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共同親権より大切なこと わが子の母の感情をわが身を捨てても肯定する覚悟をもてるかどうかということ 思い込みDVからの子の連れ去りの原因と対策のまとめ [家事]



法務省提案の共同親権制度は、原則単独親権(名ばかり共同親権)となるだろう選択的共同親権制度の提案でした。それでもぎりぎりとはいえ、悪い方の想定の範囲内でした。それよりも、「共同親権」という言葉がついているからか、これに対して嫌悪感を示す人たちが存外少なかったことは想定外でした。これではこのまま現状維持が確定することになるのでしょう。

ただ、私の基本的スタンスは、子どもを片親にしないためには、法律や裁判所に何かを期待していてはだめなのであって、とにもかくにも家族関係を強化して連れ去られないことが一番だということでした。初心にもどるために、改めて考えを整理したいと思います。

先日、自死が起きる場合には、自死の直前で起きたことが主たる原因で自死するというよりも、「自死の段階では通常はそれが自死の原因にはならない些細なことでもきっかけになって自死してしまうほどすでに自死リスクが高まっている状態にあったからだ」という記事をアップしました。
「自死リスクとは何か 自死のトリガーとの関係 自殺の直前に亡くなられた方の意に添わないふるまいをしたからと言って、それが自殺の原因だとはならないという意味  自死予防で本当に必要なこと」
https://doihouritu.blog.ss-blog.jp/2022-06-10

DVもないのに、DVを主張して子どもを連れ去り、離婚に持ち込まれるのも、同じ構造があるということが、実務的感覚です。

つまり
「離婚リスクが高い状態」(離婚飽和状態)
     ↓
「離婚のきっかけとなる出来事」(トリガー)
     ↓
子の連れ去り、裁判手続き

という流れがあるということです。だから離婚飽和状態を作らないことが連れ去り予防の最たるものとなるということを言いたいわけです。

離婚飽和状態になるのは、必ずしも夫に原因があるわけではなありませんが、トリガーは大体は夫の言動です。ただ、通常はその言動だけによっては離婚を決意するということにはなりにくいので、夫自身が自分の言動がトリガーであることすら気が付いていないことが多いようです。
トリガーで多いのは、「離婚する」、「別れる」、「出て行け」、「もう終わりだ」という夫の言葉ですし、大声、乱暴な言葉、理詰めでの発言封鎖です。妻は即時に家を出るということは少なく、翌日とか数日後、子どもと身の回りのものを抱えて家を出て行くようです。だから、何がトリガーだったかのかは、当初は思い当たらないことが多いようです。でも、その行為自体はよく覚えていることが多いようです。

離婚飽和状態とは、ややトートロジーですが、「些細なきっかけがあるだけで、離婚を決意して離婚のための行動に出てしまう危険性の高い状態」をいうことにします。

孤立不安があり、不安を解消したいという要求が蓄積していくにもかかわらず解消する方法がないという不能感をいだき、さらに不安が高まり、焦燥感も出現し、これが一定期間持続してしまいます。この結果考えることが面倒くさくなり、二者択一的傾向、悲観的傾向が強まっていき、とにかくこの不安感から解放されれば後はどうでもよいという刹那的な行動を起こしやすくなっています。すべての原因を夫に求めて、不安解消要求が夫からの解放要求にすり替えられています。離婚さえすればすべてうまくいくという思い込みを持たされている状態です。こういう時に些細であっても後押しをする出来事があれば、子の連れ去りが起こるようです。

離婚飽和状態の形成の原因は、複雑です。それぞれのご家庭で異なります。
抽象的に言えば
・妻の精神状態
・妻の職場などの人間関係
・夫の言動
が相まって素地が形成されてゆき、
・第三者の夫に対する憎悪の夫への集中化
によって最終形が形成されます。

妻の精神状態に影響を与える原因で一番多いのは、実務的には、妊娠、出産、及び産後うつのようです。
夫に対して共感する力が著しく減退してしまい、夫が何を考えているのかわからなくなり、夫に対する安心感が持てなくなるとともに、夫との楽しかった時の記憶も失われるようです。

