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超過復興のカギは、地元中小企業対策だと思うのだけれどメモ 参考兵庫県弁護士会の提言 [中小企業]

すいません、長文のツイッターです。

法律の世界では、
普通の人間のことを「自然人」と言い、
会社等を「法人」と言います。

自然人に関しても、
被災地において、健康で文化的な最低限度の生活
(憲法25条)を送ることができるか、
避難所や福島の状況を見ると、
国の責務が十分果たされているとは言えない状況ですが、
少しずつ、金銭の交付なども始まっています。

それに対して、手付かずだと思われるのが、
中小企業だと思うのです。
株式会社、有限会社等の法人もそうですが、
企業体としての個人事業主もそう思います。
(自然人としてではなくという意味です。)

要するに、貸付制度だけなんですよね。
利息なしなんて言うところもあるのですが、
相談に来られた事業主のお話しを聞くと、
個人的借り入れがある場合は、
融資してもらえないこともあるようなんです。

そんなこと言ったって、
普通の中小企業は、
借り入れがあるところが圧倒的に多いわけです。

日本政策金融公庫や地元の地銀ならまだいい方です。
個人的にサラ金で借りたり、
いわゆる商工ローンに手を出したりと
普通な感じです。

別に業績が悪くて借りているのではないのです。
業績が悪ければ、銀行や公庫は貸しません。

例えば工場を大きくしようとか、
いう時の資金を借り入れる
事業拡大型。
これは順調に行けばよいのですが、
何かアクシデントがあった場合、丸丸借金が増えるだけ。

多いのは、建設土木関連の公共事業型です。

すぐ報酬が入ればよいのですが、
半年待たされた挙句、
請求書や報告書の書き方が悪いと言われて、
お預けを食う。

下請や従業員の給料、
新たな現場の資材を購入しなければならないので、
結局手形を切ったり、短期借り入れを行う。

手形だって、簡単に落ちない、
高い割引料を取られる業者じゃなければ、
待たされてしまう。

利息の低いところは審査に時間がかかり、
1カ月以上審査されていることだって少なからずある。
簡単に貸すところは利息が高い。

この割引料の損失や
利息の支払いで、
徐々に黒字が減って行き、

なんか焦げ付きでもあれば、
さらに債務が増大していく。

なんか、中小企業は、
借金をさせられる仕組みができてしまっているのです。

これ以上借金できますよって言ったって、
返すあてもないわけです。

なんかいい制度ができないと
中小企業が復活できず、
従業員だった人の勤め先が無く、
銀行や金融も資金回収できず、
取引しようにも取引先もない。

八方ふさがりの状態になってしまいます。

なんか、革命的な
中小企業対策を立てるべきで、
震災の直接被害の大小に関わらない
一律な手立てと
特別な手立ての二本立ての必要が
あるように思われるのです。

残念ながら、全く思い浮かばない。

と、思っていたら、兵庫県弁護士会が
提言をまとめたとのニュースが入ってきました。

長文ですが引用しておきます。
大きなヒントになるように感じました。


(以下引用)

災害救助制度の改正及び運用改善に関する緊急提言

            兵庫県弁護士会 会 長  笹 野  哲 郎


第1 提言の趣旨

1 被災自治体が被災者に対する救助措置を積極的に行えるよう,災害救助
法第36条第3号に定める国庫の負担割合を「百分の百」と改正し,東日本
大震災に遡及適用すべきである。

