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自死(自殺)の原因が複合的であるという意味と過労自死の関係 [自死(自殺)・不明死、葛藤]

自死の原因が複合的であるとよく言われますが、
この意味をよく理解している人はそれほど多くないかもしれません。

心理的圧迫の事情が複数あるというように考えられている方が多いのではないでしょうか。
例えば、上司のパワハラと、取引先とのトラブルと、家庭問題と借金
とかという具合に
ストレッサーの数が複数あると思われがちです。

確かに、一つだけでも死に至るストレスが
同時に複数起きてしまうと
自死の原因にはなるでしょうけれど、

通常は、外在的な要因としてのストレッサーが多いということを
意味しているのではありません。

人間は、日常的に様々なストレスを抱えて生きているわけです。
ところが、通常はストレスがあったとしても自死に至ることはありません。
一つ一つのストレスは、
何らかの形で無害化して
その影響を深刻なものにする前に軽減させたり無くしたりします。
人間には、自然治癒力があり、回復する力があるのです。
環境を変えたり、考え方を変えたり、
馴れたり、忘れたり
色々な方法でストレスを無力化しています。

この無力化は、
自分1人でするとは限らず
仲間の存在によって無力化が促進されることも多いわけです。
アドバイスをもらったり、慰めてもらったり
仲間がいるということだけで安心できたりします。

それから、偶然の出来事や時間感覚が開くということも
ストレスの軽減につながることもよくあることです。

ところが、様々な事情から
このストレスの自然治癒が果たせない場合が出てきます。

本人の体調の問題や、性格の問題で、
小さなことにこだわったり、
本当はストレスに感じる必要がないことなのに
苦しんでしまうこともあるでしょう。

精神病もこの一因になることがあります。

また、本来何事もなければ仲間が助けてくれるはずなのに
タイミングが悪く、助けてもらえなかったり
逆に攻撃されたりなどということもあるでしょう。

また、対人関係の不具合は、他人から攻撃されるから起きるのではなく
自分の行動の失敗からもおきますし、
それはそれで、後悔など自責の念が加わり、
強烈なストレスになるかもしれません。

体調の問題とは精神疾患に限らず
睡眠の問題も重要です。
ストレスの無力化が起きる時というのがありまして、
その時というのが睡眠の時なのです。
ストレスの無力化とはどういうことかということは
少し長くなるので、今日は割愛します。
実際ストレスと精神疾患に関して
それが労働災害であると認定されるときには、
睡眠時間がどの程度になっているかということが重視されています。

ストレスが無力化されない原因として
このように、本人の問題ということは無視できないことです。
また、偶然の要素もありうる話です。

しかし、ストレスが無力化されない原因として
ストレス自体が無力化できないほど強すぎる場合というのがあり、
他の複合的要因があったとしても
強すぎるストレスはそれ自体で、無力化できない事情ですから
それが大きな原因だとされるべきなのです。

この考え方は、労災認定や公務災害認定でも採用されています。
対人関係トラブルでは、例えば
暴力を伴う攻撃を受けた場合、
多数対個で逃げ場のない場合
執拗な嫌がらせのような場合
など、
日常生活で無力化しにくい出来事がある場合に
精神疾患や自死との相当因果関係が認められやすくなっています。



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