妻の精神状態に影響を与える原因で次に多いのは、出産と無関係ではないのですが、精神に影響を与える内分泌系の病気です。離婚事件を担当するようになって、この診断書が出てくる事例がうんざりするほど多いのです。

この二つに続くのが、元々ある精神疾患、全般性不安障害、パニック障害、うつ病や婦人科疾患です。
それからお子さんに障害がある場合も、妻の精神状態に対して深刻な影響を与えるようです。夫は子どもの障害をあまり深刻には考えない傾向にあり、障害であることを否定する場合もあります。妻は、夫が想像している以上に深刻に考えていて、不可能感、絶望感を抱いていることがあります。障害を持った子どもを置いて失踪するという場合もありました。

また、精神に影響を与える場合としては、長期住宅ローンを組むということも軽視できません。新築直後や長期返済の借金をした直後の連れ去り別居ということは結構あります。

これらの問題は夫には原因がありませんが、妻は精神的に苦しんでいるということもまた事実です。

離婚飽和状態を作る原因として見過ごせないのは、妻の人間関係の不具合です。特に最近多いのは、職場での人間関係のストレスです。上司との関係だけでなく、顧客とのトラブルやクレーム処理は、知らず知らずのうちに、職場を離れてもストレスが持続していることがあるようです。男性も女性もそうですが、家庭に影響を与えるような職場を辞めないことは、家庭崩壊の危機に直結するのでご家族で検討しなくてはならないことだと思います。

また、妻の親兄弟との関係も、離婚飽和状態を作る理由になることがありそうです。最近多いのはママ友やPTAで、継続的人間関係を円満に構築できない人の離婚を担当することがちらほら出てきました。

夫の言動というのも、これらの事情と相まって離婚飽和状態を作るようです。(但し、私は離婚を決意した後、連れ去りの後で母親の意見を聞くことが多いので、実際には夫の言動がどこまで主たる要因になるのかという判断はなかなか難しいということはお話ししておきます。)

夫の言動で離婚飽和状態を形成するのは、妻の感情を論理で封殺すること、大きな声やアクションで封殺すること、頻繁な低評価、行動否定などです。もっとリアルに言えば、妻の「自分が何をしても肯定してくれない」という体験が離婚飽和状態を作り上げていくようです。閉塞感、不自由感、非拘束感を抱かせる出来事とまとめられるかもしれません。

夫の言動が離婚飽和状態に大きく形成している場合はともかく、それ以外の場合は、夫にはあまり責任がないのに離婚飽和状態が形成されていることになります。夫は離婚飽和状態が形成されつつあるとは知らないで、妻から職場での人間関係の悩みを教科書通りに聞いてあげて、さりげないアドバイスをしたり、転職の選択肢を提示したりするわけです。

それから1カ月もしないうちに、妻が子どもを連れて出て行くということが最近目立って増えています。
離婚飽和状態は夫婦問題とはあまり関係がなく形成されるけれど、その結果としては連れ去り離婚という行動になってしまうということが不合理と言えば大変不合理なことです。

そこに何があるのか。

通常あるのは、第三者による、妻の不安を夫の責任として集中化させることです。
昔これをしていたのは、もっぱら妻の不貞相手でした。妻が不貞するときというのは、男性と違って、精神的に不安定な要素があり、その不安定を解消したいという焦燥感から将来的な因果関係についての考えができなくなり、刹那的な行動をする場合が多かったようです。

現代では、「そもそも離婚しか選択肢のない相談機関」の増加が問題なのだと思います。夫婦の不具合に対する再生についてアドバイスをするのではなく、何か妻に不具合がみられると、「あなたは悪くない。」、「それは夫の精神的DVだ。」と言って、連れ去り別居を指南するしか能のない機関があまりにも多いです。問題が大きいのは、警察や区役所がそのような機関になっていて、国民の離婚を扇動していることです。明らかに妻に精神状態の異常がみられるのに、それすらも夫に原因があるかのような援助というにはあまりにも強引なそそのかしが確認されています。

