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出る杭を叩く原因としての不安 一番(群れの権威)ではないと心休まらない人の不安 パワハラの対象となるのは優秀な社員であるという理由 不安シリーズ6 [進化心理学、生理学、対人関係学]



出る杭を打つということは、人間が集団化すると現代ではつきもののようにあるようです。
職場の上司と部下のパワハラについては今回詳しく述べます。ただ、それだけではなく、もっとお偉いさん、団体(会社)の幹部で、自分が一番でなければ気に入らないと言う人がいて、自分の座を脅かそうとする人間をつぶしにかかるという猿山のボス猿みたいな人をよく見かけると思います。上場企業にもあるように聞きますし、ボランティアや友人関係などでも見たことがある方は多いと思います。

ボス猿のような人は、団体の創業者である場合が多いです。その人を中心として人間関係(団体、友人関係等)ができたという人で、その人でなければできなかったことをやっていったというような実績もあります。何もしなければ引退まで盤石な地位を保てると誰しもが認めている人なのです。もちろん、周囲も攻撃を受ける被害者だって、その人にとって代わろうとする気はありません。

それなのに、攻撃を受けるターゲットが団体の活動に貢献し、成果を上げて、人望を集めていくとしまうと、途端にボス猿はターゲットへの攻撃を始めてしまいます。

この結果優秀な人材が何人も団体の外に流出していきます。団体には、ボス猿の取り巻きと団体の目的とは別に自分の目的を達成するために団体を利用しようという人だけが残ってしまい、団体はどんどん先細りしていくわけです。ボス猿がすべての価値観となってしまいますので、法律や道徳よりボス猿の機嫌が優先されて、不祥事を起こすストッパーが無くなってしまいます。

リアルな話をすれば、このようなボス猿行動を起こす人たちは引退間際の人たちに多いです。いわゆる晩節を汚すということです。人間遅くとも70歳を過ぎたら、自分がボス猿化していないか自己点検をして、できるなら道を譲ることを始めるべきです。後輩に任せる準備をするほかはありません。

色々な事件、人間関係の調整にかかわった経験を踏まえて考えてみると、そういうボス猿は、仲間内の評価が「自分が一番」でないと安心できないみたいなのです。自分にとって代わることができる人が現れると不安になるようです。団体が盤石になるということよりも、自分がちやほやされていることを優先しているのです。自分が一番ちやほやされていないと不安になるということです。

「団体」という言葉を「営業所」とか、「支店」とか、「研究所」等という言葉に変えれば、リアルなパワハラの問題になります。

周囲はそんなことに気が付きません。うっかり、例えばある営業所の営業マンが成績を上げて取引先にも評判が良いので、本社の役員なんかが営業所長に対して「彼はよくやっているね。この営業所もしばらくは安泰だね。」なんて言ってしまいます。そうするとボス猿はたちまちむくれてしまいます。

実例で多いのは、新人等が、自分ではなくターゲットを頼りにして、相談をしたり、助けを求めたりすることが気に入らないようです。新人は、単にボス猿にまで話をするほどの大ごとではないと考えますし、なんか怖くて聞けないということがリアルなところだと思います。しかし、ボス猿にしてみれば、自分よりもターゲットの方が頼りがいがある、信頼できると思われていると感じてしまい、それを理由として不安になるようです。

ただ、残酷な話ですが、時間とともにボス猿は、団体の中での価値も衰えてきています。ボス猿の知識や考え方は前時代的なものであったり、過去の成功体験を根拠なく押し付けているだけだったりする場合も多いので、リアルにもあまり信用されていないことも多いのです。また、敵味方構わず攻撃し、攻撃も強烈ですから、敬遠されてもいるわけです。ある時期からどんどん自分に求心力が無くなっていることをなんとなく実感するようです。なんとなく面白くないという気持ちも蓄積しているのでしょう。その不安の積み重なりがまとまってターゲットに爆発するのでしょう。

ボス猿は、例えばこの営業所は「自分がいなければ回らない」と考えています。自分あっての営業所だというわけです。実際、誰よりも地道な努力もしていたことも間違いのないことです。でも誰も自分を言葉でも態度でもほめてくれないと不満をもっているようなのです。自分を評価する言葉を発しないにもかかわらず、本社がターゲットを賞賛する。新人はターゲットに質問に行く。そうなってしまうと、なんで自分が評価されないのだ、なぜ自分の努力、労力が評価されないのだという思いが強くなってしまうようなのです。自分のこれまでの労力や成果をかすめ取られるような気持になっているかもしれません。

