SSブログ
交通事故 ブログトップ
前の10件 | -

【報告】交通事故で過失割合0示談を実現した事例 保険会社は過失割合5割(被害者に対するモラルハラスメント)を主張 [交通事故]


事案
 私の依頼者は自動車を運転していました。
前方にバイクが走行していました。
三叉路が近づき、車線が右折レーンと直進レーンに分かれています。
前方赤進行であったため、依頼者はブレーキをかけて減速しながら、
右折レーンを走行していました。
バイクは直進レーンの依頼者よりやや前方を走行し、
やはり減速をして停止準備をしていました。

 ところが、依頼者がすっかり停止となろうとするその瞬間、
バイクが転倒してきて、依頼者の自動車に接触しました。
バイクの運転手は、幸い自動車と反対方向に放り出されていて
軽いけがで済みました。

バイクが転倒した理由は、
道路上に石があってよけようとしてよろけて転んだようです。
バイクから運転手が放り出された後で、
コントロールを失ったバイクが依頼者の自動車に接触したのです。

保険会社の対応

 依頼者は、当然修理費用10万円は、
相手方の保険会社から払われるだろうと思っていました。
ところが、保険会社は、調査会社の調査を踏まえて、
依頼者の方により落ち度があると言い出したのです。
停車しようとしたところに無人のバイクが一方的にぶつかってきたのにです。
 依頼者はわけがわからなくなり、私のところに相談に来ました。


私の活動
 まず、なぜ依頼者に過失があるのかについて
保険会社に問い合わせしました。
そうしたところ、車線変更時の事故なので、
判例タイムズの分類に合わせて6対4(4が依頼者)が基本で、
譲歩しても7:3が妥当だと言ってきたのです。

 これだと、依頼者の損害10万円、
バイクの損害も仮に10万円だとすると損害合計20万円。
その3割ですから6万円を依頼者負担することになります。
差引自分の修理代のうち4万円しか支払ってもらえないことになります。

 幸い依頼者は自動車保険の弁護士特約に加盟していたために、
弁護士を依頼しても損をしないで済みました。
 私は、判例タイムズの分類とこの事故とは
明らかに違うというやり取りをして、相手方も少し譲歩を見せだしました。
 依頼者も納得しませんが、私も納得しません。
この事故はもらい事故です。
被害者が被害を負担するということは道理に合いません。

 ここまで保険会社が強硬だった理由は、
どうやら、バイクの運転手の親が保険契約者で、
依頼者の落ち度も認めないと示談しないという
強い意向を持っているらしいということがわかり始めました。

 要するに、保険会社は無理を承知で主張してきているわけです。
罪のない依頼者に罪を着せようとしているようなものです。

 本来弁護士法で、弁護士以外のものが
民事紛争に介入して利益を得ることを禁止しています。
これの例外的な扱いで、保険会社が示談代行を許されているわけです。
私は、この例外を認めたことは誤りではないかと感じました。
もし弁護士ならば、いくら依頼者の意向が強くても、
法律的に無理な主張を通そうとするでしょうか。
そんな弁護士がいないと信じたいです。

保険会社は、保険契約者は保険料を払ってもらうお客さんですし、
その人が会社の代表者で会社の従業員の保険契約も事実上応援していただいたり、
会社の火災保険に加入していただいていたりすると、
なかなかその人の意向に反することをできないという事情はあります。
しかしそういうことで、示談内容が左右されることは、
やはりあってはならないのです。
被害を受けた被害者の気持ちは全く無視されて、
被害者に不利益を押し付けるのですから、
被害者にとっては強烈なモラルハラスメントです。

そうだとすると、示談代行という
制度に問題があるということになってしまいます。

 ただ、この保険会社の担当者の方はとても誠実な方で、
こちらの依頼事項に関しては迅速に誠実に対応してくださり、
真実探求にも協力していただきました。

最終的には、こちらの言い分に対する反論をあきらめて
少しでも過失割合を認めてほしいというそういう交渉をしてきました。

 これではらちが明かないということで、訴訟を提起しました。
10万円と4万円の争いということになりました。
それでも、依頼者にとってみれば、
事故の責任がないにもかかわらず責任を持たされることの屈辱、
保険料が今後上がってしまうのではないかという不安があります。

心の問題を解決するという
お金には代えられない利益があると判断したためです。

 裁判にしたところ、バイクの方も弁護士が受任しました。
 私は緊張しました。何を主張して争ってくるのだろう。
弁護士も、依頼者べったりで、
法を曲げた主張をするのだろうかという不安もありました。

 そうしたところ、事案を把握した相手方弁護士は、
過失割合については、こちらの主張を受け入れました。
さすが弁護士です。
代理人間ではとんとん拍子に合意が形成されていきました。
こちらの依頼者も合意内容に不満は全くない内容でした。
実際の示談所の取り交わしには時間がかかったのですが、
おそらく、保険会社、弁護士と共同してバイクの運転手の親を説得されていたのでしょう。

 こうして、依頼者の過失割合0の主張は実現しました。

交通事故の示談で不条理を感じたら、
あきらめずに、
共感をしてくれる弁護士を探すことをお勧めします。

私でなくとも日弁連では
全国で交通事故の無料相談をやっています。
最寄りの弁護士会にお問い合わせください。

夜勤続き等睡眠状態に問題があるときの自動車運転はするべきではないこと。マイクロスリープを起こしうる状態での運転は危険運転だと思う。 [交通事故]

