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【ハラスメントの余後効】一度起きたハラスメントの被害者は、何も有効な行為をしなければ、かつての加害者が存在すること自体が恐怖になるということ 河北新報ナイス記事(R5.4,21)! [労務管理・労働環境]


4月21日の河北新報の記事です。職場でセクハラを受けた(その後裁判所で会社に対して損害賠償命令済みとのこと)女性が半年間の休業期間を経て職場復帰をしたところ、そのセクハラをした男性と同じ職場のままだったと報道されました。記者が会社を取材したところ、事実関係を把握したので対応を検討するとのことだったそうです。

取材によって配置転換があれば、河北新報はあっぱれだと思います。

会社としてはセクハラの損害賠償を争っていたようですが、だからと言ってセクハラ被害者が休業後に復帰した職場にセクハラをした男性がいるということはいかにもまずいです。会社を訴えたことに対しての女性に対する報復だと受け取られても仕方がないと思います。

この問題は、実は、この会社だけの問題ではなく、労災の認定機関も同じような思考をしている可能性があります。

強烈なパワハラによりうつ病になった事例で、職場復帰をしたところ、パワハラの加害者と同じ職場であることが、心理的負荷として重大なものだと扱われていない場合があるようなのです。もっともその事例は、職場の方でパワハラ加害者に対して懲戒処分を行い、一緒に仕事をすることを極力少なくして、どうしても同じ部屋で会議をする時には、管理者が立ち会うという措置を取っていたということがあります。だから会社はある程度対応はしてくれていたことは間違いありません。ここを重視してそれほど大きなストレスではないと判断した可能性はあります。

それでも、かつてパワハラを受けて、主としてそのストレスでうつ病になった人にとっては、その人の存在自体がとても強いストレスになります。この人は、主治医から外傷性ストレスを起因としたうつ病であると診断を受けています。症状如何によって、あるいはお医者さんの判断如何によってはPTSDの診断がついたかもしれません。

ここは人間の記憶のメカニズムの問題からも説明できます。記憶を持つ最大の理由は、危険の所在を記憶して老いてその場所に近づかないところにあります。ひとたびハラスメントを受けて、不快な人間、恐ろしい人間、抵抗できない攻撃を受ける人間だと認識した場合、その危険の記憶はなかなか消えません。簡単にこれが消える動物はすぐに絶滅するはずです。

だから、過去のことだからもう大丈夫だろうと考えるのは間違いです。また、あの人から抵抗ができない状態で攻撃を受けるかもしれないと、動物の記憶は警戒を高めるわけです。これが文字通りストレスそのものです。

もし、きちんとした謝罪があり、これまでの態度を改めるという宣言があり、具体的に安心ができる接し方に切り替えられていれば、あるいはストレスは著しく軽減するかもしれません。しかし、自分の発言によって、相手がどのような気持ちになるかわからないタイプの人、つまりこういうことを言うと嫌がるからやめようとか、こういう言い方をすると怖がる方言い方を変えようということのできない人は、謝罪をしたり、態度を改めたりすることができません。そしてやっかいなことに、セクハラやパワハラをする人の多くがこういうタイプの人のようです。

処分より前に大事なことは、その人がしたことで相手がどのように辛い思いをするのかを教えることだと私は思います。再びハラスメントを行う可能性がある場合は、企業の責任としては、雇用を続けるかどうか検討をする必要があると思います。二度目のハラスメントがもしあれば、会社は膨大なコストを支払わなければならなくなるということもありますし、求められるコンプライアンスが強くなってしまうということもあります。

一般的には、このようなハラスメントを起こさないようにすることが最も大切です。そのためには、ハラスメント起こすなという予防活動、マイナスを起こさない活動ではなく、積極的にプラスを作り上げる活動が大切です。つまり仲間意識を高めることと、指導力のスキルを上げることで、本人も周囲も、それに逆行するハラスメントに対する拒否反応を作り上げることです。



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