2 同法第23条1項7号に基づき、生業再開に向けた現金・現物の支給を
行うべきである。

3 災害救助法の所管を,厚生労働省から内閣府に移し,運用基準の抜本的
見直しを早急に行い,東日本大震災に遡及適用すべきである。


第2 提言の理由

1 被災地の実情と災害救助法
 当会は,東日本大震災の避難所等に会員を派遣し,被災者に対する法律相
談を実施し、被災者が直面する数々の問題について生の声を聞いた。震災発
生後約1か月余が経過した現時点を,当会が経験した阪神淡路大震災におけ
る同時期と比較してみても,被災者のおかれている状況は極めて深刻である
と言わなければならない。例えば,津波被災地に広がる瓦礫の山が片付く目
途は立っておらず,避難所の生活環境は劣悪であり,震災発生後の関連死が
続き,被災者の健康障害も深刻化し,未だに応急仮設住宅をはじめとする生
活安定の見通しも立っていない。
 こうした瓦礫撤去,被災者の健康管理,避難所,応急仮設住宅といった災
害直後の応急措置は災害救助法に基づいて行われている。東日本大震災の被
害があまりに広域かつ甚大で,原発事故による複合被害も深刻である上,被
災者の救助の最前線に立つ基礎自治体(市区町村)自体が大きなダメージを
被り行政能力が低下していること等から,被災地自治体の現地対応に原因を
求めることはあまりにも酷であろう。むしろ,問題の本質は,災害救助法に
関する制度の仕組みそのもの、あるいは国による、その硬直的な運用にある
と言うべきである。被災者の生命健康は危機に瀕しており,避難所の改善と
応急仮設住宅等の提供は一刻の猶予もならない。
 そこで,当会は,早急な災害救助法の改正及び運用の改善を求めるべく,
この緊急提言に及んだ。

2 国庫負担率の引き上げ
 災害救助法は,被災者を救助の方法を広く定めるとともに(災害救助法第
23条1項各号 ,同施行令第8条 ),地方自治体に広範な権限を与え,本
来,被災地の現場に即して弾力的に運用することが可能な仕組みとなってお
り,被災者は同法によって手厚く保護されることとされている。同法が,有
効に活用されるならば,多くの生命が救われ,被災者の不安も相当改善され
るはずである。
 ところが,被災地の自治体は,厚生労働省が定めた災害救助法の運用基準
の範囲内で救助し,それを超える救助に躊躇する傾向が顕著であった。
 そもそも,厚生労働省の定めた基準は,国庫財政負担基準に過ぎず,救助
の必要があれば実施は可能である。にもかかわらず,災害現場で積極的な救
助に踏み切れずにいる原因は,災害救助法第36条 において国庫の負担基準
が定められ,一定の範囲を超えたときの負担率が[国:都道府県=9:1]
とされているところ,被災地の自治体がこの1割の負担に耐えられるかどう
かを懸念している点にある。国は,災害救助法の弾力的運用を求めているも
のの,自治体の財政負担についての手当がないことから,被災地現場におけ
る実施状況は改善しないのである。
 そこで,災害救助法第36条第3号に定める国庫の負担割合を端的に「百
分の百」と改正し,東日本大震災に遡及適用すべきである。

3 生業を持つ事業者への現金・現物の給付
 被災地で聞かれた悲痛な叫びとして,生業に対する支援が全くないという
声が多かった。高齢ないし経済的基盤が脆弱な事業者(農漁業者,その関連
事業者など)は,新たな借入れをする気力も体力も失われており,生業の再
興にあたって,最も有効で最優先で必要なのは,生業再開に向けた現金・現
物の支給である。
 この点,災害救助法第23条1項7号は「生業に必要な資金,器具又は資
料の給与又は貸与」を救助の一種としている。また,同2項は「救助は,都
道府県知事が必要があると認めた場合においては,前項の規定にかかわらず,
救助を要する者(略)に対し,金銭を支給してこれをなすことができる。」
としている。しかるに,これらの規定は,各種貸付制度が充実していること
等を理由に,適用が停止されている。
 被災地の実情を直視し,被災者の生の声に耳を傾ければ,これら規定の適
用は必然と言うべきであり,直ちに同条項に基づき,生業の再起に向けた現
金・現物の支給を行うべきである。

4 所管の変更
 災害救助法は,厚生労働省の所管とされている。この所管は,救助の種類
に,生活必需品等の供給,医療・助産等が含まれていること等から,一定の
合理性があるとされてきた。
 しかし,�救助の内容は,仮設住宅の供与や住宅の応急修理,被災者の救
出,がれき撤去など,本来厚生労働省の所管になじまない事項も多いこと,
�災害対応の中核部分については内閣府が一元的に所管していること,�救
助から復旧・復興までの一連の流れは連続性があるため,基本的に所管も一
貫させるのが合理的であること,�災害直後の緊急対応については柔軟な現
場対応が必須であるところ災害救助の実務上一般基準を超える特別基準につ
いては厚生労働大臣との協議を必要とするなど救助の現場に即しない運用が
なされていること,�住宅の応急修理等に収入制限が設けられるなど救貧措
置との混同と見受ける不合理な運用があること,�通知,通達による運用基
準が相当数あるが,現状に即していないものが多いため,基準を迅速に改め
るには,所管替えをして、これを一から見直した方が迅速であること,�省
庁横断的な調整が必要であり,それに適した省庁である内閣府が所管すべき
であること,�内閣府が所管する被災者生活再建支援制度との連携が必要で
あること,などの事情があり,厚生労働省が所管するのは必ずしも適当とは
言えない。
 そこで,災害救助法の所管を,厚生労働省から内閣府に移し,これまでの
運用基準の抜本的見直しを早急に行い,東日本大震災に遡及適用すべきであ
る。
                      以     上



