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離婚訴訟、保護命令 勝利の先にある目標(家族再生)を目指して 戦わない戦い方 [家事]



今年の保護命令申立事件は2回あり、2回とも被申立人夫の代理人となり、いずれも申立人の申立取り下げで終わった。離婚訴訟は、終わったのが1件。これも被告の代理人となり、訴訟取り下げで終わった。

家族再生を目指すとしても、保護命令が認められることと判決で離婚が認められることは大きな障害になってしまうので、戦ってでも負けるわけにはいかない。

保護命令に関しては、大きな争点としては「生命身体の重大な危険」があるのかないのか(それ以前にそもそも暴力があるのかないのか)について、きちんと反論すること。離婚訴訟に関しては、結局どういう婚姻破綻理由があるという主張なのか、事実の有無に対応するだけでなく、大づかみで相手方の主張がいかに無理難題を言っているのか、大事な事実と実質的に整合しないことを社会通念や心理学を屈指して反論していくことがポイントとなる。つまり、「相手がしている主張はそれがいかに事実だとしても離婚理由にはならない。」という主張である。

取り下げないし棄却となるかならないかは事案によりけりで、要件が整えば認容される。勝訴はある意味めぐりあわせでしかない。

また、裁判に勝てばめでたし、めでたしで終わるというわけでもない。

私や依頼者が目指すのは、その先の家族再生だからである。

1 必要以上に戦わないこと

だから、保護命令や離婚訴訟は戦うと言っても、裁判に勝つ以上に相手を攻撃してはならない。これは、どんな争いでも一緒だと思う。夫婦問題の場合は特に慎重に言葉を選んだり、問題提起の取捨選択をすることになる。

また、取り下げに同意する等、相手の逃げ道を用意してあげることも必要だと思う。それが、最初の障壁を最も迅速に、最も確実に突破する方法でもある。

離婚訴訟への被告代理人としての対応によって、面会交流がかえってうまくいくようになったり、連絡が取れるようになったことがある。こういう場合の多くは、離婚には応じる予定で条件闘争をする場合である。変な事実認定の判決をもらわないために和解で終了させるということが最大の目標となる時である。

2 相手の代理人を活用する

変な思想を持っている弁護士ではない限り、子どもとの面会については力を貸してくれることが多い。東北の弁護士だけかもしれないけれど。また、クリスマスプレゼントや誕生日プレゼントも弁護士事務所を通じて渡すことができる場合が多い。

もちろんこちらからこわもてで命令するのではなく、できればこちらの代理人を通じて礼儀を尽くして(もみ手作り笑顔もいとわないで)、お願いしていくことでようやく実現することである。相手方代理人を侮辱するような訴訟活動をしていたら到底実現しない。

そうやって少しずつ情報交換をしていく中で、面会交流が定着していくことがある。うまくいかない場合でも何度か試みたことは子どもの記憶に残るのではないだろうか。

面会交流に毎回立ち会ってくれる弁護士もいる(元妻側の弁護士で、元妻が元夫と直接顔を会わせたくないという理由で面会交流を拒否している場合)。頭が下がる思いである。

3 自分の行動の修正

離婚理由、婚姻破綻の実情に迫る主張の交換をした結果、それが離婚理由としては認められなくても、相手が不快に感じているとか、怖がっているとか、自分が否定されているように感じているポイントが見えてくることがある。そういうこちらの所作で、そういうこともあったかもしれないということについては、どんどん修正していくと良い。そうしてその修正を相手にうまく伝えていく。お気持ちを言葉で説明することは実際は難しいし、それだけでは相手は安心しない。考えていることでなく、「こういう行動をして修正を努力している」という行為を伝えた方が相手には伝わりやすい。

「自分の気持ちをわかっているようだ。」と実感してもらうということである。

これはただ離婚訴訟をやればわかることではない。戦いの渦中にいると、「自分は悪くない。相手が悪い。」ということでなければやっていられないので、自分の修正するべきポイントは分かりにくい。弁護士のずうずうしさで、アドバイスしていかなければならないことだ。弁護士が当事者化していたらこれもできない。自分の弁護士が自分に何か不快なことを言うことを躊躇させない人間関係を作っておくことが必須となる。

言葉で言えば簡単だけどなかなか難しいことは、「自分の弁護士を攻撃しないこと」。弁護士なんておだてれば木に登る職種なので、その性質をうまく活用しなくてはならない。

敵と味方を区別しないで、だれかれ構わず攻撃していては、結局イエスマンしか周りにいなくなり、自分の行動を修正して相手に接近するという修復行動ができなくなってしまう。実にもったいない話である。

そういう事例が、離婚訴訟に限らず少なからずある。味方の足を引っ張るイエスマンの言葉は心地よいので特に注意が必要だ。

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