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ストレス解消のために万引きなどの犯罪を行うということは矛盾であること、ストレス解消とは何か [刑事事件]

よく万引き事件の報道などで
「ストレスがたまっていたのでむしゃくしゃしてやった」
「ストレス解消のために犯罪をした」
等という容疑者の発言を見ることがあります。

ストレスという言葉は曖昧な言葉ですが、
生理学的には、危険に直面しての緊張状態を言い、
血圧が高くなる、脈拍が早くなる
体温が上昇するコルチゾールが多く分泌される
等の生理的変化のことを言うようです。

犯罪の時のストレスの原因は、通常は、
生命身体の危険ではなく、
対人関係の中でうまくいかないことが起きて、
常に緊張が持続しているような状態です。

但し、実際に対人関係上の不具合が生じていなくても、
自分が、不具合が生じていると感じ
何とかしなくてはならないけれどなんともならない
と感じてさえいればストレス反応は起きるので
その点には注意が必要でしょう。

さて、そのような対人関係由来のストレスを感じているとき、
どうして万引きなどの犯罪が
ストレスが解消目的で行われるのでしょうか。

実際は、万引きをしているときの心理は
誰かに見つかるのではないか、警備員に呼び止められるのではないか
そもそも自分は悪いことをしているという意識がありますから、
通常誰から見ても
異常に緊張しているようですし、
血圧が上がっていたり、脈拍が早くなっているようです。
カーっとなっていて、ドキドキしているわけです。
(このため、警備員が見ればすぐに万引きをしそうだとわかるわけです。
また、緊張のあまり、合理的な隠ぺい行動ができずらくなっていることに本人は気が付きません)

間違いなく、強烈なストレスがかかっています。

ストレスを発散させるためにストレスが強くかかるような行動をする
ということになりそうです。

その結果、警備員に呼び止められ、警察に通報されると
さらにストレスは持続していきます。

どうしてこのような行動をするのでしょう。
ストレス発散のためと言う言葉は嘘なのでしょうか。

仮にストレス発散という犯罪目的が真理だとした場合、
次のように考えると整合するかもしれません。

<ここで補助線>
人間は、痛みや不安等危険に対する反応は
一時に、一つの危険にしか対応できない。

こういうことって経験されていないでしょうか。
最初は血が流れている傷口に驚いてなんとか血を止めようとするのですが、
血が止まったとほっとした途端に、足を捻挫していることに気が付くとか

一つの困難な仕事をやり遂げてほっとしていると
まだ別の仕事が残っていたことに気が付いて
「一難去ってまた一難」なんて気持ちになることはありますよね。

危険を感じて不安になったり、けがをして痛いと感じる理由は
危険から逃れるための体の仕組みです。
人間はどうやらマルチに危険に対応することができない
脳の構造になっているようです。
一番の危険から逃れた後で
別の危険に気が付けばよいやという割りきりがあり、
これが役に立っているようです。

そうではなく、どうでもよいことから対応を始めてしまって
重大な危険が現実化したり、
どの危険に対応しようかと迷っているうちに
結局何にも対応できず危険が現実化したということにならないための
仕組みのようです。

危険は一つしか感じられない
ストレスは一つに危険への対応だけが持続する
ということが解決のヒントだと思います。

ストレス解消のために犯罪を行う人は
そのストレスの元となった対人関係のストレスを
継続的に感じている状態
緊張しっぱなしという状態にあるのでしょう。

実際の事件では
お金が無くて、払わなければならないものがあるのに払えない
払えないということを言った後、どういう目にあうのか怖い
という緊張だったり、

上司が四六時中自分を監視していて
プライベートの時間まで同行されて自分の時間が持てないとか

会社の犯罪行為を自分の名前でやられてしまって
何もやっていない自分がいつか警察から呼び出されるのではないかとか

単純化して書いてみるとそういうことですね、
これが実際はもっと複雑に心理的圧迫⇒ストレスにつながっているようです。

客観的悩みだけでなく主観的な悩みもあり
そこまで考えなくても良いのに、
生真面目すぎるような後ろめたさを感じてしまっていたり、

一人ぼっちで生きていかなければならないというストレスも
高齢者の場合は特にあるようです。

例えば万引きをするとき
一番感じていることは、
「万引きを見つけられたくない」
という緊張、不安、ストレスです。

これは当然のごとくストレスがかかっています。

危険ストレス反応は一つだけということが正しいとすれば、

一瞬、日頃持続的に感じていたストレスを忘れることができるわけです。

単に別のストレスがかかっているだけなのですが、
毎日、そのストレスから解放されたいと願っていることが
実現できてしまうようです。

万引きをしている瞬間だけ
お金が無くて払いに困るというストレスを忘れさせ、
嫌な上司を忘れさせ、
横暴な会社を忘れさせ、
自分が独りぼっちだということを忘れさせることができるようです。

ストレスを発散させるということは
すべてのストレスをなくするのではなく、
いつも自分を苦しめている持続しているストレスを
一瞬別のストレスに置き換えることで感じなくて済む
ということのようです。

人間の行動思考はあまり客観的合理性があるようなものではないのですが、
時に不合理な思考や行動を行い自分を傷つけるようです。
特に慢性的、持続的に感じているストレスは
合理的な思考を奪ってしまうのかもしれません。

そのストレスが解消されるということが至上の欲望となり
思考自体を奪うのでしょう。

かなりの興奮状態となり
記憶もあいまいになることも
本当のことかもしれません。

自傷の心理がまさにこれで、
それを極端に突き詰めてしまったのが自死
ということになるように思われます。



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