池袋で医師による暴走運転があり、
おひとりの方がお亡くなりになったようです。
真相はまだわかりません。

この事件には当てはまらないことかもしれませんが、
過労による居眠り運転での事故例は多くあります。

私が、この種の問題にかかわった最初の事件が、
長距離運転のトラック運転手が、
自損事故を起こし、会社のトラックを大破し、
損害賠償の一部を請求された裁判で、
一審では、責任なしという判決をいただいた事件です。

http://heartland.geocities.jp/doi709/faq.html#torakku

夜中の11時に集合して、
他県の配送をして
午後5時ころ帰宅、
また11時集合という過酷なスケジュールを
こなしていた人でした。

もう一人、同じような事故を起こした方も
裁判になっていて
こちらは、残業の記録が出てこなかったので、
10%だけ損害が認められてしまいました。
90%は支払わなくてよいというものでした。

二人とも話は一緒でした。
だんだん眠くなるということはなくて、
突然眠り込んだというものでした。
眠り込んだといっても
ほんの10秒から20秒くらいなのでしょうが、
完全に眠りに落ちてしまい、
事故の記憶はないそうです。

夜間の活動は、
人間の整理に反しているものですから、
不具合が出てくるのは当然と考えたほうが良いのでしょう。

最近の事例は、刑事事件です。
連日夜勤をしていた労働者が、
いつもの通り、夜勤明けの早朝に
自動車で帰宅しようとして運転していたところ、
歩行者をはね、建築物に衝突して大破させた
というものでした。

私は弁護人という立場でかかわったわけではないので、
警察の供述調書などは読んでいないのですが、
話を総合すると
夜勤の影響によるマクロスリープによって
制御不能となった自動車が人をはねたようでした。

当初、警察は、そのような疑いを持っての捜査を
していなかったようです。
間接的に、マイクロスリープの存在を示唆して
再捜査がなされたようにも聞いています。

この場合、突然眠り込んだのだから
心身喪失で無罪になるかというとそうではなく、
連続夜勤の実態を知りながら運転を開始した時点で
過失が存在するわけですから、
むしろ危険運転ともいえると思います。

私は、
このような働き方をさせた会社にも
責任があると考えています。

連続夜勤の実態はひどいものです。
運送業者に対しては国の通達も出ているのですが
無視している業者も少なくありません。

運送業でなければよいというわけではなく、
例えば24時間営業の飲食店や
病院や介護施設など、
夜中も日中と同じように仕事量がある場合で、
途中仮眠の時間もなく、
また、交通機関が動かない時間帯に仕事が終わったり、
通勤に不便で、マイカーを利用せざるを得ないような場合は、
従業員が帰宅の際に
マイクロスリープに陥り
他人の身体生命、財産に害を与えるということを
予見するべきだと思います。

眠くなるなら、駐車場に止めて眠ることもできます。
ところが、
マイクロスリープは、その前に眠くならないことが多く、
これを防ぐためには、
運転しないということ以外ないのです。

多少の不便は出てくるでしょう。
最寄りの駅までの送迎など
会社に出費は掛かるかもしれません。

しかし、亡くなった人には
何の落ち度もないことも、この種の事件の真実です。
元気に家を出て、
突然、警察などから自己の連絡が来ます。
また躊躇なく人に衝突しますから、
手の施しようもなく、
被害者の意識だけはあるという
家族にとっては何ともやりきれない
悲惨な結果となってしまうのです。

このような研究もぜひしていただいて、
何とか検問で発覚するように
価額を進歩させていただきたいと
考える次第です。

最近の損害保険会社の交通事故対応はおかしい。治療の中断を迫る傾向がまた強まっている。示談代行保険の存続の危機ともいえる。 [交通事故]

たまたまなのかもしれないが、
最近交通事故の損害保険会社の
対応がおかしい事案に当たる。

あるケースでは、
靭帯損傷で治療が継続しているのに、
債務不存在確認の調停を起こしてきて、
これ以上治療費を払う義務がないことを
裁判所を通じて確認しようとした。

あるケースでは、
被害者が小さい子を抱えて
感染症に子どもが罹患し、
誰も看病してくれる人がいないので
自分も看病しているうちに
自分も感染してしまい
1ヶ月弱の間
交通事故の治療に行けなかった。

久しぶりで病院に行ったところ、
保険会社から連絡が来ており
病院では、保険では治療費を出せません。
10割負担になります
と言われて治療が受けられずに帰った
という事案もある。

(病院の間違えで、健康保険は使えます!)

別の事案では、
保険会社が被害者の通う病院に来て
被害者、医師、保険会社の
三者面談を行って、
治療打ち切りを迫る
という事案もありました。

例えば、調停を起こされてしまうと
いま現実に痛いので病院に通っているのに
治療費が打ち切られてしまう。
いつ治るかわからない。
相手は弁護士がついている
となれば、

被害者は、まず大変に不安になります。
次に、パターンは別れるのですが、

相手が弁護士いるのだから
こちらも弁護士を依頼しなければ無いだろうけど
お金がかかるから諦めるケース。

裁判所に行ってみたけれど
裁判所の調停委員は、
これを不合理だと保険会社に行ってくれないようだ
裁判所も認めるのだから
争っても仕方がない
と諦めるケース

意地でも争うとするケース。

大半は、諦めるのではないでしょうか。

しかし、本来は、
財団法人交通事故紛争処理センターに
示談斡旋を申し立てられるのです。
これは無料です。

斡旋委員は、交通事故の民事紛争を
よく勉強し、事案も多く持っている弁護士です。
不合理なことは不合理だと言ってくれる
はずです。

これは、保険会社は、
今は、普通に損害金を提示して
交渉をして示談をしていますが、

これは本来弁護士法違反
即ち、他人の紛争に有償で介入する行為
である疑いがあるのです。

そこで、被害者保護の観点から
交通事故紛争処理センターを設置し、
被害者が無料で適切な解決ができるようにして
妥協の産物で保険会社に示談斡旋を認めたのです。
弁護士を依頼しないで申し立てても
それなりに親身に解決してくれます。

