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働き過ぎの男たちが不安定なパートタイム家族になっていないか。中高年の働き改革は定年後の自分のために急務 [家事]



夫が定年間近の妻たちの女子会での話題は、
定年後に夫が一日中家にいることになることに対する
不安と言うか、半ば嫌悪感を
確認しあうことらしいです。

男の立場からすると
家族のために体と睡眠時間と神経をすり減らして働いた挙句、
ようやく定年退職になって一息つこうとしたところを
邪魔者扱いされるのですから
とてもやりきれない思いがあります。

パートタイムや派遣労働等の非正規雇用は
不安定雇用等と言われ、潜在的失業者と言われることがありますが
家族という視点で見た場合、
働き過ぎの夫はパートタイム家族のようです。

朝ご飯を食べて家を出て、
夕方帰ってきて夕ご飯を食べたり食べなかったり、
風呂に入って寝る。
会話らしい会話もなく、
そして起きてまた仕事に行く。

余り人間らしい接点がないと言えばないかも知れません。

認知心理学でいうところの
単純接触効果は、
人間は、近くに長くいる人に情が湧いてしまう
仲間だと思ってしまうというものですが、

逆に一緒にいる時間が短いと
仲間だという意識が根付かないで薄れていくのでしょう。
一緒にいる時間中寝ていたのでは
何の意味もないわけです。

何か相談事があっても
例えば子どものこととか相談したくても
家にいなかったり、
「仕事で疲れているんだから後にしてくれ」
とか言って相手にしないことのつけが
積もり積もっているかもしれません。

家族は、あなたのお金以外の価値を
あなたに期待することをあきらめているかもしれません。

短時間だけ家に一緒にいるという
いわばパートタイム家族は、
不安定家族であり、潜在的孤立者なのかもしれません。

まさか追い出されたりはしないでしょうが、
好意をもって受け入れられなければ
大変居づらい余生となってしまいます。
健康面で不安がある場合も
あまり熱心に心配されることもなく
十分な介護をしてもらえないかも知れません。

仲間だと思われていない夫は注意する必要があります。
あなたは、自分が攻撃的意図をもって話をしなくても
家族は、特に妻は、
あなたに安心していません。
端的に言えば敵かもしれないと思っています。
あなたは自分を攻撃する存在かもしれないと思っているわけです。
これは理屈ではなく、感覚ないし本能です。

仲間は自分を守ってくれるものですが、
あなたが給与を家計に入れることは
高度に抽象的なので、本能を動かしにくいのです。
実感として守られているとすんなり受け止められないかも知れません。
ましてや、あなたの苦労が瞬時に理解できるわけでもありません。

さて、仲間だと実感できない場合は、
自分を攻撃するかもしれないと身構えるのは本能です。
あなたの些細な言動が
自分を攻撃しているものかもしれないと考え
危険の可能性のあるものに対して素早く対応しようとするのも本能です。

あなたが、家族に対して
うっかり会社で部下に対してする以上に
命令的な口調や辛辣な評価をしてしまうと
ああ、やっぱり自分を攻撃する存在なのだ
という防御を固めていくことになってしまいます。
次第にあなたから遠ざかることによって
妻は自分を守ろうとするでしょう。

自分は大丈夫だと自信のある方はどれくらいいるのでしょう。
そうならないためにどうしたら良いのでしょう。

私は、自分の働き方改革をすることが必要だと思います。

キーワードは、既に出ています。
「仕事で疲れているんだから後にしてくれ」
これは家庭のことは後にしてくれ、
自分以外の家族で解決してくれ
ということなのです。

誰しも働く男性は共感するセリフですが、
ここが間違っているということが「働き方改革」です。

考えても見てください
家族のために働いているのに
家族のために話を聞くこともできない
これは矛盾なのです。
本末転倒だったということをしっかり自覚する必要があります。

あなたがまだ定年前であるならば
このような働き方はやめるべきです。
長時間働いて、家族と一緒に過ごす時間が足りない上に
わずかの短い時間を家族のために使えないくらい
心身ともに疲労しているならば
それは「家族のために働いている」
とは考えてはならないのです。