下請け業者は、東日本大震災復興工事の場合でも、必ず日報を作成し、控えを保存すること [中小企業]

岩手宮城内陸地震の教訓です。
下請けで復興工事に携わった業者が、
工事代金をもらえないということがありました。

話を単純化すると
役所から元請業者に代金が支払われたのですが、
元請業者が夜逃げをしてしまい、
下請け業者がお金をもらい損ねたというのです。

自治体発注なので、
発注者たる自治体に相談すれば、
ある程度解決する可能性もあるのですが、
結局、どこの土木工事をいつ、どの程度
したのかについて、資料が無く、
それを特定する作業が、
延々と続いていました。

復興工事は、
役所も余裕が無く、急ピッチで行うので、
こういうケースも起こりうるのだと思います。

下請け業者は、
工事の日ごとに、
日時場所、作業内容、従事人員を明記した、
定められた日報を必ずつけて、
当日なり翌日、
元請の監督者などから、
日付と印、せめてサインを
必ずもらいましょう。

日報の様式などについては、
役場に備え付けられているかもしれないので、
相談してみてください。

ここで、代金をもらい損ねたら、
それこそ二次災害になってしまいます。

雇用保険失業給付の注意点 震災で緩和されたといっても、結局解雇のほうが労働者に有利? [中小企業]

宮城県では、津波で工場がだめになり、
工場の中の機械などが流されたり、
まったくだめになったり、
工場に自動車が突き刺さっていたりして、
操業不能となっているところが山ほどあります。

こういうところでは、
会社も賃金を払うことができません。
不可抗力による就労不能ですので、
賃金は出ません。

(こういう状態で、やむにやまれない会社もあるから、
便乗リストラは、断じて許せません。)

上記のような事例では、
賃金の6割の休業補償の支払い義務もなくなります。

会社としては、
操業復帰の意欲はあるのですが、
賃金は払えない。
休業手当も払えない。

でも、回復したら、
また同じ人たちに働いてもらいたい。

こういう場合に、
解雇はしないで、休業状態でも
雇用保険を受給できるという
特例措置が設けられました。

この特例が少し中途半端で、
特例措置の失業給付を受けてしまうと、
解雇や退職したときの失業給付を受けたことと
同じことになってしまうのです。

そうすると、
20年くらい雇用保険をかけていても、
この特例措置を受けてしまうと、
また一から保険をかけなおさなければならないのです。

失業給付を受給できる期間は、
雇用保険をかけていた期間と年齢によって決まります。

たとえば、本当に失業した場合の失業給付が
半年くらい出たとします。
労働者は、半年くらい失業保険の給付を受けたあと、
再就職できることとなります。

再就職後また、雇用保険の期間が始まるというのが
通常のパターンです。

ところが、特例措置の失業給付だと、
本当は半年くらい出るはずの通常の失業給付でも、
会社の休業が、3ヶ月程度で終わって再雇用となると、
本来出たはずの3か月分の失業給付は
もらえないまま、
通常の失業給付の通算期間が0ヶ月となり、
また一から雇用保険をかけなければならないこととなります。

その期間は会社に決められてしまうことになります。

操業再開までの期間がわかればよいのですが、
今の状態ではわかるはずもありません。
そのような会社の付近は、
いまだに、電気も水道も復旧していないのです。
電話もできない状態です。

結局、
いつまで失業保険を受けつづけるか、
労働者に選択させるため、
あるいは、別の地での再就職という
選択肢を与えるため、
解雇したほうが、
労働者にとって有利だという
考えもありそうなのです。

このご時世、
解雇となれば、
労働者やその家族は不安でいっぱいでしょう。
でも、雇用保険は、いっぱいの期間もらえます。

会社にとっても、熟練工を手放すことは打撃です。
そもそも、まともな会社は、
解雇することがつらいのです。

なんとも難しい。
弁護士は、メリット、デメリットを提示するしかできません。

東北地方太平洋沖地震で被害にあった中小企業の相談窓口一覧(宮城県中心ですいません) [中小企業]

