新しき葡萄酒は新しき革袋に 実家由来の思い込みDVで離婚に向かう夫婦 [家事]
マタイ伝第9章
元々の意味は、価値観というのは時代によって変わるものだから、時代や環境が変われば新しい価値観に修正していくべきだというようなことだと思われます。
これは人間関係の変化においても通用する話です。
例えばアイドルグループのリーダーだった人が卒業してしまいグループを脱退した場合、残されたグループでは新しいリーダーが選ばれます。この時やめた元リーダーの影響力が強すぎる場合、グループの危機を迎えます。グループを脱退したとしても、海外に去るわけではありませんので、残ったメンバーに連絡取ろうと思えば簡単に連絡が取れるし、会って話をしようとすれば簡単にできるわけです。
リーダーが機能してグループの一体感を作るためには、リーダーを権威の的として、リーダーの統率力をメンバーが押し上げる必要があります。リーダーシップが現実にはこうやって形作られます。
ところが、メンバーが新リーダーではなく元リーダーに依存したり、元リーダーだけを信頼して教えを乞うような状態になれば、新リーダーの権威が確立されません。一体感の的ができにくくなり、パフォーマンスもばらばらになってしまいかねません。一人一人のパフォーマンスが向上しても、全体としてちぐはぐになってしまうと、グループ全体のパフォーマンスはむしろ低下します。
だから卒業後は、元リーダーは、グループのメンバーに深く関与せず、何らかの形で関わるとしても新リーダーを盛り上げることだけを意識して関わるべきなのです。
もちろん、これは会社の部署のたとえ話です。パフォーマンスを生産性に置き換えてください。
これは夫婦の場合も同じです。
夫婦が新しく家庭を作り上げていくときに、それぞれの実家の影響が大きな問題として影をさす時があります。お互いに、相手の実家のやり方を知っている夫婦はめったにいないでしょう。相手が何に価値を置いているのか、言われなければわからないことがあります。それは、日常生活のやり方、食事の作り方、配膳、並び方、掃除の仕方、子どものしつけ方、年中行事への参加の程度など、主につまらないことで価値観が対立していくものです。しかし、ことごとく対立していくと、やがて一方が、常に自分が相手から否定されていると感じてしまい、その嫌な記憶が蓄積されていきます。嫌な記憶が蓄積されると、「相手は自分を常に否定する存在だ」という認識が生まれていきます。そうすると、相手は自分を害する存在だという認識になってしまい、相手に対して不安と警戒感が生まれてしまいます。
ただ、こういうことは通常、日常の中での楽しいこと、充実することなどで一つ一つ解消されたり軽減されたりしていくものです。しかし、一方の体調不良のメンタルへの影響がある場合や、他方の仕事が忙しすぎてプラスの交流をする時間がないような場合は、軽減されることなく蓄積していきます。
蓄積された悪いイメージと不安、警戒感から、実際の言葉や言い方、表情の記憶ではなく、蓄積された全体像から、自分は精神的に虐待されたという記憶にすり替わっていくわけです。これが思い込みDVです。何らかの偶然の接触などで体の一部を痛めたような場合は、暴力を振るわれたという記憶にすり替わることもあります。
こういう蓄積がある中で実家に愚痴をこぼすと、実家の方は相手方の実家仕様で子育てをしていませんので、理不尽だと憤るわけです。そんな親の自分に対する気遣いを見ていると、慣れ親しんだ実家で、否定されないで生活することが唯一の安心できるパラダイスになってしまいます。家の中に、自分を否定する肉食獣がいる夫婦の家から逃げ出すことはとても自然な流れになってしまいます。
「新しき葡萄酒は新しき革袋に」のとおりです。夫婦として新しい家庭を作る場合は、怖がらず二人で新しいルールを作っていくという気概を持たなくてはなりません。「自分の育った環境が善で、それ以外は修正するべきだ」という考えを意識して手放さなければなりません。
相手は自分と違った価値観、環境で育っています。違いには寛容になるべきです。ルールや価値観は相手に合わせるように作ることを意識することも大切です。また、相手の価値観が立派過ぎて苦しくなるような場合は率直についていけないということを言うべきです。嫌な記憶が蓄積してしまってからは、後戻りすることができなくなります。嫌な記憶が蓄積する前なら穏便に変更を要求することができるはずです。
2025-01-30 14:02
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0