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自分の運命を裁判官に委ねるのですか。対立司法から関係調整手続きへ。 [事務所生活]

以前離婚など家庭の事件について、
調停や裁判で決めるよりも、
じっくり話し合って考えて決める
そういう場を作りたいというお話をしました。

家事調整センター企画書
http://www001.upp.so-net.ne.jp/taijinkankei/kajityousei.html

そのようなことを考えながら仕事をしているうちに、
離婚事件や面会交流事件だけでなく、

労働事件だったり、

学校のいじめ問題だったり

介護の問題だったり、

はたまた、お寺さんの檀家の問題だったり、

いろいろな場面で
調整型の仕事をするようになってきました。


離婚を例にとれば、

通常の離婚は離婚したい方と離婚したくない方に分かれて、
離婚したい方が調停を申し立てます。

離婚したい方は、最終的に裁判によって離婚することも考えていますから
どうしても不利なことは隠して、
相手を攻撃する傾向にあるように思われます。

離婚したくない方は、
相手のそのような言い分に対して不公平だと怒るわけですが、
離婚しないで解決したいとすると
訴訟等で不利になることになっても
攻撃の手を緩めるしかありません。

ただ、そのようなことをしているうちに
離婚したくない方も
新たな怒りや恨みがこみあげてきて
相手を攻撃し始めて
脱抑制的に攻撃表現が展開されていく
という修羅場、鉄火場が出来上がるように思われます。

そうして、判決では、
通常納得行かない事実関係を裁判官が認定して
離婚したくない方は、
この世の中に正義はないのかという気持ちになるわけです。

その後、面会交流や養育費の支払いがうまくゆくはずがありません。

これに対して人間関係調整型解決手続きは、
時間をかけてじっくり考えてもらいます。
離婚という結論は少し脇に置いておいていただいて、

どこからボタンの掛け違いが始まったのか
その点をさかのぼって考え始めます。
これは、丁寧に時間を負っていくと
案外双方が思い当たる明確なエピソードがあることが多いです。

または、勝手に劣等感を感じているポイントがあり、
無自覚な防衛行動、防衛意識が必要以上に高まっている
という場合に気が付くことが多くあります。

簡単に子どもでもわかる表現をすれば、
いつまでも仲良くしたいのだけれど
自分に自信のない部分があり、
そのことで嫌われるのではないだろうか、
きっとそのことで自分のことを嫌に思っている
という、本当にかわいらしい心配が
毒々しい非難の言葉に置き換わってしまっている
ということが多くあります。

ボタンの掛け違いのところがわかったとしても
すぐに修復できる場合だけではなく、
ことはそう簡単ではありません。

しかし、最終的に離婚ということになったとしても、
必要以上に相手を攻撃したり、
必要以上に相手を憎むことが
最小限度に抑えられるということはありうることです。

実際には、一度離婚した後に再婚したという事例もあるくらいです。

また、このように、お互いを理解したうえで
お互いを尊重したうえでの方が
離婚自体も進みます。

離婚したくない方は、
離婚をつきつけられると
自分の全人格を否定されたと感じるものです。

離婚をしないことに意地になっているという場面もあります。
否定された部分が限定的であり、
自分の大事にしている部分は否定されていないということから
離婚に踏み切る心の余裕ができることもあるようです。

それから、
離婚調停や弁護士相談というと
本当に離婚目前という
夫婦の関係がどうしようもなくなってから
行動を起こすということになるわけですが、

調整型解決手続きの場合は、
対立が深刻になる前に
アドバイスを受けることができます。

この場合は、夫婦そろってアドバイスを受けることができます。
何よりも、やり直したい、あるいは
もっと楽しく生活したいということが
お互いの気持ちだということを確認することができるわけです。

調整型解決手続きは、このように利点が多いのですが、
判決のような強制力はありません。
ですから、両当事者が、
理性的に、傷を最小限度にしたいという気持ちを持たなければ
始めることができません。

人間関係の調整も、今後の協力もいらないから
相手を叩きのめしたいと考える場合は
向いていないことになります。
負けてもいいから戦うということですね。

そうでなくて、人生上の大きな出来事の
悪い影響を最小限度にして
子どもの健全な成長を考えたいという場合は
調整型解決手続きにするべきなのです。

家事調整センターを実現させる力は
私にはありません。
しかし、調整センターなど作らなくても
弁護士の立場から調整手続きで事件を解決することは
可能な場合が多いということに気が付きました。

そのうち、人間関係調整手続きの事務所ホームページを立ち上げる予定です。

その際、家事事件だけでなく、
様々な人間関係のすれ違いを
疑心暗鬼を解きながら調整していく方法と実績について
ご紹介できることでしょう。

できれば、司法のユーザーである国民も弁護士も
自分たちの運命を裁判所だけが解決方法だという
固定観念を捨てて、
あるべき解決方法の議論を始めるべきだと思います。

その観点から司法を変えてゆくという発想を持ってもらいたいのです。
司法改革は、
国民が、本当に望む紛争解決を考えていく中で、
司法メリットデメリットを検討して初めて
方向が見えるものだと考えています。






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