東北関東地震による中小企業の法律相談窓口です。
結構、相談窓口があり、それぞれ特色があるようです。
インターネットを使える環境の方は、
よく吟味したうえ、一つの窓口だけでなく、
相談してみてください。

なお、激甚災害の指定が為されています。
http://www.chusho.meti.go.jp/earthquake2011/110313TohokuGekijinShitei.htm
中小企業庁のホームページは参考になるかもしれません。
http://www.chusho.meti.go.jp/earthquake2011/index.html

それでは相談窓口です。


(1)中小企業基盤整備機構

対策本部の設置および当面の緊急対策について
http://www.smrj.go.jp/kikou/news/earthquake2011/058774.html

東北地方太平洋沖地震に係る被災中小企業対策について
http://www.smrj.go.jp/kikou/news/earthquake2011/058792.html

(2)商工中金
http://www.shokochukin.co.jp/top_jishin.pdf

(3)日本政策金融公庫
http://www.jfc.go.jp/common/pdf/news230314b.pdf

<仙台弁護士会>

2011年03月18日 | 無料電話法律相談のご案内 | 3月23日(水)から次のとおり無料電話法律相談を開催します。

仙台弁護士会では、被災した宮城県民に対する法的な支援を目的として、2011年3月23日から次のとおり無料の電話法律相談を実施いたします。
どうぞお気軽にご相談ください。

電話番号:0120-216-151(フリーダイヤル)
期  間:3月23日(水)より当面の間

<日弁連>ひまわりホットダイヤル
0570-001-241
10時から12時 1時から4時

<宮城県>

工場被害に関する相談
産業立地推進課
企業誘致第一班
022-211-2732

企業誘致第二班
022-211-2734

制度資金・融資に関する相談(商工)
商工経営支援課
商工金融第一班
022-211-2744

中小企業者の経営に関する相談
商工経営指導班
022-211-2742

このほかに商工会議所、商工会でも
相談を行っているようですが、
場所によっては機能していない商工会もありそうです。

労務に関して
被災時の労働条件
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015fyy.pdf

雇用保険失業事業の特例
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/koyouhoken07.pdf


農林水産業

宮城県

制度資金・融資に関する相談(農林水産)
農林水産経営支援課
金融班
022-211-2756

農業に関する被害の相談
農業振興課
企画指導班
022-211-2833

農業技術に関する相談
普及支援班
022-211-2837

農作物・農業用施設被害に関する相談
農産園芸環境課
農産食糧班
022-211-2841

畜産被害に関する相談
畜産課
企画管理班
022-211-2851

農地・農業用施設被害に関する相談
農村整備課
防災対策班
022-211-2875

林業に関する被害の相談
林業振興課
企画推進班
022-211-2911

林道施設被害に関する相談
林業基盤整備班
022-211-2913

治山施設被害に関する相談
森林整備課
治山班
022-211-2923

漁業被害に関する相談
水産業振興課
企画推進班
022-211-2935

漁港施設被害に関する相談
水産業基盤整備課
漁港漁場整備班
022-211-2942

日本政策金融公庫

宮城仙台国民生活022-222-5173
農林漁業022-221-2331
中小企業022-223-8141
石巻国民生活〒986-0825 石巻市穀町16-1 明治中央ビル―
営業困難
ご相談は仙台支店(国民生活事業)で承っております

とにかく、現状を把握し、
今まで通りというわけにはいかないというよことを
よく自覚することが肝要です。
大きな視点で、考えましょう。

我々の目標は、
地震の前の状態に戻すことではないはずです。
地震の前よりも大きく発展するために、
今何をするかという視点で
がんばりましょう。

中小企業派弁護士宣言 裁判所は大企業を前提として考えすぎているのではないか [中小企業]

日弁連の中小企業支援(ひまわりホットダイヤル)は、正しかったと思います。
しかし、その後が続いていないという印象は否めません。

逆に私は、ますます中小企業に肩入れを強めています。

自分も中小企業団体に入りました。
(っていうか、年会費を納めただけですが、
それに本当は私は中小ではなく、零細企業でした。
私のいう中小企業は、零細企業も含むということでお願いします。)