ところが、ちょっとクレームをつけただけで
治療中にもかかわらずに調停を申し立てられたりすると
交通事故紛争処理センターを使えなくなります。
これでは、示談代行付き保険を許すことはできなくなります。

監督官庁や損害保険協会は
自分たちの制度を維持するために
突出した規制緩和要求行為を抑えなければならないはずです。

それができなければ、
示談代行付き保険の販売を止めるべきです。

また、今センターは
各地方と東京にしかなく、
被害者は交通費を負担しなければなりません。
移動時間も、怪我をしているので馬鹿になりません。

交通事故紛争処理センターを
むしろ充実させなければなりません。

なんてことを話し合える弁護団を探したいです。
きっとあると思うのですが・・


こういうとき、こういう相談窓口その1 交通事故の各段階の、弁護士がお勧めする窓口 [交通事故]

なんか、あったのでしょうね。

一日の閲覧数が大台を超える日が出てきて
(1万ビュー・・・・ではありませんよ、もちろん)
そんなに読んでもらえるなら、
書きたいことだけ書いているより、
偶には、有益な情報の提供をいたしましょう。

法テラスなんかでも相談窓口紹介業務を
やっているようですが、
公的な団体ということで、色々制約もあるのでしょう。

弁護士が関わる相談窓口は、
やはり関わってきた弁護士の評価が一番で、
それぞれ、各団体から文句の出ない範囲で、
本当はこういうときはここということで、
ご紹介するシリーズを何回か不定期予定で行います。

第1弾は交通事故

1、電話で相談、事務的なことは損保協会

自賠責の請求の仕方、後遺症の審査、
色々な手続きの仕方については、
損保協会の自動車保険請求相談センターが一押しです。

http://www.sonpo.or.jp/about/address/center/index.html

各都道府県にあります。
実際に保険実務を行っていた人が担当しているから、
手続きに関しては、弁護士より確かです。

突っ込んだ相談の場合は、
弁護士がいる日がありますので、
相談することができます。

損保協会だから保険会社サイドかというと
そんな心配はないと思います。
宮城県については、私も何度か担当していますし。

請求方法などの事務的なこと、
電話で済むことなら、ここが一番。

どうしても損保協会は嫌だという方は、
各都道府県に交通事故相談があり、
電話相談をしているところもありますが、
交通事故は、事故態様が命ですから、
事務的なこと以外は、面談の相談をお勧めします。

2 示談を行うなら交通事故紛争処理センター
(無料)
http://www.jcstad.or.jp/

例えば、治療が終わった、あるいは、
症状が固定された、
保険会社から示談の見積もりが提示された
あとは、最終的示談という場合は、
交通事故紛争処理センターが一押しです。

デメリットから言いますと
各都道府県にはなく、
他県に行かなければならないということがあること、
時々待たされること、
申し込んで、1,2か月で示談が始まる等

しかし、デメリットを補って余りあるメリットがあります。

第1に、担当する弁護士が交通事故に精通していること
1カ月に9コマずつ交通事故を担当するというのは、
それだけで、他の弁護士には無い事件数です。
さらに、毎月、弁護士どおしの研究会があり、
さらに知識、経験が充実してゆきます。

第2に、保険会社に対して偏面的に強制力があること
示談斡旋で、保険会社が同意しない場合は、
理事による審査があり、
裁判のような裁決が出されます。
被害者側は、
これに不服があれば裁判をすることができますが、
保険会社は、裁判をすることができず、
従わなければなりません。

無料でここまで、やってくれる制度があるということを
もっともっと世に知らしめるべきです。

第3に、被害者救済という観点があるということです。
あっせん担当弁護士は、中立ではありますが、
相手が保険会社の担当者なので、
知識も、経験も、技術もあるところなので、
その点は、被害者側の不十分な点を
補いながら示談斡旋を進めてゆきます。

示談でいいのだけれど、
なんか保険会社の説明や、態度に納得できない
という方にとって、
これ以上の制度はないと思います。

示談をするなら交通事故紛争処理センターが一押し。

もっとも、交通事故紛争処理センターに
自分が出て行って話をするのはちょっととか、
後遺症で動けない。
死亡事故等の場合は、
弁護士を依頼するべきです。

弁護士が交通事故紛争処理センターを利用するか、
直接交渉に入るかは
弁護士に任せてください。

3 その他かゆい所に手が届くのは日弁連交通事故センター
(これも相談、あっせんは無料)
日弁連は、事業として、交通事故の相談、示談斡旋を
無料で行っています。
(相談回数は制限あり)

示談の段階ではないとしても、
相談することができます。
各都道府県の弁護士会で相談することができるはずです。

示談斡旋の制度もありますが、
交通事故紛争処理センターのように
強制力はありません。

私が、交通事故紛争処理センターの
あっせん担当弁護士だった時は、
私は中立の立場なので、
心配であれば、
100パーセントあなたの立場に立つ弁護士に
相談してくださいと言って
弁護士会の交通事故センターを紹介していました。