自分が会社などで、上司や同僚や部下に
評価されるために働いている
そう思い直した方がよいようです。

そのことが悪いわけではありません。
しかし、不安定家族となる要素です。
どちらをとるかはあなた次第です。

ここで再度申し上げますが
仲間意識というのは、
理屈で構築するものではありません。
直感や本能で感じるものです。

あなたが家族のために給料を稼いできた
それが当たり前だと思うならば
あなたが家庭を顧みないで働いて
給料を家に入れることも当たり前だ
という意識になっているわけです。

こんなに頑張っても報われないなんてひどいじゃないか
と思うのも当然ですが、
仲間だと感じることができない「人」が不遇な思いをしても
その無念さに共感されることはないのです。
いち早くこのことに気が付くべきです。

家族との時間を減らしたり
家族との時間に疲労を残して貢献できないような仕事は
やめるべきです。

もちろん家族と話し合う必要はあります、
家族と一緒にいる時間を増やしたい、大切にしたい
という意思表示は、きっちり口に出して言うべきです。

必要な収入を確保しながら
家族といる時間を増やすということが理想です。
若い人ならば転職をするということもあるでしょう。
逆にあなたがある程度力があるならば、
労働時間短縮に知恵と力を使うべきです。

多少の収入減であれば
家族にも理解されるでしょう。
家族といる時間を増やすための努力も
家族に情報提供をするべきです。

失敗しても仲間意識だけは生まれていきますし、
家族のために働いているという意識も持ってもらえるでしょう。
何よりも、話をすることが
仲間意識を育てる大きなポイントです。

ロビン・ダンバーという私の尊敬する学者は
人間がサルのように他者の毛づくろいをしない理由は
言葉による接触ができるからだと
言葉の発生を説明しています。

攻撃的意味あいのない言葉は
敵意がないことを示しているということであれば
そういう側面が強くあるのだと思います。

自分のために、自分の老後のために
労働時間を短縮して家族といる時間
家族と話をする時間を増やすということが
私たちの働き方改革ということになるのだと思います。

では、家族といる時間を長く増やして
何をすればよいのでしょう。
何を話せばよいのでしょう。

もしかしたら、そのような不安を持っているかもしれません。

ロビン・ダンバーの学説は、
こういうところでも役に立ちます。

会話は「毛づくろい」ということです。

猿が毛づくろいをするのは敵意がないことを示し仲間意識を作るためです。
私はあなたに敵意がありませんということですから、
会社での会話のように
何か目的を達成するための手段ではありません。
何を話すということではありません。

もしかするとそれが一番苦手なのがわれわれ男性なのですが、
一番のコツは、
ニコニコして、話を聞くということです。
そして突っ込まない。
突っ込む場合でも、こういう場合もあるよというように
否定しないで修正する。
芸人のマネをして突っ込むと
家庭の中ではきつくなりやすいということを覚えましょう。

共感できるところを探し出して共感することも良いです。
「ああ、そうだね」ということでもよいです。
かなり面倒だと思っているかもしれませんが、
女性同士はみんなそうやっていますし、

要はなれということです。

進学に備えて勉強をして
就職に備えて進学したのですから
老後に備えて毛づくろいコミュニケーションを
学んでいくことはそれほど難しいことではありません。

また、常に完璧にしなければならないものでもないです。
攻撃的にならなければ
「わからない」という逃げ道もアリです。

また、会話が苦手な方は
家の外に出るということを積極的に行うことがよいでしょう。
家の外にいると、一緒にいるだけで心強いです。
荷物を持ってもらえばもっと嬉しいです。

まあ、同じ趣味をもって同じ時間を過ごすなんてことも
提唱されているようですが、
ハードルが高いように私は思います。
日常を共有する方が無難だし確実な気がします。

「ばかばかしい」

とここまで読まれた方の何割かはそう思っているでしょう。
そういう方こそ
人間の幸せについて考えるべきです。

一緒にいることを喜ばれる仲間がいること
私はこれが人間の幸せだと思っています。

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