孤立についてのスケッチ 争いのない世界でも我慢する人がいるという意味 [家事]
孤立というワードが出てきました。これまで必要性を感じながら説明が不十分だと思われるところを、メモしていこうと思います。
1 孤立解消は人間の根源的な要求
孤立を嫌がり、孤立状態にあれば解消したくなるのは、人間(正確に言えば霊長目にある程度共通の性質)の本能的仕組である。これによって、言葉が無くても群れを作ろうとして、群れを維持して、群れによって人間は生き延びてこられた。孤立を恐れることは、それだけ強い心理的圧力になるということ。
2 様々な種類の孤立だが効果は同じ
孤立とは天涯孤独の絶対的孤立だけではない。人間関係の中に帰属していても孤立を感じる。事実上家族としか人間関係が存在しない場合でも家族の中での孤立を感じる。家族、職場、あるいは学校、地域、友人関係と複数の人間関係に帰属していても、そのうちのひとつで孤立している場合でも、強烈な不安、孤立解消要求が起きる。この要求が解決しなければ、要求度は高まっていき、同時に不安や心理的圧力も強くなっていく。家庭では円満な人間関係が形成されていても職場や学校で孤立している場合に強度な心理的圧力が加わっている場合がある。
3 社会の中の孤立
やっかいなことに、目で見える人間関係だけでなく、ぼんやりした人間関係でも孤立を覚えることがある。例えば、貧困で不遇な暮らしをしていると、社会から自分だけが孤立しているという感覚を持つ。この場合も強度の心理的圧力が加わっていることがある。
また、先に挙げた目で見える人間関係の一つで孤立している場合に、社会においても孤立していると感じることもあるようだ。
4 将来に向けての孤立
現在孤立を感じていると、孤立が未来永劫続いていくことが頭の中で不可避のことに思えてくるようだ。孤立が続くと、孤立は解消されないだろうと思うようになるのかもしれない。
5 孤立とは
孤立とは人間関係の中に物理的に存在しても感じる。誰かと一緒にいるだけでは孤立は解消されない。これまで見てきた孤立の空間的特徴と時間的特徴を重ねると、自分が属する人間関係において自分が尊重されていないことも、孤立を感じるポイントになりそうだ。また、人間が孤立を感じるメリットからすると、人間は、人間関係に帰属することによって安心したい(不安を解消したい)と感じるのだろうと思われる。そうだとすると、孤立とは、自分が安心できる人間関係に所属していない時に感じる感情なのだろうと思われる。
6 孤立の対義概念 尊重、安心とは
おそらく、否定されないことということになるだろう。
自分の存在を否定されない
自分の健康を否定されない
自分の意見を否定されない
自分の感情を否定されない
自分の努力を否定されない
最低限の尊重はこのようなことなのだろうと思う。
複雑な人間関係の現代社会では、この最低限度の配慮すら難しいということになる。
複雑な人間関係とは、
1 個体識別できる人数(150人程度と言われている)以上の人間と関り、理解関係を持つこと
2 複数の人間関係に帰属すること
である。
7 孤立による不安は現代社会においても必要か
人類の発生段階においては孤立による不安は群れを形成したため、メリットだった。しかし現代社会は、貨幣経済が発達しており、物資も豊富であるから一人で暮らしていても、特段の不具合は無いように感じられる。そうであれば、孤立による不安を感じるシステムは不要であるようにも思われる。
しかし、現代社会で人間の命を奪うのは、やはり人間であろう。また、貨幣経済が発達していても、その中で信頼関係が保たれないのであれば、流通している物、観念等を安心して消費することもできない。孤立解消の要求は不必要とまでは言えないような気がする。
また、進化の過程で今から200万年前に確立した心が現在においても維持されているように、孤立解消が根源的な要求でなくなるためには、1,2万年という歳月はあまりにも短い期間である。当面、私たちが生きている間から1,2万年以上は、孤立による不安が自動的に起きてしまうのが人間であろうと思われる。
逆に孤立という現象に着目して、孤立解消要求に沿った政策をすることで、人々が幸せになるヒントとなると思われる。
2024-11-29 09:42
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