会社創業者のような立派な人であっても、人は明示の評価をされ続けたいとようです。

このような状況になるとボス猿が先ずすることは、ターゲットは、本当は自分以外の人間がするほど評価には値しない人間なんだと周囲に示したくなるようです。周囲のターゲットに対する評価を下げることに全力を尽くしてしまうようです。この行動は、ボス猿も、ターゲットの能力を認めているということが示されているのです。わかっているからこそ、ターゲットの「評判」を下げることによって、自分こそがナンバーワンだという評価を盤石にしたいように感じられます。

ボス猿にとって代わろうという気持ちが無くても、攻撃の対象となるのはこのような仕組みです。

具体例を挙げれば、ボス猿は、ターゲットの些細なミスをことさら周囲にアッピールする形であげつらい、自らターゲットを叱責をします。周囲にターゲットが無能だということをアッピールすることが目的ですから、ギャラリーの目に、耳に触れる形で叱責します。叱責する場を見聞きしている人がいるからこそ大上段に、あるいは下品に、なりふり構わず攻撃するのです。

説諭が目的ではないので、同じことを何回も繰り返して怒鳴っていても気にしません。攻撃をしている形を作りたいのです。周囲はそのような事情なんて理解できるわけがありません。ボス猿が怒っていることはわかるけれど、「どうしてそんなことでしつこく騒いでいるのだろう。」と素朴に感じます。周囲の反応は鈍いですし、ボス猿に共感を示す者もいません。こうなると、ボス猿はもっと周囲にアッピールしなければならないという行動に出るために、ますます攻撃を強めてしまうのです。

攻撃し続けるしかないので、
・ 同じことを繰り返す
・ 過去の失敗を何度も言う。一事が万事とかいうわけです。
・ ネタが尽きれば人格攻撃、中傷を行います。
・ 何らかの情報があれば家族の悪口を言う場合も出てきます。
・ 特徴的なことは、それが否定評価となる理由は言わないことです。理由も言わないで(根拠などありませんから)、ダメだ、最低だ、失望した、見込み違いだった、下品だ、新人以下だ、○○の資格なし、何年この仕事をやっているのだ等の評価だけを言う場合は、こういうボス猿行動かもしれません。

あとは、陰口です。ターゲットを評価している人に、こっそりとターゲットがその人を否定しているということを告げて、怒りをあおるのです。その人は、やはりボス猿を信頼していますし(ターゲットほどではないにしろ)、権威がありますから、ボス猿から言われれば信じてしまいます。ターゲットとしては、思わぬ人が自分を攻撃してくるので、精神的ダメージが大きくなりかねません。

ターゲットが自分の攻撃によってどのようなダメージを受けているかなんていうことにはボス猿は関心ありません。すべての関心事は自分の防衛です。

些細な落ち度を捕まえて攻撃をするわけですが、ターゲットに落ち度が無い場合はどうするのでしょうか。
落ち度を作り上げるということが見られます。
実際にあった例としては、これまで団体内部の慣行として許されていた経費の使い方に難癖をつけて、業務上横領だと警察沙汰にするぞと迫った事件もありました。驚いたターゲットは精神的に異常をきたし、行動がまとまらなくなり、家庭も崩壊したという事例がありました。結局は警察沙汰にはならなかったようです。単なるボス猿のターゲットつぶしではなかったのか、今にしてみればそれが真相なら不条理だけど、疑問は解消されます。

落ち度を作ると言えば、取引先からの理不尽なクレームを取り上げて、責任を取れという迫り方をした例もありました。ターゲットとしては、当然クレームから守ってくれると思っていたところ、逆にその理不尽な言動を理由に攻撃されるのですからたまりません。長期の精神疾患が続いています。

すべては、優秀な人材が自分に反旗を翻すという不安、自分が使用済みのティッシュペーパーのように捨てられるという不安からきているとすれば、理解できた事象だったのだと思います。

このような仕組みのパワハラが深刻な精神被害となるのは、自分がどうして攻撃を受けるか理解できないからだと思います。全くボス猿の頭の中だけの出来事ですから、ターゲットは気が付くことも予防することもできません。

パワハラの被害者は仕事ができる人が多いということは間違いのないことです。会社にとっても優秀な人材が、退職したり、仕事のやる気をなくしたり、休職しがちになるわけですから深刻な被害が生じます。もしかしたら日本経済のとんでもなく中枢の部分で、このような「一番でなければ不安」シンドロームが悪さをしているということはないでしょうか。