併用することもできるわけです。
また、相談を担当してくれた弁護士に、
示談や裁判をお願いしてしまうこともできる
というメリットも大きいと思います。
(事件の依頼は有料)

一つの交通事故で数回は無料ですが、
毎回違う弁護士というところは注意が必要です。

でめりっとというかなんというか、
ここの相談担当弁護士は、
自分で名乗りを上げた弁護士ですので、
特に研究会をしているとか、
そういう保証はありません。

4 弁護士を頼むタイミングと誰に頼むか
なかなか難しいのですが、
大きな事故の場合、
示談の見積もりを提示されたら、
弁護士に確認してもらうことは
大事だと思います。

では、どの弁護士に頼むのがいいのか。
その弁護士が、本当に交通事故業務に精通しているか、
被害者サイドに立って活動をするか。
よくわからないところだと思います。

ホームページや弁護士検索でも、
大抵の弁護士が交通事故業務を取り扱い業務に
掲げています。

一つは、
なぜ交通事故を取り扱うと言っているかが
書かれてあるといいですね。
経歴に交通事故紛争処理センター担当とか、
交通事故解決研究会に所属しているとか、
論文を出しているとか、
交通事故を取り扱う根拠が示されていれば
ある程度信頼できるかもしれません。

もう一つは、
色々な無料相談を受けてみて、
一番話しやすい弁護士を依頼するというのも
お勧めです。
但し、無料法律相談では直接受任できない
というルールがあるところもあるので、
そういう場合は名前を覚えておいて、
改めて飛び込みでお願いする外の
一工夫が必要となります。

私のようにブログを作っていたり、
ホームページを作っている弁護士の場合、
「先生のホームページを見て、
是非お願いしたいと思って電話しました。」
と言われれば、
喜んじゃって、引き受けると言う人は
結構多いと思いますが・・・

私だけでしょうか?

さらば交通事故紛争処理センター その2 示談がまとまらないパターンとまとまる条件 [交通事故]


あっせんを申し立てる方は、なんとか事故を解決したい
と思って申し立てをされていることと思います。

あっせんを受ける我々も、
全件まとめようとして、意気込んで事件に臨むわけです。

だから、事件の受付をした事務局の方から、
双方、相手の方が100%悪いと言っていますと報告を受けると、
どうやってまとめろというのだと頭を抱えてうなるわけです。
今にしても思うとまとめようとしていたから悩んでいたのですね。

「ああ、無理」と思えば、
「無理ですね」とにこやかに対応すれば、
事務局も、当事者の方々も、
余計な緊張やストレスを私から与えられないですんだかもしれません。

それが、結局最後の最後までできなかったわけです。

人身案件の担当を4年、その後物損プロパーが2年、
合計6年、何としても示談をまとめるということで、
猪突猛進に進んできました。

どんな事例が無理なパターンでしょうか。
やはり、事実に食い違いがある場合ということになると思います。

例えば
一方は、交差点を曲がろうとして停止して待機していた。
ところが他方が直進してきてこちらにぶつかってきたと言い、
他方は、自分が交差点を直進して進行していたら、
一方が交差点を右折してきたので接触したという場合、

この場合、一方は交差点に入り口が衝突現場だと言い、
他方は交差点に大分入ったところだというわけです。

物損事故で、人に怪我が無い場合は、
警察も実況見分調書を作らないので、
客観的証拠がまるっきりないということがほとんどです。

どちらの言い分が正しいと、
交通事故紛争処理センターでは決めることはできません。
裁判とは違うところです。

多いのはウインカーを出したか出さないか。

ほとんどは、双方が嘘をついているわけでなく、
感じ方の違いがあるわけです。

交差点の事故で言えば、
実際に、交差点を曲がる車は、
停止しようとして、停止動作に入ったのだと思います。
ところが直進車から見れば、
交差点を曲がる車が、その車が停止する前に目に入れば、
その時は動いていたわけですから、
これから停まるという頭は無いわけです。
停まったとは認識できません。
双方の言い分はもっともです。

衝突も、その場で双方の車が停止しているということは、
物理的に難しく、
それまでの運動エネルギーによって、
衝突後ずれるわけです。
ずれたことは認識していても、
どの程度ずれて移動したかには、
認識の食い違いがあるのですが、
事故後の判断ということになるので、
衝突位置がどこだったか、もうその直後から
本当はわからなくなることも多いと思います。

ウインカーについても、
あげているかどうか見えない位置にいたり、
事故後故障してウインカーが止まることもあるわけです。

他人が事故を見てたって、
事故の衝撃で、冷静に判断できないと思うので、
事故を起こした当事者が冷静でいるわけがありません。

交通事故は、事実関係に食い違いが出ることは、
むしろ当たり前かもしれません。

ところが、相手が自分に有利に嘘をついていると思いだすと、
信頼関係をつくりようがなく、
まとまるものもまとまらなくなるわけです。

それでも、事実関係に食い違いあっても、
まとまる時はまとまるものです。
どうしてまとまるか、その条件は何かということですが、

なんと言っても一番大きいのは、
当事者が疲れていて、早くまとめたいという気持ちになることです。
私の力ではありません。

紛争処理センターに申し込むということは、
それまでに保険会社を通じて、あるいは保険会社どおしが、
さんざんやりあったということです。
精神的には、大変お疲れになっているわけです。
ここで決めたいと思って申し込まれる方は大変多いです。

