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弁護士が行う夫婦関係(人間関係)修復の業務 家族を暖める方法 (カウンセリングの話シリーズ5というか最終) [家事]



1 家族保護、崩壊予防の働きかけの必要性

現代日本では、核家族化や家族の孤立化等の理由で、家族を維持していくノウハウや支援が継承されず、また分断する方向で家族の不具合を解決しようとする大きな力もあり、家族分断の悲劇が後を絶ちません。

先日も離婚調停中のご夫婦の家からの荷物の引き上げに立ち会ったのですが、私の依頼者も相手方も、様子が良く、良いところもたくさんあり、それがかみ合っていた時期はそれは幸せだったろうなとふと思ってしまいました。その時機がありながら歯車がかみ合わなくなるタイミングがあり、それは当事者にはどうしようもないことだったりして、それでも心が離れ始めると悪循環が始まってしまい、どうしようもなく別居、離婚に至ることが一般的ではないでしょうか。

結婚をするということはエネルギーが必要なことかもしれません。二人が悪意が無いのに別離に至るということはそれ以上にエネルギーを消耗してしまうことかもしれません。特に男性側が、消耗の度合いが高くなる場合があると感じています。これは弁護士同士の話でも一般に言われていることです。

精神的消耗のために精神科受診ができればまだ良い方です。何ら手当をしないまま、わけのわからない不幸感覚に見舞われて、気力がわかなくなり、離婚の後もそのことばかり考えて仕事もうまくいかなくなり、人生から色が失われた人は大勢います。自死をする人も少なくありません。本当はもっと活躍できたはずなのに、離婚を契機としてせっかくの才能が生かされないまま埋もれてしまう事例もよく見てきました。

とにかく、別居、離婚の事例の圧倒的多数の事例で、同居中は改善の要求や不満などの話が出ていないので突如別居が起きることが多いので、離婚要求を突き付けられた側は何が原因だったのか全く理解できずに途方に暮れるようです。

別居や離婚の子どもたちに対する影響も大きいです。一方の親から別居によって引き離されて、ほどなく精神症状が出る場合が結構あります。医師は、子どもと別居している親に対する恐怖から出ているという診断書を書くこともあります。しかし、同居中は精神症状が出ないで別居後に出ているのですから、端的に会えなくなったことによる精神不安だとするべきだと思うのですが、そのように親をいさめる医師はいないのかもしれません。

要するに
人が思う以上に、実は別居、離婚は重大な理由が無くても起きる

人が思う以上に、別居、離婚は、当事者や子どもに対して取り返しがつかないほど精神的ダメージが大きい

ということです。

2 家族の維持、幸せの維持は意識的に大人は全員参加で行うべき

家族が崩壊する要素が現代社会では多い
家族が崩壊すると関係者のダメージが大きい

ということは、崩壊を予防することが大切ですし
の予防を意識的に行う必要があるということです。

ただ、崩壊予防とか夫婦の義務とかいうと、しんどくなるイメージがあります。しかし実際の作業は、気づきや工夫によって幸せを維持していくということですから、行動をするたびに喜びを感じる楽しい作業になるはずです。

また、おそらく有史以前から人間はそうやって群れを楽しいものにする工夫をして生きていたはずなのです。その意味でも、実際は人間らしい当たり前の行動をするだけだと思っています。

しかし、これは一人だけが頑張ってもなかなかうまくいきません。
でも、お互いに家族を守ろう、楽しく幸せに生きようという気持ちがあれば、それほど難しいことではないとも考えています。

3 弁護士が行う家族を暖めるための素材

家族の誰かの不具合を家族の在り方を見直す形で行うといえばカウンセリングを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。この種のカウンセリングには心理学の家族療法や、カップルカウンセリングがあります。
弁護士が行うことは、このようなカウンセリングではありません。誰かを治療しようという視点は初めからないわけです。

弁護士が武器にするべきは、自分が取り扱った家族事件の実例から学んだこととが一番の武器で、事件を解決するために学んだこと、統計や心理学等様々な研究結果も武器になると思います。