いざ肩入れを強めると、
やっぱり、不遇な扱いを受けていることがますます強く感じられます。

労働事件なんて、
裁判所は、中小企業に、
大企業と同じ手続きを踏むことを要求する節があります。
しかし、そんなこと、法律で定められてはいません。

法律以上の要件、条件を要求してくるのですが、
そんなことは、何の根拠もないはずです。
大企業では、こういう書類を出して、
何回始末書を提出させて、
それから、これこれこういう書類を出して、
はじめて解雇できるという自主規則や準則があるところが多いでしょう。
労働協約で定められる場合も確かにあります。

しかし、それを中小企業に求められると、
実態と合わないことも多いのです。

色々規則は中小企業にもあります。
でも、いちいち、ささいなことで、違反だと言って
懲戒手続きをやっている暇も人も無いわけです。
結構経営者にとって痛すぎることも、
(大企業なら懲戒処分や始末書を取ることも)
今度は気をつけろなと言って、
泣く泣く大目に見ることはよくあることです。

懲戒手続きしたって、減給とかしたら
やっぱりかわいそうなわけです。
労働者という抽象的な見方はできず、
何々さんという具体的な人間で見ていますから、
子供が何人いてとか。

それで、我慢に我慢を重ねて、
やっぱり、これ以上はだめだわ、
あんたかばってたら会社も他の従業員も共倒れだということになり、
辞めてくれないかと解雇したら、
懲戒処分の前例も無いのにいきなり解雇かと
怒鳴られました。

もう中小企業派宣言した私ですから、怒鳴り返しましたけどね。

それから、
敢えて極端な表現をつかうと、
例えば東京大阪の出張で、
「新幹線で行くと時間とストレスがかかるので、
当日券の飛行機で行った。
会社からは、交通手段の指示が無かったから、
問題はないと思う。」
という主張があったとします。

大企業だとそりゃあ、そういう会社もあるでしょう。
しかし、中小企業でそれをやられたら死活問題なわけです。
少しでも、経費を節減して、
生き残りをがんばっているのですから。

(しかし、大企業でも、いまどきそんなことを許す
鷹揚な会社があるのでしょうか?)

そういう実態が、裁判所ではまるでわからない
としか思えない発言がみられます。

中小企業では当たり前のことが、
通じないことがある

それを痛切に感じているところです。

いろいろな弁護団があります。
どれも、社会的に不遇をかこう人たちの味方なのでしょう。

しかし、これだけがんばっていながら
がんばったことに見合わない不遇な扱いを受けていると言ったら、
中小企業こそ、典型だと思います。

それにもかかわらず、中小企業という切り口は、
あまり見られなかったと実感しています。

前回言ったときあまりウケませんでしたが、
中小企業弁護団というか、ネットワークを是非作りたい。
この切り口での情報とノウハウの集積は、
かなり有用だと思っています。

売上を伸ばしている中小企業の秘密 従業員のやる気と社長の行動力 [中小企業]

知り合いの中小企業経営者と偶然出会ってお話をしたのですが、
単位当たりの売り上げ(まあ従業員一人当たりの売上)が
業界2位となったそうで、
1位は、大手だそうです。

競争相手の多い業種で、
全体の業績が悪化している業種だったので
心配していたのです。

要するに従業員一人一人が、やる気を出して、
時間一杯働いてくるということらしいのです。
自発的に一生懸命働くということらしいのです。

結構移動の多い業種なのですが、
その会社は定着するそうです。

同じ仕事なのに、
前の会社は仕事が嫌だったんだけれど、
この会社は仕事をしているのが楽しいと
そう言って働くのだそうです。

その理由を聞き出そうとしたのですが、
なかなか口が堅いというか・・・
いろいろ話をしてみました。

先ず、社長は他人まかせにしてはだめだ
ということらしいです。
営業でも、経理でも、事務でも
何でも自分でできなくてはいけないということらしいです。

全部自分でやるというのではなく、
点検ができて、指導もできてということらしいのですが、
いざとなれば自分でもやってということのようです。

やはり、とにかく、コマ目に事務所に出たり、
現場に出たりしているようです。

事務所の近くの掃除までしているようで、
近所からの評判も高いようです。

もう一つ感心したのは、
業界ナンバーワンの会社に敬意を払うことです。
ナンバーワンは,老舗で、大手ですが、
社員教育が徹底して、やはり社員がやる気があるというところが特徴です。
みんながみんなというわけではないですが、
なるほど、客として見ると、できればこの会社にお願いしたい
という従業員がほとんで、
会社名がブランド名となっている感があります。