なんとか、不承不承でも、納得する的が欲しいわけです。

Aさんの言っている事実を前提にすれば、70だ。
Bさんの言っている事実を前提にすれば、50だ。
どちらの事実が正しいか、センターで決めることはできないのです。
どちらの事実も正しい可能性があります。
それは、これこれと考えると、こうなってしまうからです。
もちろん、この事実関係をどうしても曖昧にできないというのなら、
裁判で決めてもらうことができます。

早く解決をしたいか、やることをやらないとあとで後悔をするかは、
人それぞれ違うと思いますので、
どちらを選ぶかはご本人に選んでもらうしかありません。

事実関係に、自分の思い違いの可能性もあること、
相手方の言い分もあながち嘘とは言い切れないこと
その前提としてどこの事実が食い違うかはっきりさせることによって、
ある程度当事者の方々も納得される場合が少なくありません。

そこに持ってきて、さんざんやり合って疲れていたり、
また、色々な手続きをすることにうんざりされる場合、
案外、納得していただくことも多いです。

どちらがどの程度悪いなんて言うことは、
本当は数字で割り切れることはないわけです。
結構道路の構造自体に問題があると感じられることもあったりします。
青信号で右折できるというのも、
安全面から考えてみると、疑問が大きいです。

色々な要素を取り上げて、事故が起きた原因を
色々な側面からとりあげて、
今回の示談に不本意であれば、
そのことを二度と忘れないでいてほしい。
そうすることによって、
あの時損したと覚えていることによって、
二度と同じ事故を繰り返さないことができる。
今回は物損で済んだけれど、
今度の事故は、相手方が大型自動車だったりすると、
命を落とすかもしれない。

ここで、損をしたと思うことが、
結局得をするかもしれない。

交通事故の示談で、得したと思ってしまったら、
悔しい思いが無いものだから、
また、同じような事故を起こしてしまいますよ。
今度は大事故かもしれません。

むちゃくちゃなことを言っているのかもしれません。
しかし、みなさんと事故のあっせんをしていて、
事故の当事者の方々から、少しずつ教わってきたことの
集大成だと思っています。

交通事故紛争処理センターでは、
色々なことを勉強してきました。
交通法規はもちろん、保険実務や医学
自動車工学、事故処理実務、
会計的なことも必要に迫られて勉強させられました。

私にとってすべて財産です。
6年間、月3回通い続けたわけですが、
今度の残業期日で終わりになるわけです。

寂しさはこみ上げてきません。
あっせん委員の任期は終了しましたが、
今度は被害者側弁護士として、
どんどん交通事故紛争処理センターを利用することと
思っているというか、
(事件のご依頼が無ければいけないので、)
願っているというか。

これからもよろしくお願い・・・したい
というところでしょうか。

さらば交通事故紛争処理センター 物損事件処理のまとめ その1 物損事故は1回期日だけ [交通事故]

正式な日程は今日で終了だったのですが、
まだ残業日がもう一日あるので、すっかり終わってはいないのですが、
もう、あまり考えることはないと思うので、
もったいないので、覚書メモを残すことにしました。

第1は、物損事故(物件事故)あっせん期日は1日限りということ

1回で終わりだからこそ、解決するというのが実態みたいです。
1回で終わりだから、解決するために多少無理をするというか・・・
この点は人身事故、傷害死亡事故とは違うところです。

保険会社さんの中には、徹底していない会社もあるようです。
1回で終わりだということを、
契約者さんと上司にきっちり説明して欲しいと思います。

要はセンターの利用の仕方を考えてほしいということです。

確かにセンターは、通常の会社どおしでの交渉で、
うまくいかないときに申し込むところですが、
やはり、事前に理性的に保険会社さんどおしで詰めておいて、
ある程度幅があっても、落とし所を想定して、
センターに申し込むことは契約者を説得する最後の場を設定したくらいの
気持ちできていただきたいと思います。

大体物損事故でもめる場合は、
事故当事者が、自分は悪くないと思っていることが多いのですが、
多くは、道路交通法に照らして悪いのです。
全部その人が悪いわけではないのですが、
大抵は、落ち度があるわけです。

ところが、中には、
その点を全く無自覚にいらっしゃるご本人も少なくありません。
保険会社が、道路交通法だとこうなっているということを
説明していないことがあるわけです。

「センターに行くと、こう言われるかもしれません」でもいいですから、
落ち度の可能性については事前に説明している必要です。

保険会社さんの中には、
やむを得ない事情があるならともかく、
そうでもないのに、本人をセンターに同行せず、
示談に応じない理由が、本人が拒否しているから
ということを言ってくることがあります。

そのくせ、もう一度期日を入れてくれと言ったりするわけですが、
本人を同行しない以上裁判を覚悟するべきです。
無理筋と思われる主張をしながら、センターでの話し合いに固執するのは、
無理な和解案を通して、相手に不当に損害を強いていると思われても
仕方が無いということも少なくありません。

事故を起こした契約者は、示談代行費用も含めて保険料を払っているのです。
無理と思われる主張をして、裁判になる場合は、
事故を起こした契約者が直接被告になるわけですから、
それを考えるといかがなものかと思います。

まあ、そういう保険会社さんは、多数ではないというのも、
実感なのですが。

それから、申込者になっておきながら、
1回期日までに、自分の方の損害額を
きっちり出してこないことや、
損害の資料を事前に相手方保険会社に示していないことがありますが、
それでは、1回でまとまるわけがありません。
こればっかりは何とかして欲しい所です。

