【なんぼなんでもまずいだろう】名取市中学生自死未遂 匿名の第三者委員会は本人も家族にも事情聴取がないどころかなにも連絡なし 法律の無知無理解、文科省の方針の無知無理解 [自死(自殺)・不明死、葛藤]
昨日の母親の記者会見の概要です。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1303500?display=1
事案は、名取市の中学3年生が、昨年12月に校舎の3階のテラスから飛び降りて一命はとりとめた者の重傷を負った事案です。
私が考える本件での突出した問題点
1 本人や家族から事情を聴けるのに、事情聴取をしていないこと
2 事情聴取どころか連絡も一切ないこと
3 第三者委員会の委員の氏名を公表していない匿名調査であること
以下解説します。
1 本人や家族から事情を聴けるのに、事情聴取をしていないこと
これは大問題です。本人に事情を聴かなければ、何を調査するか見えてこないからです。本人がどのようなことを体験し、どのような思いを抱き、どうして自死に至ったかということがわかりません。いじめを受けた人が亡くなってしまったらこれがよくわかりません。大変苦労するところです。ところが、本件は生きているのです。話を聞けるのです。
それにもかかわらず、事情を聴かないというのであれば、何を調査するのかわかるわけがありません。本人から事情を聴かないで始めた調査です。これでは、いじめの有無や、自死との因果関係について、真面目に調査して判断しようとしていないとしか言いようがありません。
これに対して名取市教育委員会は、男子生徒の心情を配慮して聞き取りを行っていなかったと言っているようです。
まさに傲慢の極みです。本人の心情を尋ねてもいないのに、本人の心情はこうだと勝手に決めつけているわけです。他人の心情について、会っても話をしてもいないにもかかわらず自分たちはわかっているというのですからあまりにも傲慢だと思うのです。
また、学校や生徒から話を聞いているとも言っているようです。学校や生徒たちは、本人を自死にまで追い込んでいた人たちです。そちら側からは情報を得ているという話しは、偏頗(へんぱ)で不公平であることに気が付いていないわけです。これもひどい話です。
本人がいるのだから、本人がどのような体験をしたかを聴取して、その事実があるのかを調査するのが順番のはずです。
2 事情聴取どころか連絡も一切ないこと
いじめの重大事態の対応について、文部科学省初等中等教育局児童生徒課が説明をしています。もちろん、ここでは児童生徒から話を聞ける場合は話を聞くということが述べられています。そればかりではなく、大きな項目で、「いじめを受けた児童生徒及びその保護者に対して情報を適切に提供」することが記載されているのです。その中で「いたずらに個人情報保護を楯(たて)に説明を怠るようなことがあってはならない。」はっきり述べられています。
7か月も放っておかれることは文科省の態度を全く無視した名取市教育委員会と第三者委員会の独自の立場を示しています。あえて国の姿勢を無視することに何か合理的理由があるのでしょうか。いじめ防止対策推進法事態を理解していないかあえて無視しているかどちからです。いずれにしても不適切な態度です。
3 第三者委員会の委員の氏名を公表していない匿名調査であること
これもいじめ調査第三者委員会の歴史上突出していることです。わかりやすく言えば前代未聞です。
やはり先ほどの文科省の説明では、調査委員会の構成については、「当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係有しない第三者の参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保するよう努めることが求められる。」としています。
誰が調査委員かわからなければ、いじめの関係者が入っているかいないかわかりません。文科省の説明は調査委員の氏名を公表することが前提となっているのです。職業的に弁護士や心理の専門家、精神科医と説明されても、それが誰なのかわからないと公平な人たちが選任されているか、本当にその職業の人なのかわかりようがありません。これまでのいじめ調査の第三者委員会で匿名で調査を行うなんて聞いたことがありません。生徒や学校に調査をしていると言っていますが、匿名で調査をしたのでしょうか。文書回答だけの調査なのでしょうか。調査の質も問題視してなくてはなりません。それほど前代未聞なのです。
また、いじめの問題は学校が舞台である以上、学校側の問題点もあぶりださなければなりません。本件でも、いじめをその都度相談しても何も対応をしてくれなかったという訴えがあります。教師の対応がいじめを助長した節もあります。
ところが、教育委員会関係者の場合は、そのことが過小評価されやすいわけです。この人なら大丈夫だと教育委員会がいくら言っても、何せ名前がわからないのですから信用しようがありません。このため文科省は委員が誰が見ても公平な人物をそろえろと指導したわけです。
本件の調査委員に、校長退職者が2名も入っているという河北新報の記事があります。その上にスクールソーシャルワーカーもいるというのです。まさに教育委員会側の人間が入っているということです。まさか、その二人が調査委員会の委員長と副委員長というわけではないでしょうが・・・・
以上のような理由から母親は、このような匿名の調査委員会による調査は初めから十分な調査でも公平な調査でもないと主張し、このような調査を続行している委員全員が文科省の方針や法律を知らないか理解していないかあえて無視しているということで、委員会の解散と新しい第三者委員会による再調査を申し入れたとのことです。
この問題を放置してしまえば、大津事件以前に戻る道を作ることになってしまいます。大津事件などの反省を踏まえてできた法律を踏みにじる活動は改めなければなりません。
2024-07-19 12:42
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コメント(3)
はじめまして。名取市に住む者ですが、随分ご大層にお怒りのようですが、その気持ちを直接名取市に電凸してり、FAXとかされないんですか?
それに何をどうしたらいいのか具体的にもっと指導すべきではないでしょうか?
by ミスター匿名希望 (2024-07-19 20:25)
こんにちは。初めまして。名取市在住のものです。
大雑把にこの記事を読んで、素朴な疑問が浮かびました。
名取市教育委員会にこの事を糾弾したのですか?
by さくら (2024-08-10 11:51)
皆様コメントありがとうございました。古い弁護士なので、あまり宣伝になるようなことを書かなかったのですが、母親の記者会見をセッティングして説明しているのが私です。報道内容にあるように具体的な申し入れ事項を名取市教育委員会に送付し、そのことを記者会見しました。後の記事で紹介しましたように、名取市教育員会は全面的に申し入れ内容を理解され、旧第三者委員会を解散し、新たに委員を選任して、調査をやり直すことになりました。委員の選任などについても具体的に直接提案しております。
by ドイホー (2024-08-30 11:30)