この会社に、盆暮正月を利用して、
手土産を持って挨拶に行き、
ご指導をお願いしているようです。

そうだよね、なるほどね

創業期の中小企業で、結果を出している社長さんの
お話でした。

使用者側にとってきついところのある労働審判制度 中小企業の実態を知らせる工夫。 [中小企業]

日弁連の中小企業対策に積極的にかかわるようになり、
使用者側での労働問題の事件も多くなりました。
これまでも、中小企業からのご依頼は多かったのですが、
どちらかといえば、債権回収とか、元請けに対する請求、
経営者や従業員の個人的問題と絡んでのこととか、
行政との関係が多かったように思います。

労働審判制度が、労働事件の敷居を低くしたことは間違いないようです。
労働者が裁判所を関与させて権利救済を申し立てる敷居というより、
労働事件の法律相談を受ける弁護士が依頼を受ける敷居が
低くなった感もあるとみています。

私は、一般の弁護士の中では、
労働審判を担当することが比較的多いようです。
労働者側、使用者側、偏りなく担当しているということにいたっては、
私ぐらいではないかと思われます。

特定の労働組合との関係が無いので、
労働者側からの事件は、弁護士会や、法テラス、
他の弁護士から頼まれてということが多いです。

むしろ、使用者側での依頼事件が、
友人、知人、前の依頼者の紹介という、
普通のルートということが多いのは、
やはり地元民ということだからでしょうか。

使用者側で労働審判を受けるということは、
結構大変です。

先ず時間が無い上に、時間を拘束される。
第1回期日というのは、
労働事件の特殊性から、
申し立て後比較的早い時期に指定されます。
そして、短期集中で終わらせるために、
変更が効きません。

申し立てる側は、十分準備をして、
納得した準備ができてから申し立てることができますが、
使用者側は、時間内に準備をしてのぞむことになります。

これから労働法を調べてということでは、
話にならないわけです。

申し立て側の代理人が、割といろいろな弁護士がつくけれど、
使用者側の代理人が、もともと使用者側専門の先生の外は
あまり受け手がいなくて、
私に話が回ってくるということは、
そういう理由もあるように思います。

3回で終わらすために、1回の期日は2,3時間かかるということが多く、
その時間を、数週間先に指定されるのです。
そこで、時間の都合がつけば、
ご縁だと思って引き受けるしかありません。

普通の裁判だと、第1回期日は、欠席が許されます。
労働審判の場合、これが効きません。
ここは、何とかして欲しいところです。

また、すべて時間が会うということもすくなく、
掛け持ちということもありました。

準備時間が足りなくて困るのは、
普通解雇を争われた場合です。

懲戒解雇であれば、
懲戒時に解雇理由が明確ですが、
(明確でなければならないというか・・・)

普通解雇(解雇予告手当ないし1か月前の解雇)の場合は、
いろいろな理由があっての解雇ということになりますので、
これまでの積み重ね、普段の態度が、
つもりにつもっての解雇ということですから、
それを裁判所に伝えるためには、
やはり、それなりの準備が必要なわけです。

しかし、時間が無く、どうしても、中間発表みたいな形で、
書面を作らなければならず、
舌足らずになることもでてきます。

主だった理由、解雇に至る出来事を紹介することで精いっぱい
ということにならざるを得ません。

この辺は、審判官、審判員にも理解して欲しい所です。

会社の方も、いちいち労働者の問題点を
書き残しているわけではないですから。

だから、どうしても、
労働者側に余計肩入れされているような印象は否めません。

代理人も、普通の答弁書、準備書面のようなものより、
噛んで含めるような、労使の一般常識に照らすとこうなるという
表現の書き物を作らないとだめかもしれません。

そういう意味では、使用者側代理人の心構えとして、
労働審判員は、
労働組合のあるような大企業の労使関係はわかっていても、
中小企業の労使の実態はわからないということを前提に、
代理人活動をしなければならないのかもしれません。

そして、こういう場合、第1回目の代理人の責務は、
ひたすら頑張ることということになるようです。
2回目の準備のための方向性を探りつつ、
労使の常識を説明し続けるということになりそうです。