ただ、確かに1回でおしまいということが不合理なことがあり、
例外的に2回目を入れる場合があります。

一番多いのは、
担当者レベルでは、その案で行こうと思う、なるほどそれがもっともだ。
しかし、会社、本人に事前に許可を得なければならないので、
もう一期日時間が欲しいとか、
その案で、仕方が無いけれど、踏ん切りがつかない、
気持ちを落ち着かせるまで時間が欲しいとか、
次回決定予定がはっきりしているときです。

あるいは、センターで決められるとしたら、
その案しかないのはわかった。
確かにその案以外なら、裁判しかない。
それでいいかどうか調整が必要だという場合
ですか。

だから、こういう場合は、
次回期日までに、例えば「20:80で示談するかを検討してきてください」
と、宿題をはっきりさせておくことが肝心です。
逆に言うと、このように、それ一本だけを検討すれば終わり
という時が例外的に2回目の期日を入れるときです。

その案を初めから検討できないならば、
1回で終わりにすることになります。

場合によっては、示談案を作っておく場合です。

ただ、検討の結果、それでは示談はできないということもあります。
それはそれで仕方がありません。

そういう場合は、期日の半月前とか、事前に連絡をしてもらいます。
次回期日を開かないわけです。
検討の結果、示談できない当事者が出た場合は、
その時点であっせん不調でおしまいとする、
そういう了解を双方にとっておく必要があるわけです。

例外的に、2回目の期日が入る場合は、
事故当事者が保険に入っていなかったり、
その他の事情により保険会社のサポートが無い場合、
交通事故のルールから、損害賠償の必要な資料から
説明しなければならないので、
1回では終わらないということも、ままあります。

必要な資料等、次回期日までにやるべきことを明確にして、
そうして第2回期日を迎えなくてはなりません。

センターの物件あっせん委員は、
センターのデメリットをよく意識することによって、
無理やりセンターで示談させようという
気を持ちすぎないことが肝要です。

当事者に、センターで決めるメリット
決めないデメリットをよく説明して、
あとは本人がご判断してくださいという、
その位の姿勢の方が、よくまとまるようです。

保険会社の方やご本人に、
自分で積極的に示談を進める意思をもってもらう
工夫なのでしょうか。

ずいぶん長くなったので、明日(かなあ?)に続きます。
次回は、
センターではまとまらない争点と、
それでも示談をまとめる場合の条件です。

「自動車保険金は出ないのがフツー」を読む [交通事故]

幻冬舎新書 2010年7月第1刷

自動車保険加茂弁護士.jpg

買っていて、ずーっと読む機会が無くて気になっていたのですが、
また、7時50分発の飛行機で出発、
21時着の飛行機で仙台着
(朝4時過ぎ起き23時就寝)という
出張があったので、読むことができました。
っていうか、飛行機でる前に読んじゃった。
面白い。

読む前は、ここまで言うのは何ぼ何でもと
暴露本かなあと変な期待があったのですが、
弁護士が書いたまじめな本でした。
著者は弁護士だったんですね。

過激なタイトルも
その意味を良くつかめば、まあそうかもしれない
という感じです。

すいすい読んでいけました。
色々著作のある方なので、
文章も読みやすく、
項目ごとの長さも優れてちょうど良い。
なるほどエンターテイメントです。

私の「情状弁護論」はいつになるかわかりませんが、
出版社の人に大分手を入れてもらうことを
初めから想定しているのですが、
えらい違いです。

ただ、少しばかりコメントですが、
仙台の事情を事務連絡という感じですが、

第1点は、交通事故紛争処理センターの待ち時間
ただ今のところ、仙台は、
申し込んでから第1回の相談日が入るのは、
人身案件で1カ月切るくらい。
物損案件で1ヶ月半くらい。
これは、最近大体こんな感じです。

印象的なのは、
保険会社の代理人弁護士は多いけれど、
被害者側の代理人は少ないというところ。

東京はそうなんだって感じです。
人数だけからいうと、
仙台は、被害者側の代理人が多いように思います。

もっとも、著者の加茂先生の言うところは、
交通事故の実務に精通している弁護士というところなので、
あるいは加茂先生の表現が正しいのかもしれない。

ただ、仙台は、交通事故紛争処理センターがあって、
15,6名の弁護士が4年交代でセンターのあっせん委員をやるので、
4年に一度被害者側の精通弁護士が
その位増えることとなります。
やはり、「被害者側の方が多い」でも、仙台の場合は当たっているな。
ローカルな特殊事情でしょうか。

それにしても、この本いちばんおもしろいのは、
損保側の弁護士について書かれているところで、
表現は、ハラハラするところもありますが、
分析はなかなかニヤニヤして読んでしまいます。

その辺を読む素材として交通事故を取り上げたと
斜めの視線で読むと
弁護士の置かれた事情や仕事のアプローチの
いくつかのサンプルが書かれていて、
なかなか興味深いことが書かれています。

保険会社の暴露本というより、
弁護士業界の暴露本の様相もあり、
お勧めしたいような、したくないような・・・・

ところで、1点だけ、
顔などの外見に交通事故で、
傷跡などが残ってしまった場合、
女性の方が損害額が大きいのは、
等級を決める人(これは労災の基準が元になっています)
の男女差別感ではなく、
女性の方が、収入減額に結びつきやすいという
社会の男女差別の問題だったと思うので、
この点だけ気になったので、付け加えておきます。


予防法学 交通事故の原因を分析し、安全運転のコツを普及する [交通事故]