そもそも妻は離婚飽和状態にあるわけです。冷静に考えを構築していく力がありません。とにかく、自分のこの苦しみ、不安、孤独、焦燥感から解放されたいという一心です。そこに、何も事情を知らないくせに、自信たっぷりに夫が原因であり、夫から逃げるべしと言われたらひとたまりもない精神状態になっているわけです。大変罪深いことだと思います。

常々情けないと考えるのは、例えば隣国韓国では、離婚については裁判所が関与し、離婚後の子どもの養育計画を作って実行するようアドバイスをする仕組みをきちんと作っています。もちろん共同親権です。国家として子どもの健全な成長に関与するために、韓国に限らず我々の多くが知っている国家はすべて共同親権制度にしているわけです。日本だけが、子どもの健全な成長何するものぞの勢いで公的機関が離婚を称揚しているのですから、国家の体をなしているとは言えない状態だと思います。離婚して女性が自分では働かなくてはてはならなくして、安くて優秀な労働力である女性労働者を市場に出そうとするために家族を壊そうとしているわけですから、100年の計も何もあったものではありません。少子化をいとわないなりふり構わない国が日本なのでしょう。

妻が離婚飽和状態になってしまってから神経をとがらせても、些細なことで離婚行動に出てしまうのですから、連れ去り離婚防止に功を奏さないことが多いということは誰でもわかると思います。
大事なことは
・離婚飽和状態を作らない
・離婚飽和状態は早期に解消する
という二つであることを理解することは容易だと思います。

離婚飽和状態になる人は、特殊な女性ではありません。どんな女性でも、出産によって離婚飽和状態になる下地があるということを自覚するべきです。

自分に原因がないなら自分は悪くないからいいや

と言う人はいないと思います。それは家族という仲間の関係を作る義務を果たそうとしない子どもの論理だからです。自分は悪くないということは、家族という「自分たち」の状態の言い訳にはならないと考えなくてはならないと思います。それは私の個人的な見解です。義務を果たそうとしないなら、いつまでも一緒にいて快適に自分を扱ってくれるという権利(?)は要求するべきではないというのも私一人の見解です。(ただし、これらのことをわからなかったということは、その人の責任ではありません。)

妻の離婚飽和状態を作らない行動、早期に解消する行動は、夫としての義務ということになりそうです。

どうすればよいのか。

離婚飽和状態は、様々な要素が相まって形成されていくと言いました。そのうちの一つ、夫の妻に対する言動も原因になっていると言いました。正確に言うと、夫の日常的な言動により、妻は圧迫感、不自由感、非拘束感を抱き、それらのストレスが持続してしまうようです。これが常時行われていくと、孤立感や疎外感、解決不能感に育ってしまいます。

離婚飽和状態解決の作戦としては、第1に夫由来のストレスを最小限にすること、第2に夫由来ではないストレスからくる不安感の手当てをして、夫を含む家族こそ自分が帰属する仲間であるという認識を持ってもらうことです。

そのためには、
まず、女性は誰が原因でもなく不安を感じやすくなるものだという良識を持つこと、

次に、家族のことについては妻の考え、感情をできる限り尊重し、その結果多少の不利益や損をするよりも妻の感情を尊重することを優先するという価値観に立つこと。不安由来の夫に対する攻撃は大目に見ること。いちいち反撃しないことが正解ですが、反撃してしまうことは仕方がない側面もあるので、必ずいち早くフォローをすることですかね、現実的には。このあたりが我が身を切る覚悟ということになると思います。

自分が悪くなければ自分は守られるべきだという子どもじみた発想を捨てること。家族の中で不安を感じている人がいれば、仲間の一員として不安の手当てに全力を尽くそうとすること、それが人間が生きるということなのだという心構えが必要なのだと思います。

このあたりの具体的な方法論は、できるだけ早くまとめたいと思います。

一番は子どもが父母のもとで生活できるようにするという子どもの利益を考えてのことなのですが、不安を感じている仲間を思いやれるかどうかが連れ去り回避のカギになりそうです。

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