弁護士も、労働法だけでなく、労働実態や、経営実態に、
ある程度習熟している必要があります。

例えば、食品の営業とか、卸とか、運送業とか、
飲食店、工場等々。
それぞれの業態の特徴があるわけです。

会社の仕事にまつわる事件を多く担当していることは、
貴重な財産ということになります。

アルバイトの経験も貴重な財産となっています。





企業から見たパワハラの経済損失 産業保健センターでのノウハウの蓄積を [中小企業]

カテゴリーを中小企業にしましたが、
実際はパワハラは大企業が典型職場のようです。
大企業だけどその支店とか営業所とかそういうところ。
中小企業に見えて、実は地方自治体の外郭団体とか。

中小企業ではパワハラをするような余剰人員を
確保するほど経済的余裕が無いのでしょう。

先ず、被害者がうつ病になったり自殺したりすると、
損害賠償が大変です。
労災からは慰謝料は出ませんので、
死んだら3000万円は覚悟しなければなりません。
そのほかに逸失利益として、労災上積み分が裁判でも認められますので、
最低でも5000万円から、1億円くらいになることもあります。
未払いの時間外手当も含めた賃金がベースになります。

労働者側弁護士が、配慮してくれて、示談に応じてくれればよいです。
そうでなければ、新聞ネタになるわけです。
不健康、陰湿な企業イメージが連日流されるわけです。

その時他にニュースバリューのある事件があればいいでしょうけれど、
無ければ、マスコミの餌食です。
後々まで、事あるごとに@@@事件として語り継がれます
電通のように。
このイメージを挽回するためにフラボノ活動を行ったり、
イメージ広告を打ったりする費用、
それでも回復しないことによる売り上げの低下ははかり知れません。

労災が下りればいいけれど、労災は独特の論理で保険を出しません。
労災が出なくても、民事賠償で負けるということはありうるので、
そうしたら、全額会社で負担しなければなりません。

実はそれだけではないのです。それよりも大きな損失かもしれないのが、
パワハラを受ける労働者は、その集団で1番優秀な労働者
であることが多いのです。

客観的に売上高が一番高い労働者、
マルチの活躍をしている労働者、
若いのに指導的地位にある労働者
客観的に、その支店、営業所をけん引しています。

企業にとって、こんなに痛手なことがあるでしょうか。
残った職員は事なかれ主義になり、
頑固なまでにマイペースを貫く能力を身につけていきます。
受け流しのスキルアップです。

士気が高まることはありません。

労働者だけでなく、企業もパワハラの被害者なのです。

自殺者を出した上司がうつ病になるならまだ良心的です。
どちらかというと、パワハラを争ってくる企業は、
パワハラ上司を不問に付し、
野放しにする反面、
パワハラ上司に対する精神的ケアも放置するので、
エスカレートしていく傾向にあるようです。
不問に付すことは、上司にとっても新たな部下にとっても
精神衛生上は、確実にマイナスです。

私は、パワハラの防止と知識のシンクタンクとして、
産業保健センターが適切ではないかと乏しい知識では思うのです。
企業が、こんな経済的損失を出さないように、
ノウハウを蓄積することは必要だと思うのです。

パワハラする上司というのは、
部下がどのようにその行為を受け止めているか想像できない
発育障害的の成人に至っての残存があるわけですし、
しょっちゅうどなっているのは、
不安神経症の傾向がありそうなのです。
これは、比喩やあてこすりではなく、どうもそうではないかと
思っているのです。

何よりも、様々なパワハラの形態による、
労働者の心理状態の変化も検討しなければなりません。
また、パワハラの労働者側の結果は
精神障害や自殺というわけです。

産業保健センターの権限を拡大こそ求められているのです。


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ところが、産業保健センターは今各都道府県にあるのですが、
仕分けで3分の1に減らそうとしているのです。
仕分けすりゃあいいってもんじゃないっていいたいんです。

産保センターの仕分けは厚生労働省が自ら言ったらしいのです。
おそらく、他のうまみのある天下り先を確保するために、
うまみが無く、実際に働かなければならないところを
人身御供にさしだしたのでしょう。
結局仕分けも官僚主導なのです。

この事実を知ってからというもの、
仕分け人の演技過剰な表情が
鼻についてしょうが無いのです。

労働基準法の知識は企業を助ける 社会保険労務士さんが担当です。 [中小企業]