おそらくこれはあるのでしょう。
財団法人なんとかとか、
警察官や警察OBが中心になって
ご努力されているのでしょう。

実際に、交通事故の死亡数は
右肩下がりに下がり続け、
自殺者数、児童虐待数等とは対照的です。

しかし、死亡に至らない事故をみると、
まだまだ安全運転のコツが普及されていないように思います。

大丈夫だろうという「だろう運転」というのだそうですが、
これが、交通事故の大半を占めるようです。
先ず譲るということが事故回避の鉄則のようです。

それから駐車場の事故、
駐車場に停止している車は、
次の瞬間発進するかもしれないという意識をどう持つか、

等々、事故は、結構典型的な不注意で起きています。
テレビとか新聞とか、繰り返しわかりやすく事故の状況を説明し、
防げる事故を防ぐ知識の普及活動を
もっともっとやってもらいたい。
交通事故の損害賠償を担当する者としては思うのです。

100対0 と 0対100の対立は、
概ね双方道路交通法を誤解している場合が多く、
道路交通法の誤解は、
常に事故の危険に直結しています。

免許更新の際に大体的に行うことをやめてはいけませんが、
それだけで足りない。
結構多くの人が勘違いしています。
間違ったまま、こちらが優先のはずだと
ムキになって危険な運転をしているわけです。
相手が、自分の権利を侵害しているとでもいうように、
スピードを上げてアッピールしたりですね。

また、交通事故の刑事弁護をしたり
示談を担当していると、
どちらも悪いのかもしれないけれど、
やっぱり、道路の形状に問題がある
と思えてならない個所はあるので、
その検討も、誰かが警察に働きかける必要がありそうです。

まあ、私が無罪を主張したからではないでしょうが、
交通事故の刑事事件で、
道路の形状の問題点を大々的に指摘したら、
だいぶ改善された道路がありました。
交通事故が多発していたようです。

それから、こつんという軽い事故と
むちうち症等の治療が長引く問題も
多角的に検討されるべきです。

こつんという事故が、
人体にどのように負荷がかかるか、
あまり検討されていないか、
少なくともデータの公表はあまり進んでいないように
思われます。

バンパーの材質に
問題がありそうなのです。
復元力のあるバンパーを軽自動車が採用している
アメリカの基準らしいのですが、
それは、少なくともこつん事故では、
バンパーの損傷と比して
人体への影響が大きい場合がありそうです。
大事故は防ぐのかもしれません。

販売会社の思惑から独立した安全研究は、
国が行わなければならないでしょう。
医師、警察、自動車工学学者等の
検討チームが作られるべきだと考えるのですが、
あるのでしょうけれど。

交通事故紛争処理センター仙台支部事務局長の送別会 [交通事故]

交通事故紛争処理センター仙台支部事務局長の送別会がありました。

弁護士が40名ほど駆けつけ、盛大な会合となりました。
仙台弁護士会は全員で300名プラスアルファなので、
40名が一堂に会することはなかなかありません。

事務局は、センターの常勤職員で構成されているので、
事務局長も弁護士ではありません。
それなのに、これだけの弁護士が集まるということで、
妻も、不思議がっていました。

考えてみたら、裁判官が退職すると言って弁護士が送別会をする
ということもないですし、
弁護士会の職員の場合もありませんね。

センターは、10数人の弁護士が、
通常任期4年で、あっせんを担当します。
そのうちの一人がもう2年担当します。
そして、あっせん委員とは別に、
ベテランの弁護士が審査委員になり
大学の先生と一緒に、
あっせんでは解決しなかった事案の審査を担当します。

あっせん担当の弁護士は、月3回センターであっせんを担当します。
そのほかに月1度、会議をし、事例検討も行います。

これらの下段取りをすべてしていただいているのが、
センターの事務局なのです。

裁判所の調停員の仕事も、
日弁連交通事故センターの仕事も、
多少の事務的な作業があるのですが、
センターの業務は、
一切の事務的作業が無く、
あっせんに専念できるというところが特徴かもしれません。

送別会であいさつのご指名があり、
話しているうちに、実感しました。
改めて考えないと気がつかないものです。

センターは地方に一つということで、
東北には、仙台支部だけです。
東北各地の事例が集まってきます。

相談からあっせん、審査とすべて無料なのですが、
他県からいらっしゃると、交通費と時間がかかるわけで、
本当はもっとあった方がよいのでしょう。

センターでの仕事は、
弁護士と事務局との共同作業のところがあって、
月4回のおつきあいは、かなり濃密だったのだと思います。

センターの利用規則等もあって、
本当は、色々制約もあるのでしょうが、
あっせん委員はそこまで習熟している人は少なく、
事務局に聞けば何でも教えてもらえるので、
その点は頼り切っておりました。

センターの場所は、
弁護士会や弁護士の事務所から少し離れているので、
月4回というのは、なかなかしんどかったのです。
しかも午後1時30分から4時30分という
いい時間を拘束されるということもなかなかしんどいです。

それでも、センターのドアを開けると、
にこやかに応対していただいて、
ボードをみて、よし、新件2件継続1件、やるかあという気持ちに
なれたのは、
事務局の和やかな雰囲気があったからだと思います。

嫌みのない笑顔というのは難しいものだと思います。
また、腰の低い方でありながら、
大事なところは毅然として対応できるということも
おみごとです。
近くにいらっしゃるだけで、こちらも居住まいを正すことができる
そんな雰囲気をお持ちの方です。