ボス猿の周囲がボス猿をたしなめるということはあまりありません。ボス猿は確かに実績がありますし、これまでは団体を引き上げてきた人です。特に団体幹部からの信頼は依然厚いものがあります。周囲はボス猿の自己保身のためにターゲットを攻撃しているというふうには思いもつかないことだと思います。たとえ、団体が公的な目的を持った公的な団体だとしても、周囲はなかなかボス猿の方の行動修正を促そうとはしません。案外公的団体の方が影響を受け続けるということがあるのかもしれません。保身のための忖度する相手を間違えるとか。

周囲はボス猿が怖いので自己保身のためにボス猿に働きかけをしないということももちろんありますが、団体秩序の維持を最優先にしているという事情もあるようです。つまり、こういうボス猿のいる団体は、ボス猿の号令で秩序が形成されています。ボス猿が団体の権威なのです。人間は、群れを作るために権威に従って群れの秩序を作りたいという本能があります。

正義に照らして仲間の人の評価をする人間などそれほどいません。こういう正義の人は、権威を重視する人たちと大部分重なるようです。

ボス猿に対しては、秩序を形成する権威であり続けてほしいと無意識に考えてしまっています。そうなると、「ボス猿が理不尽なことをしている。」とは無意識に思わないし、そういう思いが沸き上がることに蓋をしてしまうようなのです。その団体が社会正義を実現することを目的にしている団体であっても、構成員の心理としては、団体の目的の遂行よりも、まずは団体の秩序の維持、権威の保持が優先事項とされてしまうのが人間の本能のようです。

だから、正義感に燃えているはずの団体の構成員なのに、権威者の明らかな理不尽な行動を見て見ぬふりをするわけです。ボス猿の言い分は、裏付けが無くても、反論の機会が無くても、あるいはターゲットとその人の個人的な信頼関係があっても、周囲にまかり通ってしまうのです。ターゲットは目をつけられたというだけで、何の落ち度もないのですが、周囲の心理なんて、「面倒なことを起こしてくれた厄介者」に対しての視線をターゲットに投げてしまうのです。

何の落ち度もないターゲットが精神的に打撃を受けることは当然のことです。

では、どう言う人がボス猿になって、自己保身のために出る杭を打つのでしょうか。事件がらみで情報が入る場合があります。

多くは、それまでの人生経験から、自分の立場に自信が持てない事情があるようです。生い立ち、育った環境、特別な出来事から、自分をアッピールし続けないと、自分という存在が忘れ去られるとか、一人分の勘定に入れられなくて孤立した経験があるようです。客観的には孤立していないとしても、自分が求める人から受け入れられなかったという経験がある人もいます。

このような人にとって、他人は、「賞賛する人」と「攻撃する人」、そして「自分の取り巻きとして面倒を見てやる人」しかいないようです。近づいてくる人があなたを激烈にあなたを賞賛しても、あなたを賞賛する際に、誰かと比較してその誰かを否定した上であなたを賞賛しているかもしれません。むやみに称賛をする人は警戒するべきです。やがてあなたが、否定される側に分類される危険性が高いからです。それが嫌でもその団体に加盟したいのならば、割り切って第三の立場、すなわち僕、家来になるしかないでしょう。

我々は、自分の子どもたちや、あるいは仕事上の部下に対して、過敏な不安を招くような対応をしないように注意しなければならないようです。我々がボス猿を育成しないようにするべきでしょう。

何かをしなければ、仲間として評価をされなかったという体験は、その人を通常の状態であっても不安にするようです。何もしなくても、そばにいるだけでも、苦にされず、疎ましがられず、存在を承認されているという体験を積み重ねることが円満な人間形成には不可欠のようです。

今回は本人の不安が特定の誰かの攻撃に結び付くというケースを説明するとともに、不安の出どこが、過去の体験からくるということがありうるということを考えてみました。

ちなみに、自分がボス猿のターゲットになったならばどうするか。
第1に、ボス猿の近くから離れる。ここで、かなり精神的に追いやられているときは、「その団体を離れても、ボス猿の影響下から抜けられない。」と勘違いするものです。自分の居場所を最小限削ることで、実は簡単に離れることができるのです。冷静に相談に乗ってくれる第三者に相談することがおすすめです。

ボス猿はたくさんの人の人生を台無しにします。早く離れることが肝心です。ボス猿と決別した人たちの問題点ばかりを見て、ボス猿を無意識に擁護してしまうことがありますが、立派な人が離れたら自分も覚悟を決めるべきです。人生を台無しにされるよりはよほど良いです。

第2に、ボス猿に服従を誓う。クリンチ作戦です。この時精神的には優位に立って、ボス猿とその団体を利用しようというくらいの気構えが必要なようです。


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