うーむ。中小企業からの労働事件の依頼で、
就業規則や、労働契約書さえない場合があり、
これで裁判をやらなければならないというのは、
無防備で、無謀だということで、
腕組みをしてしまうことが前々からありました。

言うんです。
労働契約書さえあれば、
それに現状にあわせて時給とか、割増率とか
記載して労働者に交付してさえおけば、
こんなことにはならなかったよと。

飲食店の中休みみたいに
長時間の休憩がある場合は、
タイムカードさえつけておけば、
働いていない時間が簡単に証明できるんだよと。

私も零細企業の経営者ですが、
抜け目なく、労働契約書を作成しています。

ボーナスだって、基準をしっかり記載して、
これを上回るのは、特別な時だけだからねといっておく。
そうすれば、何カ月分が慣行のはずだ
なんてことは言われないのです。

就業規則や契約書は、
明記することで企業に利益となることは
案外多いのです。

しかし、私なんかが、ちょこちょこっと書く分には、
何せ零細で、残業時間をさせないという方針なので、
簡単ですが、
一般の経営者の方はなかなかそうはいかないでしょう。
経営者が一番忙しいという会社が、
中小企業では一般でもあります。

そんな時、社会保険労務士さんの出番です。
労働条件の整備から、社会保険まで、
労務管理が至れり尽くせりです。

あまり言いたくない話ですが、
社会保険労務士さんで弁護士とつながりがあれば、
弁護士の顧問料を払わないで、
いざという時に弁護士を依頼することもできるということになり、
何かとお得な先生なのです。
たくさん中小企業に関わっているわけですから、
経営の相談に乗ってもらうこともできるかもしれません。

各県に社会保険労務士会があるので、
最寄りの先生を紹介してもらえると思いますし、
労働基準監督署などに名簿があったはずです。
以外にすぐ近くに事務所があったりします。

前に弁護士会の役員をしていた時、
休日出勤をしなければならない事務員の残業が多いということで、
検討課題となったことがありました。

割増賃金の支払い負担も重くなるわけです。
労務管理上は振り替え休日で対応しなければなりません。
その時の目安が、厚生労働省の通達の、
45時間以上の残業は、健康を害する可能性が高くなる
というもので、
45時間を一つの限界線として、
それ以上の残業になりそうだったら、
国の指導があるのだからということで、
有無を言わさず振り休にしようという
断固たる対応を決めたのでした。

こういう風に通達まで抑えておくと、
いろいろ応用が利くのですが
やはりそこは、専門家にお任せした方がいいし、
その経費以上のものが、
入ってくるわけです。

トラブルが勃発してからでは、
遅いですよ。

中小企業弁護団を作ろう! [中小企業]

弁護士は、色々弁護団を作って、情報交換をしています。
世界的に有名なところでは、過労死弁護団ですね。
お医者さんと一緒に「karousi」という世界共通語をつくったくらいですから。

昔でいえば、労働者側の立場の総評弁護団(現在日本労働弁護団)
使用者側では経営法曹という弁護士集団が有名ですね。

具体的な裁判の全国組織としては、
HIV弁護団とか、じん肺訴訟弁護団など、
専門知識を要する弁護団があります。
ちょっとかかわった日産生命保険弁護団なんてのもありました。
お世話になりました。

半ば公的な情報流通としては、
消費者委員会や、環境問題、日弁連交通事故センター
等が定期的に情報紙を発行しています。

私が知らないだけなのかもしれないけれど、
中小企業弁護団とか、中小企業問題研究会というのは、
ないのではないでしょうか。

おそらく、日弁連でも中小企業支援を昨年始めたばかりだから、
専門部署は無いと思います。
業務対策委員会が担当しているはずです。

確かに、中小企業問題と言っても、
誰かと対決するという弁護団ではなく、
中小企業実務の情報交換という意味合いが強くなるでしょう。

中小企業問題は、大体は、弁護士ならよくわかっていることも多いのですが、
知っているともっと便利ということも多くて、
本当は、情報交換や知識普及の必要性も高いのです。

どうやら、中小企業センターが日弁連にあるのですが、
ひまわりホットダイヤルを運営しているというのが
主たる活動のようですね。
情報交換等、基礎研究も活動に入れてほしいですね。

和やかな、実務家集団となることでしょう。

同期の弁護士で、仙台でも熱心にやっている方もいるのですが、
業務対策委員会とは切り離して専門化した方が、
そろそろいいんじゃないかい。

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