定年退職ということですが、
もったいないという全員一致の意見でした。

私も間もなく6年の任期が明けて、センターを卒業するのですが、
送別会に集まった弁護士メンバーの豪華さをみて、
なんかもったいないような気もして、つい、
毎年1度は、局長を囲んで研究会を開きませんかということを言ってしまい、
じゃあおまえが段取りとれということになってしまいました。

実現したら、素晴らしいと思います。
しかし、みなさん覚えているでしょうか。

法律的問題を一つと
自動車工学か、交通事故被害者の心理学みたいな
基礎的周辺的問題を一つとか、
実は、構想を持ち始めているのであります。


nice!(0)  コメント(0) 

交通事故の過失割合 激しい対立の場合の理由別解決方法 100:0と0:100補遺 [交通事故]

以前書いたように、交通事故の示談斡旋委員をしていると、
一つの交通事故なのに、
一方の当事者が主張する過失割合と、
他方の当事者の過失割合が逆転することもしばしばあります。

http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2010-05-28

要するにお互いに相手方が悪いのだと。

このように見解が分かれる理由を大別すると、
2種類に分けられるようです。

事実関係の認識が食い違う場合、事故形態が違う。
もう一つは、道路交通法の無理解です。

事故形態の認識の違いというのは、
衝突場所が、交差点の中か外かとか、
一方の車が動いていたか停止していたかとか、
そういうことが多いようです。

こうなってしまったら、裁判で、
どちらが正しいのか決着をつけなければなりません。
話し合いでの解決は無理だということになります。
本当は。

ただ、本当に客観的資料から、はっきりしないのであれば、
裁判所でも、どちらの言い分が証拠から本当らしいかを
判断されるだけで、
真実が魔法のように明らかになるわけではありません。
その旨を説明し、場合によっては痛み分けの解決がされる
50:50ということも珍しくありません。
裁判の費用と時間と精神的負担を良く説明するということになります。

さらに、客観的資料から、一方当事者の認識が
どうも間違っているのではないかと思われることがあります。
その場合は、はっきり、
あなたの説明だとこの点と矛盾する、
こういう事故形態だと直前こうだったとしか考えられないが、
どうしてあなたはこういう行動をしなかったのかということを
指摘するわけです。

但し、そういう場合でも、大抵は、本人が
わざと嘘をついているのではなく、
そういう記憶になっていることが多いので、
相手が記憶に基づいて述べているということを
十分に意識してお話しすることが肝要です。

そうすると、
本人が気づかなくても、同行する保険会社の人が気づいて、
本人を説得することが出てきます。
というか、
保険会社の人は初めからわかっていて、
交通事故紛争処理センターの弁護士の説得を通じて、
説得しようと思っていたのでしょう。
色々な事情で、そういうことはありえますので、
私個人としては、お役にたてれば何よりと考えています。

次の交通法規の無理解は結構多い。
本人は、いつも通り運転してい事故にあったのだから、
相手が悪いという感覚に、自然になります。
しかし、そのいつも通りが、道路交通法違反
ないし、不適当な運転であるわけです。

ここでのポイントは、
交通事故が起きなければ許される法違反というのもありえる
ということかもしれません。
法律と、実際の道路慣行が微妙に違っている場合です。
慣行と言っても、許されているわけではないのですが、

例えば、交差点での右折で、右折した後の車線が2車線ある場合、
内側の車線が込んでいるので、
機転を利かせて、外側の車線に入るという場合、
道路交通法では、交差点内の追い抜きになり禁止されています。

損害賠償の観点からは、道路交通法に違反する行為は、
過失割合を多く引き上げます。
損害賠償の話になった場合は、
本来の法律に照らして過失割合を決めるということを
説明すると、案外うまくゆきます。

道路交通法は、隅々まで、定められており、
理由がわかると、なるほどその方が安全だということで、
本来自動車を運転する人は、
すべてを頭に入れて運転しなければならないのですが、
そうはなっていません。
ポイントを絞って、徹底する期間をつくり、キャンペーンが行われると
だいぶ違うのではないかと思っています。
交差点安全点検週間とか。
路外施設から道路に入る場合の点検週間とか。

安全教本が、持っていく人が少ないということを理由に
仕分けされてしまいそうですが、
表面的需要の観点から予算を決めるのではなく、
本来必要なものに予算を使うべきです。
この時のシーンをたまたまテレビで見たのですが、
鬼の首をとったようなあの人の様子は、
いただけませんでした。
免許更新の時の安全教本は、
持っていってもらうための予算を追加しても、
持っていって読んでもらうべきです。

まあ、そうして、道路交通法の理解をしてもらって、
すぐに腹に落ちないわけですが、
知識として持ってもらうことにより、
同じ事故を繰り返さないという利益を理解してもらい、
すぐに納得できないけれど、
納得して示談をすることが、
今後の安全の為にも、お得だということで、
示談が成立することも、多いです。

そして、過失割合と言っても、厳密に決められるものは何も無く、
70:30と80:20での差にこだわることに、
それほど意味が無いことを理解してもらうことになります。

それぞれの金額で、示談額をシュミレーションすることが有用な場合もあります。
金額としては、あまり意味が無い場合もあります。

それより、概ね相手が悪いと認めたのだから、
10%以上の、大きな決断を相手はしたのですよということで、
大勢が決まれば、説得してゆくことになります。

(これはあくまでも、示談斡旋の場合の例です。)
前の10件 | - 交通事故 ブログトップ