、これは支部審査会で逆転し、公務災害であるとであると認定されました。この事件では川人博先生の弁護団チームに参加させていただき、私もいくばくかの貢献ができたのではないかと思っています。

さらには、避難所での地方公務員の活動は、自分の家が被災しているにもかかわらず行わなければならないことでした。不安の持って行き場のない住民の容赦ない攻撃にも無防備にさらされ続けました。うつ病を発症し、離婚に追い込まれた公務員もいました。

それにもかかわらず、残業代が支払われない自治体もあり、働いた報酬を不当に払われない公務員が続出しました。事前に、働けなくなった被災者の対策を確立していなかったことで、現場で献身的に働いた公務員につけが回った格好になっています。

震災直後は、法律や権力はあまり役に立たなかったということが実感です。一般公務員や自衛官、消防署職員、警察官の献身的な活動、あるいは一般国民の善意の活動こそが具体的な力になりました。

緊急事態条項が必要かどうかを検討する以前に、このような東日本大震災の教訓を生かした事前の準備をきちんと充実したものになっているという実感がわかない限り、事後的な緊急事態条項の必要性を検討しようというモチベーションがわかないということが正直なところです。

以上の次第で、事後的な震災対策のための抽象的な緊急事態条項のための憲法改正に賛成しようとは思えないということです。

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