ただ、事件についても、表面的な言葉をそのままうのみにしていたのではうまくゆきません。相手方が本当に言いたかったことは何かとか、状況、特にどういう経緯の中で問題が生じたのかということを丹念に検討する必要があります。ただ、事件をこなしていても何も見えてこないと思います。一番は、自分の依頼者と時間をかけて話し合ってその真意を共有したことが大きな財産になると感じています。事件を担当する場合もカウンセリングの手法はとても大切です。

カウンセリングの手法で言えば、もう一つ重要なことがあります。弁護士は、知らない家庭のことについてあれこれ指図するような能力まではありません。あくまでも考える素材を提供して、現状、現状を変える方法等について選択肢を提起すること、当事者ならではの感情的なこだわりを排除して、冷静にメリットデメリットを提示していくという方法になると思います。あくまでも何をするのかを決定して実践するのは当事者の方々です。

弁護士は、相談の中で出てきたポイントについて、これまでの事例からそれは相手方にとって大きな打撃を与えることになったということを述べたり、何をすることで相手は安心したかとか、再生ができた人が頑張ったポイントとか具体的に今日からできることを提示していくことになります。そうして、当事者の方々が本当は気が付いているその人たちにフィットした解決策を引き出していくということが仕事の内容となると思います。

4 弁護士関与の形式

弁護士の仕事ですから、形式的には夫婦のどちらかからの依頼という形を取ります。夫婦問題の話し合いのどちらかの代理人となるわけです。これは既に別居が始まっている場合も、同居しているけれど何かひと工夫が必要だと思っている場合でも同じです。

だから、相手が協力的である場合もあれば、相手が同じ土俵に立たない場合もあると思います。相手が同じ土俵に立たない場合は夫婦の一方からの相談を受けて、色々と打開策の相談に乗るという形になります。今の相談類型は圧倒的に相手が同じ土俵に立たない場合です。この場合は相談だけでなく交渉の委任を受けることもあります。

これから意識して増やしていくべきだと思うのは「相手が一緒に夫婦の在り方について考えるという場合」です。この場合は、一方との下打ち合わせをしたうえで、夫婦ご一緒に事務所においでいただき話し合いをします。このような形態は夫婦問題では少ないですが、これまでも私の業務の中でなかったわけではありません。また、会社関係では結構これに類似した活動はしています。

この場合でも、一方の利益のために他方に損害を与えようとしているわけではなく、二人の関係が良くなることで二人とも幸せになるとか幸せを維持するということに目標を立てなければなりません。

一方の意見や事実についての見方だけではなく、他方の意見や事実についての見方を得て、弁護士なりに事実関係を把握します。二人の意見に対立がある場合、どちらが正しいのかということを検討するより、どうして対立しているのかということを考えるほうが建設的です。事実に対する見方が立場によって全く異なることはよくあることです。大事なことはそれぞれがどういうところを大切にして生きているかということを相互に理解することだと思います。

どちらが優位か、正しいかではなく、双方が安心して暮らすためにはどうしたらよいかということになります。

さらに話が進んでいけば、夫婦に問題があるのではなく、夫婦の一方が健康上の問題を抱えていたり、職場での人間関係の悪化があったりという場合が出てくると思います。その場合にどうやって夫婦が協力して問題を解決するかという話し合いに発展していくことになります。案外夫婦関係が悪化するのは、当事者外に事情があって、当事者がその事情を解決できずに夫婦関係に影響が出る場合が多いように感じています。

夫婦問題から見ると二次的問題となりますが、ここも弁護士が関与するにふさわしい場合が実際は多いのです。特に職場のストレスが家庭に与える負の影響が大きいということは労災の問題を担当しても、家族の問題を担当しても常に感じることが多いです。

5 費用
費用については、現状は法律相談として行いますので、基本的に30分当たり5500円(税込み)です。10分程度の時間オーバーは加算しないということも通常の法律相談のとおりです。但し、別居などがあって、相手方と交渉をすることが必要な場合は、通常の交渉案件になりますので、交渉案件としての料金となります。

1回目は相談という形になります。その後も何らかの継続的関与をご依頼される場合は、1回ごと30分5千円というのは高額になってしまいますので、ご相談を承ります。事務所においでいただいてのご相談から、メールや電話でのやり取りともなることが予想されますので、合理的に進めていきたいと思います。

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